【前編】第九十四話 闇の刺客バン
「スターナイツ。どこに逃げても無駄だ!ここで終わりにしてやる」
漆黒のマントに身を包んだ人物――バンが二人の前に姿を現した。その顔は漆黒の仮面に覆われ表情は一切わからない。
「終わるのはお前だ。バン!」
ウルヴァが拳を叩き込む。
だがその拳はいとも容易くかわされた。
「まだだ!くらえ!」
間髪入れずヴァーラが拳を放つ。
だが、バンは片手でそれを受け止めた。
「惜しいな、スターナイツ」
不気味なバンの声が響く。
「なめるなぁ!」
すかさずウルヴァの追撃が叩き込まれるが、これも受け止められる。
「はあ!」
バンが叫ぶと二人はあっさりと弾き飛ばされた。
「ぐ……相変わらず凄い力だ……!」
ウルヴァが冷や汗をかきながら呟く。
「数千万年の時を生き、戦い、修練を積んだ俺達でも付いていくのがやっとなんてな……!」
ヴァーラは悔しそうに歯を食いしばる。
「我は宇宙の意思そのものになる存在。何千万年生きていようが我の敵ではない」
バンが両手を広げると、目視する事のできない絶大な力が二人を襲った。
「ぐわああああああ!!」
二人は勢いよく吹き飛び背後の星にぶつかる。
その衝撃で、おびただしい光の波動と轟音を伴う、大爆発が巻き起こり星は粉々に砕け散った。
「消えろスターナイツ。何が宇宙最強の戦士だ。虫けらめ」
バンの右手に、おぞましい力が集中していく。
「調子に乗るなよ!」
なんと背後からヴァーラが勢いよくバンに回し蹴りを叩き込んだ。
「ぐ、なんだと!?」
バンが驚きよろめく。
だがダメージが浅いのは明らかだった。
「俺達が、やられっぱなしだと思ったか!」
すかさずヴァーラは拳を叩き込むが、バンの咄嗟のガードに阻まれる。
だが、
ドゴォ!!
「!?」
バンの背中に、衝撃が走る。
「あんまスターナイツをなめんなよアンタ」
鋭い表情のウルヴァがバンの背後を捉えていた。
「き……さまぁ……!」
バンが悔しそうに向き直る。だが、その隙を二人は見逃さなかった。
ドゴ!
バキッ!!
二人の息の合ったコンビネーションがバンを襲う。
「ぐおおお!」
バンは確かなダメージを受けて、その場によろめいた。
「手応えはあった! いける!」
ヴァーラが拳を再び構えバンに飛びかかる。
「お前達こそ我を甘く見るな」
バンが呟くと――その姿が瞬時に消えた。
「な!?」
驚く二人は辺りを見渡すが、どこにもその姿はない。
グシャッ!
ドガッ!
どこからか攻撃を受け二人はよろめいた。
「く……。見えなかった……! まずいぞヴァーラ!」
ウルヴァが焦りを滲ませる。
「仕方ねぇ……力の全てを出すぞ!」
二人から白銀のオーラが迸る。
すると見えなかったバンの姿が再び現れた。
「ほう。その力で我の闇のオーラを払ったか」
「片付けてやる……!」
ウルヴァは光すら追いつけないかのような速度でバンに襲いかかる。
「スターナイツ……恐ろしい力だ」
激しい攻防の中バンが呟く。
「バン!終わりだ!」
ヴァーラも追撃する。
「だが――それが本気ならここまでだスターナイツ」バンが呟くと漆黒のオーラが辺り一帯を覆い尽くした。
二人は正体不明の攻撃を受け、その場に倒れ伏す。
「な、なんだ……!? なにを、され……た……」
ヴァーラが目を見開きながら声を絞り出すように呟いた。




