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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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人の心

 鉄砲の音がして秋山と内藤が倒れた。清正は驚いて振り返るとそこには飛龍がいた。部下に鉄砲を撃たせたのだ。


「飛龍、何をする!」


「敵将を討ち取っただけです。こんなのに関わっている場合ではないのでは?」


 清正はワナワナと震えた。だからこいつは気に入らない。武士道というものをわかっていない。


「下がっておれ!」


 と怒鳴り散らす。飛龍はニヤっと笑って下がっていった。さっさと仕留めないからでしゃばっただけだ。早く武田信勝のところへ行けばいいものをのんびりとしおって。飛龍には武士道なんてものに価値を感じられない。勝負は勝てばいいのだ。さて、次の仕掛けを確認するか。



 島津義久と加藤清正は倒れた敵将のところへ近づいていく。周りの兵が危険だと止めたが気にしていない。まだ敵将には息があった。


「聞きたいことがあるが先に謝っておく。すまん、部下が暴走した」


 清正は内藤に話しかけた。内藤はゼエゼエ言いながら,


「これも戦、我ら年寄りの足掻きはこんなものよ。お主、敵にしてはいい漢だな」


「長くは保たんだろう。信勝の指示か?」


 内藤は笑ったつもりだったが笑顔には見えない顔で話す。


「指示と言えば指示。好きにやらせて貰ったとも言う。どうだ?我らは信玄公の家臣、手強かったか?」


 清正は姿勢を正し、


「信玄公にはお会いしたことはないが、立派なお方であったと思う」


「虎、生きているか?」


「目が見えん、こうやって死ぬのだな」


「そうだな。いい最後だった。あっちで会おう」


「お、おやかた…」


 2人は生き絶えた。清正はすぐに全兵力の確認を始める。控えていた兵や島津、官兵衛の兵を合わせて無傷は一万五千、負傷者七千、残りは死んだか逃げたか。上杉の抑えに残した二万は無事な筈だ。福島正則のところに元々は二万いたが今はどうなっているかわからない。八万の兵で亀山を攻める予定が大幅に狂ってしまった。官兵衛の援軍があってこのざまだ。と言って引き返すことはできない。黒田官兵衛は足を引摺りながら井伊直政の首を跳ねた。八つ当たりにしか見えなかったが誰も何も言わなかった。


 そして負傷者のうち軽傷な者の手当が終わると進軍を始めた。官兵衛は簡易的に作られた籠に乗っている。






 結城信平は八上城への登り口まで戻ったところで敵の待ち伏せを受けていた。敵は地龍率いる部下達百名だ。飛龍は航空隊以外の兵を2つに分けていた。一つは飛龍とともに加藤清正のもとへ、そしてもう一つの部隊は地龍とともに信平を人質に取る部隊だ。信平は勝頼の子で将軍信勝の弟だ。情に厚い武田にとって信平は肝になる。飛龍は武田の特殊部隊ゼットを真似して忍びとも違う訓練兵を養成した。敵の真似だがそんなことは気にしない。恥も外聞もないのが飛龍と地龍の兄弟だ。疲労困憊の信平達と疲れていいない兵では勝負にならなかった。敵を二十名倒したものの信平、波多野、朽木は捕らえられた。どうやら信平達を殺す気はなく捕らえるのが目的のようだ。信平は戦闘中にそれに気付き、刀を捨てて投降した。城まで逃げれない以上抵抗すれば死ぬだけだ。


「結城信平である。好きにせよ」


 そう言って座り込むと兵が皆それを真似た。地龍達はは将だけを捉えて縄でぐるぐる巻きにして担いだ。そして山の中を進んでいった。



 内藤と別れた上泉秀胤は三十の精鋭と道案内に雇った辰三を連れて八上城の信平のところへ向かっていた。いつのまにか鉄砲を持った農民が十名、刀を持った者が十名加わっている。辰三の仲間だそうだ。辰三の剣の腕は素晴らしく上泉との試合では五分の星だ。


「父上のお知り合いだけの事はある。すまんが道案内を頼みたい」


「この日の為に伊勢守様と出会ったのだと思います。恩返しができてこちらも嬉しいのですよ」


「父上は勝頼公に恩がある。その恩を返さねば亡き父上に申し訳が立たん。殿と死ぬ事も考えてはいたが最後に信平様にお仕えできるかもしれん」


「それこそ伊勢守様のお導きですよ」


「父上は縁と言っていた。お主との出会いも縁、縁を大事にしない者は人ではない。それこそが人の、何?」


 山道を歩いていると前方に気配があった。上泉は右手を上げて皆を止めた。これは静かに止まれという合図だ。上泉が連れてきた兵は皆、陰流の遣い手だ。陰流とは上泉伊勢守が確立した剣法だ。全員が息を潜める。すると草を掻き分け人が歩いてくる。先頭を行く者の後ろから何かを担いでいる者が続いて行く。全部で70人くらいの集団だ。ここは波多野の勢力下だと辰三が言っていた。辰三を見ると知らぬ顔で敵だという顔をしている。ならばあの担がれているのは誰だ?縄で簀巻きにされていて誰だかわからない。担がれているのは3人だった。


 向こうもこっちに気付いた。前衛が何かを投げてきた飛苦無だ。それを全部刀で弾く。敵は驚いている。



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