4:リアル
PV数って右肩上がりになりませんね
気がついた時には、俺は何もない白い部屋にいた。
(あなたは倒されました。これはペナルティタイムです。残り4:50秒)
死んだらこうなるのか。というかあのプレイヤーはなんだ?
「初心者の俺を倒してもいいことないよな」
というかまず、プレイヤーからはアイテムは落ちないはずだ。
「シルバはどうなっているんだ?」
気になる事がありすぎて困る。
一応ペナルティの時でも、今まで遭遇したエネミーの名鑑などが見られたため5分は短く感じた。
ペナルティタイムが過ぎた。俺はドリスタウンの入り口にいた。
(所持金が3割消失しました。呪殺の札の効果が発動:傭兵の刀、ゴブリンの斧、初級回復薬×4、解毒薬、オーガの角が消失しました)
「は?どういう事だ?」
死んだ時は、所持金しか減らないはず。そう、シルバも言っていた。アイテムや装備が半分も減っている。
すぐに、シルバもドリスタウンの入り口にワープしてきた。
「あいつがシルバの前の自分ってどういう意味なんだ?」
「どうしても知りたいならリアルで会えないか?」
「リアルって……」
「ゲーム外。つまり現実だ」
――――――――――――――――――――――
今俺は駅にいる。引くほど過保護な母親を説得するのにとても苦労した。
「というか、シルバってどんな人なのかな」
話したい事が山積みだ。でも、彼なら全部話してくれそうな気がする。優しい男の人なんだろうな。
待ち合わせの場所は駅前のモニュメントだった。思ったより距離が近く、電車で2駅程度だった。でも、シルバさんらしき人はいないな。
「あなたがカエデ?」
背後にいたのはフードを被った青い瞳とロングの銀色の髪をした女性だった。
「えぇ、そうですけど。あなたは俺と同じ学校の人ですか?」
「とっても面白いギャグだな。私がシルバだよ。君とゲームを遊んだ人だよ」
「いや、でも女性じゃないですか」
「ゲームに性別は関係ないだろ。ほらさっさと行くぞ。ここは人が多い」
言われるがまま、俺は近くのファミレスに連れ込まれた。
「女の人だったんですね」
「そうだ。というかカエデはなぜ今更敬語を使うんだ?もしや、コミュ障か?」
「………」
コミュ障だから、ゲームで友達を探していたとは言いたくない。
「……すまない。ここはドリンクバーを奢らせてくれ。」
「なんか、ごめん」
彼もとい彼女の本名は瑞原遥というらしい俺より2歳上の17歳だ。
「私のとても大きなプライベートな話なんだが、準備はいいか?」
「わかった」
「私の父はめっちゃクズでね」
これゲームの話か?
「私と弟を産ませた後、他の女と今もよろしくやっている。そこから私の母は心身ともに病んでしまってね。そこで弟も高校に行かせたいし、生活費もまともに払えなくなって金が必要になった」
「なんで、ゲームの話が現実のお金の話になるんですか?」
遥が俺に顔を近づけた。
「アカウント売買って知ってる?」
「アカウントってゲームのデータの入っているものですよね」
「プライベートで話したのはこれが理由なんだ。エデントラベラーのアカウント売買は禁止されているんだ」
だからゲーム内でこの話をしなかったのか。バレたらやばそうだもんな。
「つまり、違法行為?」
「そうだ。罵ってもらっても構わない」
「しないよ。そんなの」
「助かる」
俺はコーラを一口飲んだ。
「でも、そのハルって人は同じ装備の同姓同名の可能性は?」
「それは断じてない。同じ名前のプレイヤーは存在しないし、あいつの武器は特別なんだ」
「特別?」
「ゲームの世界に2つとない特別武器。オリジナルウェポン。あれは、私の武器『死神殺し』だ」
「なんか厳つい名前だ」
「私がつけたからな。その能力は特別な敵を倒した時、攻撃力が永続に上がる」
永続。つまりは倒せば倒すほど強くなるってことだ。つまり……
「プレイヤーはその特別な敵の一つって可能性も」
「やったことなかったが、そうなのかもしれない」
その後も俺は彼女を質問攻めにした。
なんでアイテムがなくなったのか
「使ったことはないが、死んだプレイヤーにつけるとアイテムを消せる『呪殺の札』だ」
本来ゲームをプレイするなら使わないアイテムだと俺でもわかった。
ハルの装備やジョブ
「数え切れないほどの効果のある最強防具に、メインジョブは魔法戦士。サブはネクロマンサー」
明らかに強そうだ。
チーム髑髏会について
「チームはプレイヤーの集まりだ。フレンドやパーティとは違う。学校のクラスみたいなものと考えてくれ。髑髏会については知らない」
新しいチームなのか?
なぜ新しいデータは男だった?
「前は女アバターだったからな。他のも楽しんでみたかった。後、カエデは私を女子だと思っていたようだが私も名前から君が女子だと少し思っていたんだぞ」
まぁ、言われてみればそうかも知れない。楓って女子にもいそうだし。
「あと、聞いちゃいけないことかもだけど聞いてもいいかなーなんて……」
「なんでも聞け」
「例のアカウントっていくらで売れたんですか?」
「230万。気に入っていたデータに見合う金額だ。いつものゲーム配信よりも稼げた」
すごい大金だ。でも、そこまで金を払ってすることが、他のプレイヤーを倒してアイテムを消すことだなんて。
「あのハルってやつ何がしたいんですかね」
「あいつは楽しんでる。ネットを見ると人気プレイヤーや配信者までやられていた。」
彼女は悔しそうな顔を見せた。
「しかも、それを私のアカウントでやるんだぞ!!金のことは嬉しいが!!私は半年前からコツコツとやって最強プレイヤーまで上り詰めたのに……」
「俺に何かできますか?」
遥は俺の目を見た。
「手伝ってくれるのか?」
「俺にできることなら」
こうして、俺は大人気ゲームエデントラベラーで起きた大事件に巻き込まれることになったのだ。
小ネタ ハル
最強のソロプレイヤー。レイドバトルに出れば1人でエネミーを倒して去っていくと噂されていた。最強3大プレイヤーに数えられた。




