19.ブルックス侯爵家来襲
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先日とは別の客間にブルックス侯爵一家を通したと言う侍従のウィルの案内で部屋の前まで辿り着く。
ジェンキンス公爵家の邸はかなり広く、大まかな配置とかいざと言う時の隠し通路は知らされているが、客間や来客用寝室がいくつもあるため、侍従のウィルや侍女のアンナに案内して貰わないと辿り着かない。
「ロージー様、家令のチューダーさんにもアンナが伝えましたので、皆で控えておりますから」
公爵家の使用人達は、わたしとブルックス侯爵家の軋轢を知っているので、皆心配してくれているようだ。
「ありがとう、ウィル。
心強いわ」
意を決して客間の扉を開けると、一気に4人の鋭い視線が降りかかる。
「お待たせ致しました。
先触れの無いお越しでしたので、少々時間がかかりました。
ロージー・ブルックスです」
軽くカーテシーをする。
イライラと待っていたのか、ブルックス侯爵と思しき人物が喚き出した。
「遅い!
親をこんなに待たせてどんな教育を受けてきたのか!」
いきなりディスり始めるし。
「先触れも無く公爵家を訪問なさる方が常識外れではありませんか?」
わたしの横にすっと並び立ちデュランが加勢。
「な、何だと!
お前はシモンズのところのデュランか」
「伯父上、ご無沙汰しております」
「お前が何故公爵家にいるのだ」
「公爵夫妻のお取り計らいで暫く滞在させていただいております」
そう言って軽く胸に手を当て礼をするデュランがすごくカッコいい。
次女マチルダがあんぐりと口を開けて見惚れている。
みっともないから誰か注意したらいいのに。
「そうか。
ジェンキンス公爵家とシモンズ子爵家は旧知の仲だったな」
「あなた!そんな事より早く!」
話があらぬ方向に向いたと思ったのか侯爵夫人が口を挟む。
「ああ、そうだ。
ロージー、お前、侯爵家に戻って来なさい。
そして、侯爵家から嫁ぐように」
侯爵家に戻る?
このままだと何の旨みもないから、侯爵家へ連れ戻し公爵家から支度金でもせしめようと言う腹積りかしら。
「お断りします」
「何だと!
お前は親に対して礼節が無いのか?
子なら親に従い親兄妹の役に立とうと思うのが普通だろう!」
「何を以て普通と仰るのでしょうか?
親への礼節、それは育てられ育んだ愛情から生まれるもの。
育てもしない者が親などと何と厚顔無恥な事。
わたしの家族は育てていただいたシモンズ子爵家です」
「まぁ、生んであげたのにこの言い草!
生んだだけでも返さなくてはいけない恩義があるでしょう!」
「だから、悪い噂のある30も年上のマーフィー伯爵の愛人になれ、と?」
流石にクズ親でも負い目はあるのか、夫人はぐっと唇を噛み締め黙り込んだ。
「あんたなんか何の役にも立たないんだから
マーフィー伯爵様の愛人の一人にして貰えるだけありがたいと思わなきゃ!」
マチルダ、残念過ぎる。
あっさり言質取りました。
「それでは、貴女だったら、エリオット様の正式な婚約者と、マーフィー伯爵の愛人の一人のどちらを選びます?」
「そんなの、エリオット様に決まっているでしょ!バカなの?
さっさとエリオット様とは別れてよ!」
バカはそちらです。
「わたし、バカでは無いので、当然エリオット様を選びますわ。それから、やはりわたしを売り渡そうとしていたのですね」
「最低だな」
デュランがエリオットの様に周りの空気を凍らせている。
「何の役にも立たないといいますが、何のお世話もいただいていない方々に何を返せと?
寧ろ、成人過ぎても親元でぬくぬくとされている婚約者もいない御令嬢が二人もいらっしゃるじゃないですか。
どちらかが親の役に立ってみたらどうですか?」
「わ、わたしは可愛いから役に立っているもの。
お姉様が行けばいいのよ」
マチルダは隣に座っている長姉アンバーをバカにした様に見てプッと吹き出す。
初めて見るアンバーはお世辞にもキレイとは言えない容貌だった。
ブルックス侯爵に瓜二つの厳つい顔、痩せこけた体。
「あらあら、そんな事言っちゃダメよ?アンバーはマーフィー伯爵からは固くお断りされたでしょう?」
何気にディスる夫人をアンバーが睨み付けている。
もしや、家庭内不和もあるの?
確かにこれだけ自己中ばかり集まっていれば
仲良く暮らしているとは思えない。
「アンバーは跡取りだ!
だからそのバカ娘を差し出せば済む話なんだ!」
「どうして可愛いマチルダをあんな男に!
さっさとロージーを渡しておけばこんな事には」
情け無い人たち。
侯爵家の軋轢は侯爵家で解決して欲しい。
悲しくなり項垂れそうになると、デュランが肩をそっと抱きしめてくれた。
「くだらない家庭内の揉め事はもう結構だ!
お帰りください!」
デュランの声を合図に数人の私兵が客間に突入して来た。
「な、こんな事をしてただで済むと思っているのか!」
ブルックス侯爵は虚勢を張ってみるものの、鍛え抜かれた私兵たちにびくついている。
結局冷や汗を垂らしながらヘッピリ腰で扉へ駆け出した。
「か、帰るぞ」
貴族らしからぬバタバタとした所作でブルックス侯爵家はやっと帰っていった。
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