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【前編】第九十三話 双子の戦士

 遥かな昔――それがいつの時代の話なのか、正確に知る者はもう誰もいない。


かつて存在した超巨大銀河の中心。そこにある途方もない質量を持つブラックホールを目指す二人の青年の姿があった。


白く輝くマントを纏う双子の戦士――ウルヴァとヴァーラ。


幾度となく、星を、銀河を、宇宙を、危機から救ってきた二人は、いつしかこう呼ばれるようになっていた。



 ――超戦士、スターナイツ。



「まさか、ここまでの危機が訪れるとはな……」

 兄ウルヴァが呟く。


「ああ……。だが、ついに希望が見えた」

 弟ヴァーラが言葉を返した。


 超巨大銀河の中心、大質量ブラックホールに辿り着いた兄弟は、手に握る淡く光る玉を見つめながら言葉を交わす。


「ここまで長かったな」


「この物理法則すら通用しない超大質量ブラックホールの力を借りる方法をやっと手に入れたんだ。これでこの戦いは勝てる」


 二人は、その淡い輝きの光の玉を、ゆっくりとブラックホールへと落とした。


 するとブラックホールから、透き通るような、けれど、どこまでも深い響きを持つ声が響く。


「この力をどこで手にしたのか、それは聞きません。私の力が必要なのですね」


「ああ、お願いだブラックホール。今この宇宙は消滅の危機に瀕している」

ウルヴァが、そう語りかけた。


「いいでしょう。ただし私の力を、そちらの宇宙に出すと産まれたての子供のようになってしまいます。力が目覚めるまで暫くの間、守ってもらう必要があります」

ブラックホールの声が響き渡る。


「任せてくれ! あなたの力の結晶は、必ず、我々が守る!」

 ヴァーラが、力強く頷いた。


「その力が目覚めたらブラックホールである私の姿は消えて、完全にそちらの宇宙の存在となります。」


 その瞬間ブラックホールから途方もない力が迸り、光り輝く二つの小さな存在が現れた。


 その姿は見た目六歳ほどのあまりにも幼い二人の女の子だった。


 一人は長い黒髪。もう一人は青いショートヘア。


「君達は一人前になるまで僕らが必ず守る。しかし……。既に途方もない力だ……!」


 黒髪の少女は全身から何層にも連なる力のオーラを放っていた。

「君の見た目から、そうだな……。ミルフィーとでも呼んでいいかな?」

 ウルヴァが優しく微笑みながら、そう問いかける。


「ミル……フィ?」

 黒髪の少女は首を傾げながら聞き返した。


「そう、ミルフィーだよ。よろしくね」


「おねえ……ちゃん……?」

 青い髪の女の子が涙ぐみながらミルフィーの服を引っ張っていた。


「おかしい……。黒髪の子からは、強い力が溢れているのに…この子からは何も力を感じない」

 ウルヴァが、不思議そうに、青い髪の女の子を見つめる。


「う……怖いよ、お腹空いた……。眠いよ……。知らない人……。うう……」

 なんと青い髪の子は泣き始めてしまった。



「怖くないよ。僕らは宇宙を守護する最強の戦士スターナイツだ。よろしくね」



「君もいつか宇宙の戦士になる。そうだな…君は銀河の姿のような華麗な存在になるように。ミルキィなんて名前、どうだ?」

 ヴァーラが、優しく問いかけた。


「ミルキィ……? えへへ……。名前、嬉しいな……」

青い髪の子は泣くのをやめて少しだけ微笑んだ。


しかし、その穏やかな時間は長くは続かなかった。


「!」

ウルヴァとヴァーラは強い戦闘力を感知し、すぐさま構えを取った。


「く……。もうこんな所まで来やがったか……!」


「バン……恐ろしい奴だ……!」

 二人は戦闘態勢を取り静かに戦慄していた。


今回から、ミルキィとミルフィーのルーツに迫る、スターナイツ誕生の物語へと突入します。

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