14:全滅
書きたいことのない時ここにはなにを書いたらいいんですか?
ダンジョンの中は暗い石造りの道が広がっていた。あたりには松明で明かりが確保されていた。
(ダンジョン、古代の地下通路)
「地下通路みたいだな」
「カビ臭さが漂ってきそうだ」
ダンジョンの幅はそこまで広くはない。幅3メートルもないだろう。刀は十分ぶん回せる幅だが。
「ゴンザさんの斧は触れますか?」
「無理だろうな。だが、もう少し広い場所だったら振り回せる」
進む内に足音が近づいてくる。
「ルーナ!!ソリティア!!前線は一旦カエデに任せる」
「了解だ!!」
(エネミー、ボルケーノワイバーン)
それは赤い鱗を纏った龍だった。
「でかいな」
そのサイズは道の幅と同じ。後ろに回り込むことは不可能だろう。そして、ファンタジーの赤いドラゴンは炎の吐息を吐くのが定石のはず。つまり!!
「近づきます!!」
ワイバーンの息から炎が漏れ出す。しかし、俺の方が速い。
ワイバーンの上に飛び、刀を頭に突き刺す。
「まずい」
攻撃は成功したが、吐息は阻止できなかった。
(スキル インフェルノ)
「ごめんなさい!!」
「問題ない」
ゴンザが武器も構えず前に出る。
『レジスト!!』
彼の鎧から浮き出した半透明な壁がインフェルノを相殺した。
ゴンザくんのジョブは騎士である。周りを守り前線を張る防御特化のジョブである。
ワイバーンのドロップアイテムは鱗などのアイテムと装備品であった。そのアイテムは話し合いの結果ソリティアのものとなった。
「ワイバーンが出ると言うのなら広い所に出るまで私が前線を張る」
「わかりました」
納得だ。カウンターはブレスなどの攻撃には発動しない場合があるらしい。もし、ブレスをカウンターしようとして、死んだらこれ以上ないほどダサい。
ソリティアの入手した新しい武器『ダークフィスト』は暗いところでの攻撃力が上昇するらしい。
「ボルケーノが楽々と倒せるぜ」
次々と現れるワイバーンを倒していくが……
(スキル インフェルノ)
「ルーナ!!」
ルーナにインフェルノが直撃する。
「クソッ!!」
『スキル バレルフィスト』
ソリティアの拳が幾重もワイバーンに命中する。
「おい!!何やってんだルーナ!!」
ソリティアはルーナに対する口調が強い。いつも、ルーナにイラついているように思える。
「ごめん。ソリティアさん」
「回復アイテムは自分で用意しな!!わけてやんねーからな」
「あの、ちょっと口調がキツくないですか?」
つい口を出してしまった。
「お前は初心者の割には結構使えるし、敵がワイバーンじゃなけりゃ私以上に前線を張れる。ゴンザさんも武器が使えないながら支援してくれている。なのに、こいつは活躍してしてないんだぞ!!」
「でも人ごとに活躍できる状況が違うでしょ!!」
「……レベルの低いカエデは何か特別な理由でレジェンドを集めているんだろうな」
「あぁ、そうだ」
「もしもこの場にそれがあるとしたら?」
俺はルーナの方を振り向いた。
「ごめんなさい……」
ルーナは握っている大きな杖を震えながら握りしめていた。
「みんなレジェンドアイテムが欲しいはずなのに見せびらかすようなことしてごめんなさい………」
「わかっててやってんのかよ」
ゴンザが二人に割って入る。
「これ以上はやめだ。俺やカエデもダメージを受けている。回復も残り少ないんだ。さっさと攻略しよう」
「わかりましたよ。このダンジョンの攻略条件は最奥のボス討伐ですか?」
「統計から見ると間違いない」
「なら、行きましょうゴンザさん」
それから俺達は数時間ダンジョンを進み続けた。道は直線だから迷うことはなかったが、回復アイテムの消費が多い。ボルケーノの炎の範囲が広いせいでかすり傷が多い。そして、俺が今まで一度も気にしたことのない問題が出てくる。
「防具の耐久値が……」
このゲームには防具の耐久値がある。ダメージを受ければすり減る。そして、ボルケーノのブレスは防具を破壊しやすいように作られているように思える。ゴンザさんは特に攻撃を庇っているせいでいつ壊れるかわからない。
「俺達はかなり消耗しているが…多分、この部屋にボスがいる」
そこには大きな扉両開きの扉があった。それにはウネウネした模様が彫ってあって如何にも禍々しい雰囲気を醸し出している。
「宝箱がボス部屋かだろうな」
「俺が開けよう」
ゴンザが正面に立ち扉を開けた。
「こいつは……」
扉の中はとても広い作りなっていた。そして、その中央に大きくて真っ黒なドラゴンが眠っていた。俺達は、ドラゴンを起こさないようにヒソヒソと喋る。
「お前らあれを見てみろ」
部屋の奥には煌びやかな宝箱が見えた。
「レジェンドが入ってそうですね……」
「だが、ダンジョンの攻略条件はあのドラゴンを倒すことなんじゃないんですか?」
「カエデくん、その通りだ。しかし、アイツは寝ている。『この間に何かしろ』という意図があるように感じる」
「私があの宝箱を先に開ける」
どう言うことだ。
「それってアイテムを独占すると言うことですか?」
「そういう意味じゃない」
ソリティアは小さく咳払いをした。
「このダンジョンの攻略条件は最奥のボス討伐だ。このダンジョンはそこらのエネミーからアイテムが出てくる。つまり、私はアイテムをドロップするのはあのドラゴンだと、私は思うんだ」
「じゃああの宝箱には何が」
「このゲームにはドラキュラというモンスターがいてな、そいつは基本死なないが、十字架というアイテムを使って倒すことができるんだ」
つまりあの輝く宝箱の中にはあのドラゴンを倒すアイテムが入っているという訳だ。
「この中では私が一番速い。さっさととって戻ってくるさ」
ソリティアは全速力で走った。眠った龍の上を飛び越す。一瞬で宝箱の前に到着する。
「どれどれ」
ガチャ!!
「やべっ」
ドラゴンが凄まじい速度で起き上がる。
(エネミー、インペリアルワイバーン)
グチャ
ソリティアが武器を装備するまでの間に手で潰された。
「ソリティアがやられた!!全員武器を構えろ!!」
俺は刀を構えた。
「私の魔法は……」
「俺達が動きを止めてからだ!!」
「了解しました」
ゴンザは担いでいた大きな斧を構えた。
「カエデくん!!行くぞ」
「はい!!」
ゴンザの武器『グラビドアックス』は自身を軽くできる。
『ハイジャンプ』
ゴンザが高く飛び上がる。
『アースブレイカー!!』
インペリアルワイバーンの頭に斧が突き刺さる。
「効かない!!」
ゴンザは斧を突き刺したまま下半身を喰われて絶命した。
やばいやばい!!レベルが俺の倍あるゴンザさんがやられた!!
次の標的が俺に向き、腕の振り下ろし攻撃がくる。
『カウンター』
しかし、それはただの攻撃ではなかった。腕が振り下ろしの途中で止まったのだ。
ブシュー
爪の先から透明の何かが出てきた。カウンターの隙を突かれた。対応できない。
俺は体をバラバラにされた。
「カエデさん!!1人にしないで!!」
ただルーナの声が最後に聞こえていた。
小ネタ ファイター
拳や短剣を使うジョブ。ソリティアが使用しているジョブ。素早さがトップクラスに素早い代わりに、武器の関係上リーチが短い。




