13:ゲート
現実逃避したい。(いろんな意味で)
このゲームは未解明なところが多く、具体的にはよくわかっていないことが多い。たとえば、ダンジョンのゲートの出現確率や何分で消えるかなど、低確率という壁に阻まれ、見つけられたものすらいないということが普通なのだ。
俺は別教室への移動中、真と話した。
「レジェンド集め捗ってる?」
「全然」
「だろーな」
「とりあえず。ダンジョンって言うのを即席で作ったパーティで探してる」
「ダンジョンかー。たしかにレジェンドは手に入れやすいけどさ……」
真が何とも言えない表情をする。
「例えばの話。ダンジョンで入手したアイテムは先に取った方が入手できるわけだけど、楓の仲間ももちろんレジェンドは喉から手が出るほど欲しいはずだ」
「つまり、奪い合いになる」
「そう。楓と遥さんが別行動になった理由はそう言う点もあるんだと思う」
「そういうことか」
遥からの連絡は取れていない。正直、無視されているとも言える。手伝うって言ったのだからもっと頼られて欲しいところではあるが遥なりの考えがあるのだろう。
「もし、そのパーティの人が優しくても信用はするなよ。優しい人ほど嘘をつくからな」
「わかった」
真が唐突に上を見上げ、右手で顎を触る。
「そう言えば『はるか』と『ハル』。似てるよね」
「……どう言うことだ?」
アカウント購入の件は真には黙っている。でも、真は勘が異様に鋭い。俺がハマってるゲームを当てるほどに。
「いや、俺の思い違いかな」
何が思い違いかはわからないがバレなかったようだ。多分、遥とハルは同一人物だとか考えていたんだろうが、それはあり得ない。一つのゲーム機で数あるアカウントの中の一つしか動かせないのだから。シルバとハルが接敵した現場を見たのだから間違いない。
「楓後ろを見てくれるか?視線を感じるんだ」
汗ばんだ顔で俺に言った。たしかに俺も少しは視線を感じるけど。
俺は後ろを向いた。そこにいたのは目を輝かせて群がる女子たちだった。あれは、風の噂で聞いた『桐山真ファンクラブ』と言われる連中だろう。真が人気な理由は明白だ。俺よりも握り拳1つ分以上は大きいであろう身長に頭の良さ、運動神経に家柄の良さまで全てを兼ね備えているからだ。
「多分ファンクラブ(?)の人たちじゃないかな」
「あいつらかよ。こちとら迷惑してんのに。じゃあ俺は逃げるわ」
そう言って真は小走りで廊下を駆け抜けた。
「応援しているからな!!」
さっきの長所に優しいも加えておこう。
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俺はセントラル周辺を地図を見ながら走り回っていた。ゴンザが言うにはダンジョンは2つ目の町より先に出現するらしい。なので、ルーナはラバータウン周辺。
ソリティアはギグルタウン周辺。ゴンザはセントラルから分岐するもう一つの街『ミストタウン』に向かっていた。
「正直、1人で挑んだ方がいいよな」
俺は強さにはある程度自信がある。元最強のシルバにも才能があると言われたし、レベルが上の敵も倒してきた。ダンジョンでも負けることはそうないだろう。つまり、俺のするべきことはダンジョンを見つけてそれをパーティのみんなに報告せず、1人で攻略してアイテムを独占するのが最適解だ……他のみんなには悪いがレジェンドアイテムはゲットするのは俺だ。
ピロン
同じパーティから通知が届いた。
「……先を越された!!」
ギグルタウンは砂漠の上にポツンと佇むオアシスを中心としてできた町だ。
俺は中継地点の集落まで移動していたので、案外すぐにギグルタウンに到着した。ソリティアがダンジョンゲートを見つけたのはギグルタウンを数分歩いた所にある砂丘の場所だった。
「やっぱり私は運が良い!!」
ソリティアの高笑いが響く。
「俺もここまで速く見つかるとは思ってもいなかったよ」
ゴンザは感心した表情を見せる。
「あの………ダンジョンの登録はしましたか?しないと消えちゃうし……」
「お前と違ってドジじゃないからな」
「…ごめんなさい」
また険悪な雰囲気になった。
「とりあえず、みんな準備はいいか?」
ゴンザの台詞に全員頷く。
「行くぞ!!」
俺達全員は知らなかった。ダンジョンの恐ろしさを。
小ネタ 桐山真ファンクラブ
桐山を唯一神とする宗教のようなもの。中等部の間でも存在したが、高等部から入学した生徒も加わり巨大な勢力になっている。生徒会長が解体してくれるのではないかと言われているが、生徒会長がファンクラブを設立した人間なので解体されない。




