17:ルーナと杖
1話あたりを短くすればいいのではないか
(カエデ視点)
あのダンジョンで負けた次の日、俺とルーナはギグルタウンのベンチに座っていた。
「ゴンザさんはまだ…でしょうか」
「あの人他のチームとか忙しそうだからなぁ」
「確かに…」
「……」
話がどうにも続かない。話のネタが思いつかないのだ。
「あの…どうしてカエデさんはレジェンドアイテムを狙っているんですか?」
「えーと」
このタイミングでダーリンさんのことやハルのことを言ってもいいのだろうか。ここは、わかりやすく。
「あるチームに入る条件がレジェンドアイテムを持って来いって言ってて」
「入る条件があるのは知ってましたけどレジェンドって…詐欺かなんかじゃないですか」
確かに詐欺かもしれない。ソリティアがダンジョンを見つけてくれなかったら発見の糸口すら見つからなかっただろう。しかも、あのワイバーンを倒してもレジェンドは出るかわからない。それよりも入手が難しいオリジナルウェポンというものがあるのだからこのゲームはいくらでもやり込めるな。
「ルーナさんは何でレジェンドを」
「なんで聞くんですか?」
「えっ、いや。ほら、もうレジェンドすでにレジェンドを持っているのにさらに手に入れたいってのは俺としては考えないよなって感じで」
「呪殺の札って知ってますか?」
「!!」
俺がハルに使われた例のアイテムだ。
「知ってます」
「なら話は速いです」
ルーナは俺に杖を見せつけながら言う。
「私の杖を奪おうとする人がいるんです」
「それは誰ですか?」
「私の学校の同級生です。そいつは私がレジェンドをゲットしたらすぐに私の杖を呪殺の札で私から脅しとる方法を考えました」
同級生のことをそいつって言うなんて、相当嫌っているんだな。
「つまり、その人に杖やなにかレジェンドを渡さないと倒されて、呪殺の札を使用される」
「その通りです。この杖は私の大切なアイテムなんです。確率が50%だろうと使われるわけにはいきません」
ハルが関係ないようでよかった。呪殺の札は脅しにも使えるのか。一体どんな意図で作ったんだ?
「なら、見つけるしかありませんね」
「そうですね」
「…カエデさんは同級生とはどんなかんじで付き合ってるんですか?」
俺が学生ってばれた?なんでだ。
「話し方でわかりますよ。その、少しナヨナヨした感じとか」
心を読んだのかこの人。
ナヨナヨしてたかな。俺って。
「俺は同級生とはあんまり喋ってないと言うか。1人ぐらいかな」
気がついたら敬語がなくなっていた。それは彼女も同様だった。
「寂しくない?それ」
「人と話したこと少ないからわかんない」
「強いね心が。私なんて人の目を気にしてばっかりだよ」
「俺はいろんな人から冷たい目で見られたけど慣れたよ」
「もしかしてカエデってインキャ的な?」
「………」
かもしれない。
「でも、憧れるよ。その嫌われる勇気」
ルーナは杖にもたれ掛かった。
「嫌われるたりした時どうしてた?」
「とりあえず勉強してた」
「変なの」
「一番は自分のことを嫌わなかったり、妬んでこない人と仲良くなることなんだと思うよ」
「嫌わない人……か」
俺の場合は遥や真だろう。彼女にはそんな人がいるのだろうか。居たらいいな。
「カエデくん。呪殺の札持ってる?」
「えっ。それって」
「やられる前に殺ってやろうかと思ってさ」
「もしかしてルーナってサイコパス的な?」
「かもね」
彼女はニコリと笑った。
「俺が入りたいチームに入ったら貰えるかもしれないからそれまで待っててくれないかな?」
「じゃあレジェンドはカエデくんのものかな」
「譲ってもらえる?」
「特別にね」
こうして俺はレジェンドアイテムを譲ってもらえることになった。
そして遠くから人影が見えた。ゴンザさんだ。
小ネタ 呪殺の札
死んで地面に転がったプレイヤーの体に貼り付けると通常のペナルティに加えアイテムの半分を消せる。使われることはないがレアアイテムの分類である。入手方法はドラキュラなどのゴースト系からドロップする。どうしても入手したい場合はオークションで売られているものを買うのが一般的。現在では高騰中。




