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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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再びアンノウン

 直政は質問の意図を図ろうとしたがわからなかった。仕方なく素直に答える事にした。さっきまでいかにも だけで済まそうとしていたのに。


「ご縁があった。信平様が結城家に養子に行かれる時からだ」


「ほう、一の家臣というのは方便ではないのだな。なぜ、こんな山城に籠っておったのだ?そんな大物なら亀山に信勝と一緒に居そうなものだが」


 直政は話に乗せられそうになっているのを感じた。以前の直政ならいいように官兵衛の話術に引っかかってしまっていただろう。幸村、兼続と過ごした日々が役に立った。


「信平様は一家臣。前線に出るのは当然」


 ふむ、嘘を言っているようには思えない。武田は情に厚いという噂だが?だが、ここいらの国衆がいくら話しても調略に応じないのと噛み合わない。身内には厳しく民には甘いという事なのだろうか?そんな政治でこの戦国を乗り切る気なのか?


「お主を人質にして信平に会う事はできると思うか?」


「思わん」


「ほう、一の家臣を見捨てる非道な男なのだな」


 直政はカチンと来たが、カチンと来たら幸村の気持ち悪い笑顔、というイメージが湧く訓練をずっとしてきたおかげで冷静になれた。


「黒田殿、一の犠牲で多くを救えるとしたらどうされる?」


「ほう、それだけの男か。世が世なら仲良くなれたかもしれんな」


 そう言って直政に再び猿轡をさせて下がらせた。首を晒して誘き出す事も考えたが出ては来ないだろう。それにいつでも殺せるししばらくは放っておく事にした。そして部下を呼び現状把握をする事にした。かなりの犠牲を出している。直政はどうやら殿は逃げられたようだとホッとして、後はなすがままと開き直った。


 官兵衛の周辺にある支城はもぬけの殻だ。山中にはまだ敵兵が残っているが数は少ない。後方からの攻撃はない。加藤清正はどこまで来ているのだろうか?連絡を取ろうとしたが出かけた兵が帰ってこない。


「どういう事だ?亀山からこっちに向かってきているはずだが。まさか向こうも戦になっているのか?」


 官兵衛は結城信平の事をおいておいて清正に合流する事にした。どっちが利があるか、引いた信平を追いかけるメリットより進むべきだ。ただし、周辺への気配りをしながらなので歩みは遅い。




 その清正は、後方からの攻撃に向かった島津から硬直状態になったとの連絡を受け、官兵衛と合流するか島津を支援するかで悩んでいる。実際、清正も攻撃を受けている。散発的だが山中から気分的に嫌らしい攻め方をされている。清正の周囲の支城は敵に奪い返された。各支城には兵が入っていて護りが堅いという。今まで護っていた連中ではなさそうだ。では、どこから湧いた敵なのかという事になる。


 島津の報告では後方の敵は五千、支城を奪った敵の数はわからないが各支城に三百として最低三千、そんな大軍がどこからなどと考えるのは後でいい。敵を捕まえればわかる話だ。支城からは兵が出てくる気配はないというが、清正が動けばどうするか?当然追いかけてくるだろう。これ以上兵が減っては亀山を攻める戦力が足りなくなりかもしれない。


「福島正則へ伝令だ」


 福島正則は今別の道を亀山へ向かっている。支城攻めをやめさせ合流するように指示してあった。元々の作戦では後方からの邪魔が入らないようにして亀山で決戦だったが、あちこちから敵が湧いてきて兵の数を減らしてしまった。念の為、後藤信尹に繋ぎを付けたが向こうは武田の増援を防ぐ役目をしているがどうするか問われたのでそのままでいいと指示した。あの男がいう通り武田の増援の噂が出ている。実際に尾張から兵が出たとの報告もあったから適切な対応だ。




 その福島正則は街道を進んでいる。猪倉城を攻めていたのだが合流の指示を受けて亀山城へ向かって進み始めた。清正達とは山一つ向こうの道を進んでいるので、亀山へ向かって進んでから戻る事になる。そしてそこは秋山の陣の背後という事になる。

 福島は疲れていた。久しぶりの戦で気が激っていたがうまく行かない。敵の抵抗が厳しいしどこもかしこも山城で防備が手強い。いっそ火をつけてやろうかと思ったが部下に止められた。山火事になって風向きによっては味方が逃げ惑う事になると。


「ええい、面白くない。清正も力攻めをしているというではないか。もっと攻めても良かったのではないか」


「殿は間違ってはおりません加藤様のところはかなり消耗しているそうですし」


「そうだ。我らの敵は武田信勝。雑魚どもに消耗しては勝てる戦も勝てん」


 実際、福島正則は無理攻めをして兵の負傷者が多いのだが。そこに伝令が飛び込んでくる。


「申し上げます。前方から向かってくる兵が、その数五千」


「敵か?」


「加藤様のものではありません」


「ならば敵だ。とはいえこの狭い街道では。さっき広いところがあったな。あそこまで下がって迎え撃つぞ!」


 正則の兵は本梅川を渡り、山道に差し掛かっていたがここでは戦えないと下がっていく。陣形が取れるところでないと数の優位が取れない。正則は戦に強い。力攻めが得意だがそれだけでは戦は勝てない。



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