第八十四話 崩れる交渉の場
第一幕 到着
ファントム銀河に降り立った三人を、クレドが、静かに出迎えた。
「――来たか」
「うん。ちゃんと、話しに来たよ」
ミルキィが、真っ直ぐに、そう告げる。
「代表として、私達三人だけで来ました」
ミルフィーも、静かに続けた。
「僕は、お弁当持ちですけど……。よろしくお願いします」
クルーンが、緊張の面持ちで、頭を下げる。
「――少人数で来るとは、随分と、俺達を信頼してるんだな」
クレドが、僅かに驚いたように呟いた。
第二幕 揺れる交渉
「まずは、お互いの意見を、ちゃんと聞き合いたいの」
ミルキィが、静かに切り出した。
だが、その空気は、すぐに揺らぎ始める。
「クレドさん、なぜ、こんな連中と話し合う必要が!」
同席していた力派のスターナイツの一人が、苛立たしげに声を上げた。
「落ち着いてくれ!」
クレドが、それを制しようとするが、興奮は収まらない。
「奴らは、俺達の仲間を、危険な目に遭わせてきた側だぞ!」
その声に呼応するように、外から、更に別の力派のスターナイツ達が、次々となだれ込んできた。
「呼ばれてもいないのに、乱入とは……!」
第三幕 クルーンの奮闘
「――僕が、食い止めます!」
クルーンが、素早く杖を構え、乱入者の一人と対峙した。
「地球の守り神が、俺の相手だと?」
「はい。今の僕なら、負けません!」
クルーンは、これまでの旅と修行で培った力を、存分に発揮していく。
「な……! この動き……!」
互角以上の攻防を繰り広げるクルーンの姿に、その場にいた誰もが、目を見張った。
その傍らでは、ミルフィーが、他の乱入者達を、涼しい顔で次々と制していた。
「静かに、なさい」
その圧倒的な力の差を前に、乱入者達は、次第に、大人しくならざるを得なかった。
第四幕 匙を投げる言葉
「――もう、いい」
混乱を見かねたクレドが、深く息を吐きながら、そう呟いた。
「話し合いなんて、しても、理解し合えない。お互い、別々にやろうぜ」
「クレド……」
その投げやりな言葉に、ミルキィの表情が、僅かに曇る。
「統率も取れていない有様だ。これで、対等な話し合いになると、思うか」
クレドの声には、深い疲労と、諦めが滲んでいた。
それでも、ミルキィは、そこで諦めなかった。
「まだ、理解してくれなくていいの」
ミルキィが、静かに、しかし真っ直ぐに、クレドを見据える。
「だから――クレドの事を、教えて」
その一言に、クレドは、思わず、言葉を失った。
(つづく)




