9:東の町
時間がないっ!!
俺達が向かうのは東の町。ラバータウンに向かっていた。道は、少し舗装された平坦な道で歩きやすい地形をしていた。
「そういえばカエデとはまだだったな」
トゥルースはそう言って拳を俺に突きつけた。
「あぁ、そうだな」
俺も拳を突き出す。
(プレイヤー、トゥルースとフレンドになりました)
「そういえば前のサソリのアイテム渡しとくぜ」
アイテムボックスを開くと、ロイヤルスコーピオンのアイテムが入っていた。
「ダーリンさんが言うにはストックがあるからいらないんだってさ」
「ありがとうな」
このアイテムでも使って防具でも買うか。
「アンタら、私がいないうちに楽しそうなことやってたんだな」
まだ、シルバが怒っている。反省しよう。
エデントラベラーには1つのフィールドに1デスと言う風習がある。崖からの落下、などの自然のトラップに加え、強いエネミーなどのシンプルな暴力。今回は後者である。
「ここのフィールドと言えばこのモンスターだっけ………」
シルバの前に立ちはだかったのは巨大な人型の岩の化け物だった。
(エネミー、ギガントストーン)
「このモンスターは私にしか倒せない」
エネミーギガントストーンの最大の特徴は岩でできた体による防御力である。その守りは斬撃や銃撃(弓による攻撃も含む)を無効化するほどである。
「魔法の攻撃ならばかなりの有効打を与えることができる」
シルバは小枝ほどのサイズや杖をギガントストーンに向けた。
『エレクトリック!!』
杖から強烈な電撃が迸る。ギガントストーンは体を震わせて、感電するそぶりを見せたあと右から腕を振り下ろしてくる。しかし、彼女は躱すそぶりすら見せず横に2歩ステップしただけでそれを回避した。
『ワイヤード』
「はるか…いや、シルバは一体何者なんだ?」
「めちゃくちゃ上手い人だ。」
「それどころか、あれは最強プレイヤーと遜色ないんじゃねぇか」
実際に最強プレイヤーだとは言えない。たしかに、レベル28の強さではないけど。
『ジェット』
『プライム』
『シャイニング』
数々の技を叩き込みギガントストーンを倒した。
「やっぱり硬いな。推奨レベル45ならこんなもんか」
トゥルースが言うにはギガントストーンは強い代わりに逃げやすい敵らしい。しかし、武器の強化に落とすアイテムを使用するらしく誰もが一度は戦わないといけない敵らしい。
「俺も倒すの大変だったわ」
「どうやって倒した?」
「落とし穴に何回も落としたら落下ダメージで倒したよ」
どうやら本当に倒しづらいようだ。
町までの中継地点である小さな集落に辿り着いた。
「ここからは、明日にやろう。配信をしないと」
そうシルバは言い。俺とトゥルースはゲームをログアウトした。
「そういえば、遥の配信観てみようかな」
遥のアカウントは登録者数が多く、今は他の人とコラボをしながら配信をしているらしい。顔は見せず、声だけ出している。正直、遥なら顔を見せた方が人気は出ると思うが未成年だしな。
チャリン
「またか」
俺もとうとうネットデビューを果たした。新しいゲーム情報が更新され続けている。
そしてその多くがハルからの被害報告だった。
(なんかハルに倒されたんだけど)
(ハルって静かで、中立イメージあると思ってた)
(髑髏会ってチームなんだ)
(えくすぎwww)
被害に受けた人は呪殺の札でアイテムを半分消されていた。
「はやく止めないとな」
呪殺の札は使っても、使った側にメリットがないからオークションで低価格で出品されていた。もちろん、その多くはダーリンが出品していたものだ。
「出品取り消しさえさせれば」
呪殺の札をハルが入手する手段を減らせば、被害はうんと減る。そして、最終的には俺達がハルに呪殺の札を使う。つまり、ダーリンから呪殺の札を貰い受けるのだ。
「ダーリンさんどんな人なんだろう?」
ダーリンに会った人自体はとても少なく、写真がネットに出回っているだけだ。
「まぁ、遥と真がどうにかしてくれるだろ」
俺達は知らなかった。謎多き人物、ダーリンの正体を。
小ネタ ミズミズチャンネル
瑞原遥のチャンネル。ある程度の人気があり、いつでも配信しているのに声が幼いので、不良少女説が出ている。




