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【後編】第九十八話 ホワイトホールの少女

「それなら……今からミルキィは途方もない力を放出するホワイトホールになる。ブラックホールと違い無限に近いエネルギーを放出する存在だ」


「ホワイト……ホール……?」

ミルキィが首を傾げた。


「そう。ブラックホールと対になるエネルギー源。力の放出しかできないし一度力を使うと長い休養やエネルギー補給が必要になる。なんとも矛盾した存在さ」


「その力で、お姉ちゃんを守れる?」

ミルキィが問う。


「お姉ちゃんだけじゃない。宇宙の誰でも守れるよ。もっともブラックホールの力を操るお姉ちゃんのように器用にはなれないけどね」


「それでいい! 早く私をホワイトホールにして!」


「その覚悟、必ず正しい方向にね。可愛い私の分身達……」

ブラックホールからの声が消えると同時にミルキィの体を激しい光が包み込み、未知なる力が迸る。


――ブラックホールの姿は静かに消えていった


「な、なんだ!?」

バンが驚き振り返る。


「ああ、ミルキィ……なんて決断を……」

ミルフィーは先代の知識から、ミルキィが何を選択したのかを瞬時に悟った。


光を纏うミルキィの姿は、変わらず六歳児のままだった。


だが――

瞬間移動するかのようにバンの目の前に現れ腕を激しく振り回す、いわゆるグルグルパンチをバンに繰り出した。


「な…」

あたりの空間が歪む。


「ん…」

バンの体が空間の歪みの中心であるミルキィの拳に吸い寄せられる。


「だと…!」

拳に収束し球体のような姿になったバンにミルキィのパンチが炸裂する。


その力は実体のないはずの存在を激しく吹き飛ばしバンを絶叫させた。


「な、なんだこの力は……! 空間ごと捻じ曲げただと!?」


すぐさまミルキィが飛びかかり腕を振り回してバンを攻撃する。


「そんな攻撃が何度も食らうかぁ!!」


ドパアアァァン!!


轟音と共にバンが両手でミルキィの攻撃を防ぐ。


「ぐう…!」

だがその衝撃でバンの腕が一段と黒く変色する。


「うそ! 受け止められちゃった!?」

ミルキィが驚くと同時にバンの反撃が入った。


ミルキィは咄嗟に両手でガードするが、鋭く早い連撃に防戦一方になってしまう。


(強い……! この力をもらっても、駄目なの……!?)

ミルキィは焦りながら必死に反撃の手段を考える。


「ミルキィ!!」

ミルフィーは妹が連撃を受ける姿を見て叫んだ。


(私のホワイトホールの全力の一撃を当てれば、勝てるかもしれない……だけど外したらもう次はない……)

ミルキィは先程のブラックホールの話を思い出す。


(絶大な力……だけど長い休養とエネルギー補給……)


ミルフィーがバンの背後から蹴りを入れるが難なくかわされる。


「お前は後で片付けてやる」

バンが光弾を放ちミルフィーを吹き飛ばす。


「ぐっ……!ミルキィ!! 逃げて!!」

ミルフィーはダメージを負いながらも叫んだ。


「お前は今ここで我が消滅させる!」

バンはミルキィに猛攻撃を仕掛ける。


「我は宇宙の全て、宇宙を司る者!」

バンの容赦のない攻撃がミルキィを襲う。


「う……!」

ミルキィは、ただじっと防御し耐えた。


「しぶとい奴だ。だが時間の問題だ!」

バンが止めとばかりに拳を振りかぶる。


「ここだ!」

ミルキィは即座に構える。

それと同時に周囲の空間が歪み、散らばる星の残骸は時間が止まったかのように静止した。


バンが拳を振りかぶった隙を見逃さなかったのだ。


「私の渾身のストレートはね、時空を引き裂き銀河も消滅させちゃうよ!」

渾身のミルキィのパンチがバンの下腹部を打ち抜いた。


「ぐ……!!」

声にもならない呻きを上げ、バンの体は激しい光の奔流に飲まれていく。


「宇宙を司る我が! こんな奴に!」

あまりの威力に時空が引き裂け、光と共にバンの体が粉々になり消えてゆく。


「こんな……こんな事が……!」

その一撃は実体のない存在を時空ごとねじ切り

――バンを消滅させた。


「う……うう、やった……」

ミルキィの目に涙が浮かぶ。


「ミルキィ! あなたは……ああ……私の妹が、こんな事に……私が頼りない姉だったばかりに……こんな決断をさせてしまうなんて……」

ミルフィーは妹を抱きしめる。



「うわあああああん! お姉ちゃん! 怖かったよー!」

感情を爆発させミルキィは泣き叫んだ。


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