↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
80/95

第八十話 もう一つの物語

第一幕 旅立ちの理想

 スターナイツとなったクレドは、当初、心の中に、僅かな期待を抱いていた。


(もしかしたら……。俺にも、心で救える相手が、いるかもしれない)


 守り神から受け取った、その心の光を頼りに、クレドは、初めての任務に赴いていた。


「頼む、話を聞いてくれ!」

 彼もまた、最初は、対話を試みていた。だが――


第二幕 届かなかった声

「無駄だ」

 対峙した敵は、まるで意志の通じない、災害そのもののような存在だった。


「言葉なんて……。俺の攻撃を、耐える為の時間稼ぎにしかならねえ!」

 クレドの声は、虚しく響くだけだった。


 結局、彼は、力でその敵を打ち倒すしかなかった。


「くそ……。また、力でしか、解決できなかった……」

 その悔しさを、クレドは、何度も、何度も味わう事になる。


 ゼノンのような、傲慢な知性を持つ者。エールバードのような、孤独に暴走した者。


 クレドもまた、ミルキィ達と同じような、対話不能な脅威に、幾度となく直面していた。


 だが、彼には――ミルキィのような、絆を持つ仲間達との、決定的な"何か"が、足りなかったのかもしれない。


第三幕 仲間の犠牲

「クレド……! 助け、て……」

 ある戦いで、共に戦っていた仲間が、目の前で、力尽きた。


「そんな……! 俺が、もっと早く、決着をつけていれば……!」

 優しさを優先し、一瞬の躊躇いを見せた事が、致命的な隙になった。


「何で、俺達が……。何で、心を大事にした方が、こんな目に遭うんだ……!」

 その悲痛な叫びは、クレドの中に、深い傷跡として刻まれていった。


 仲間を失う度に、彼の中で、一つの確信が、静かに、しかし確実に育っていった。


(優しさだけじゃ、守れないものがある。ならば――俺は、力で、皆を守るしかない)


第四幕 割り切りへの道

「もう、迷わない」

 クレドは、静かに、そう心に決めた。


「悲しむ者を、これ以上増やさない為に。俺は、力を、正しく使う」

 その決意は、次第に、彼の周囲に、同じ痛みを抱えた仲間達を、静かに引き寄せていった。


「クレドさんの言う事、正しいと思います。俺達も、目の前で仲間を失ってきたから……」


「力があれば、あの時、あいつを救えたかもしれない」


 共感する声が、少しずつ、しかし確実に、広がっていく。


「これは、平和の為だ」

 クレドは、その言葉を、まるで自分自身に言い聞かせるように、繰り返し口にするようになっていた。


 己の正義を貫いた先に、本当の平和があるのか――その問いに、彼自身、まだ、確かな答えを出せないまま。


もしかしたら、ミルキィ達が辿るかもしれなかった物語は、こうして、静かに、しかし確実に、形作られていった。

(つづく)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。