26.真相
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「ギ、ギル?」
記憶の渦の中から我に返る。
エリオットは神妙な顔付きだ。
「思い出したか?」
「ギルは、ギルは大丈夫だった?
エリオット、スタンリー、デュラン、
そうだ、みんな無事、だよね」
あれは11年も前の事だ。
ギル、王太子殿下は先日お会いしたばかりで
お元気だった。
そうだ、三銃士では無かった。
わたしには4人の仲間がいた。
四銃士だ、殿下を銃士扱いして良いのなら。
わたしはギルが王太子殿下だとは知らされていなかった。
エリオットの親戚とだけ聞いていた。
従兄弟だから間違ってはいない。
いない、けど。
「ギルは王太子殿下だったんだ」
「ああ」
「あの人型魔物は?
わたしたちはどうやって助かったの?」
「…其処は覚えていないのか?
まぁ、意識を失っていたからな。
それほどに強大な聖魔法だった」
「聖魔法?」
「そうだ。
ロージーは稀代の聖魔法の使い手だ。
みんな君に命を救われた」
「でも、わたしに魔力は無い、」
いや、思い出した。
わたしに魔力はあった。
あの5歳の時までは魔力が体中を駆け巡っていた。
ワイルドボアの様な魔物も倒していた。
でも、今は?
全く体内に魔力が感じられない。
「魔力は封印されている、シモンズ子爵夫人によって。因みに記憶を封印したのも夫人だ」
「シモンズの叔母さまが?」
「夫人の実家は元々魔法で名高かったブルックス侯爵家だ。今代で落ちぶれてしまったが」
ブルックス侯爵家は魔法の名門だったと聞いている。
しかし、わたしの生物学上の父親である今のブルックス侯爵には大した魔力が無かったらしい。
だから魔力には異様に拘り、魔力のあったアンバーに魔法浸けの人生を歩ませた。
自らの代わりに。
それでは、わたしは?
生まれた時に魔力は無かったのだろうか?
「シモンズ子爵夫人は封印魔法の第一人者だ。
他人の魔力にも聡い為、ロージーがまだブルックス侯爵夫人のお腹に居る時に強大な聖なる魔力に気付いたそうだ。
侯爵夫人には大した魔力が無いからね。
それと同時に夫人は危惧した。
自分の兄であるブルックス侯爵の魔法への執着を。生まれた子がどんな扱いになるかを。
そして強大な魔力を持つ子が現れたならアンバーが簡単に捨てられるだろう事も」
それはアンバーの幸せの為にわたしを犠牲にしたと言う事では無いのか?
「ブルックス侯爵は夫人の腹の中の子の魔力には気づかなかった。
しかし腹から出たら気付くかもしれない、
それで子爵夫人はわざわざ出産の手伝いを申し出たんだ」
エリオットは一拍置いてから呟いた。
「聖なる魔力に気付かれない様一旦封印する為に」
「生まれるのは男子だったかもしれないじゃない!」
「シモンズ子爵夫人は魔力から女の子だとわかったらしい」
気持ち悪い、気持ち悪い、何だ、この気持ち悪さは。
わたしは魔力のせいであるべき場所から連れ去られたと言うのか。
叔母さまの一存で?
「お、叔母さまがひとりで決めたの?」
「…いや、とてもひとりで決められる事ではないから、シモンズ子爵と俺の両親に相談し、最終的には陛下の判断だ。
生まれたら一旦魔力を封印し、シモンズ子爵領で封印解除したらしい」
ガラガラと心の中で何かが崩れ落ちていく。
「エリオットはいつから知っていたの」
「俺たちはあの人型魔物の事件後に詳しく聞いた。
ただ、俺もスタンリーもデュランもそしてギルもロージーが聖魔法を使っているのは気付いていた」
ずっと知っていた?
事件後、魔力を封印されていた事も?
目の前が真っ暗になった。
それではわたしが今まで信じて来たものは何だったのだろう。
家族に捨てられ放置され続けても耐えられたのは信じた愛情があったから。
でも、でも、もう何も信じられない。
わたしだけ何も知らなかった。
みんなに大切にされていると勘違いして能天気に幸せだと思っていた。
何のことはない、みんな聖魔法を守っていただけ。
ロージーを守っていたわけじゃなかった。
小さい頃、いつも意地悪を言う商人の子がいた。
「やーい、お前、親に捨てられたんだってな!
何でだかわかるか?
可愛くないから捨てられたんだ!
今にここの領主様にも捨てられるぞ!」
「シモンズの叔父さまと叔母さまはわたしを捨てたりしないもの!」
強気で言い返せたのはふたりを心から信じていたから。
でも、もう粉々に砕けてしまった。
わたしの中で小さな女の子が泣いている。
多分ずっと泣いていたのに、気付かないふりをしていた。
「ロージー!ロージー!」
エリオットが呼びかけていた。
虚ろな瞳で見上げると、わたしの両手を握り締めてくる。
『イヤだ!』
咄嗟にわたしはその手を振り払った。
「大嫌い!」
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