第八十六話 手を取り合って
第一幕 弱さの吐露
「俺は……」
クレドが、静かに、しかし震える声で、言葉を紡ぎ始めた。
「こんな、騒動を起こして……。今更、戻れるのだろうか」
その声には、これまでの強気な姿からは想像もつかない、深い迷いが滲んでいた。
「罰を受ける覚悟は、できてる」
その言葉に、その場にいた誰もが、静かに耳を傾けた。
第二幕 差し出された手
「戻れない場所なんて、ないよ」
ミルキィが、迷わず、そう答えた。
「少なくとも――私は、クレドが来てくれたら、嬉しいもん」
その真っ直ぐな言葉に、クレドは、思わず、照れくさそうに視線を落とした。
「だが……。やっぱり、俺をよく思わないメンバーに、示しがつかない。もう、俺には、ミルキィ達と――」
その言葉が終わるより先に、ミルキィは、そっと、クレドの手を握った。
「心配しないで」
「!」
「一緒に、頑張ろうよ」
その温もりに、クレドは、しばし、言葉を失ったまま、立ち尽くしていた。
第三幕 温かな罰
「――罰は、考えてなかったけど」
ミルフィーが、そのやり取りを見守りながら、ふと、口を開いた。
「それじゃ、真面目なあなたの気が済まないのよね」
ミルフィーが不敵な笑みを浮かべる。
「え……」
その言葉に、呆気に取られるクレド。
「ギャラクシーフルーツを、調達してくれば、それでいいわ」
ミルフィーは口元を緩め、クレドに言い放った。
「フルーツ、ですか?」
「そこで、皆でフルーツパーティでもしましょう。そこに、強制参加までが――罰よ」
その意外な"罰"に、その場の空気が、一気に和らいだ。
「よかったね! やり方はそれぞれでも、皆で手を取り合っていこうよ!」
ミルキィが、明るく、そう締めくくった。
第四幕 照れくさい未来
「ああ……。ありがとう」
クレドが、静かに言葉を返す。
だが、すぐに、その表情に、僅かな動揺が浮かんだ。
「あ、で、でも……。手を、離してくれないか……?」
ミルキィに握られたままの手を見つめ、クレドが、耳まで赤くしながら、そう呟く。
「あはは、ごめんごめん!」
ミルキィが、慌てて手を離すと、その場に、久しぶりの、穏やかな笑いが広がった。
「私も……。傷ついた人達の心を、もっとちゃんと、見ていくわ」
ミルフィーが、静かに呟く。
「それに……。クレド、あなたには、これからも、色々な意見を、聞かせてもらいたいの。心と力、両方の視点が、これからのスターナイツには、必要だと思うから」
「……そう、だな」
クレドは、静かに、しかし確かに頷いた。
心を信じる者達と、力を信じる者達――対立していたはずの二つの理念は、こうして、少しずつ、手を取り合う道を、歩み始めていった。
完全な答えは、まだ、出ていないのかもしれない。
それでも、確かな一歩が、そこにはあった。
超戦士スターナイツの物語は、また一つ、大きな試練を乗り越え、これからも続いていく。
(第十三部・完)




