第七十六話 連鎖する亀裂
第一幕 連鎖する争い
「もう、我慢できねえ!」
放たれた拳が、対立する陣営の一人を捉えた。
「――やる気か!」
殴られた側も、即座に反撃する。
その一撃が、まるで引き金のように、会場中に連鎖していった。
「皆、やめて!」
ミルキィが、必死に呼びかけるが、既に、その声は届かなかった。
「俺は、力派につく!」
「私は、心で通じ合う道を、信じます!」
あちこちで、次々と、陣営が形成されていく。
第二幕 選ばれる陣営
「――俺達も、決めたぜ」
その声に、ミルキィが振り返ると、そこには、プレアデスの三人――アルキン、アトラス、ルマイアの姿があった。
「アルキン……! アトラス、ルマイアも……!」
「悪いな。俺達は、クレドさんの思想に、共感してる」
アルキンが、真っ直ぐに、そう告げた。
「強さこそ、正義に近づく手段だ。それを、俺達は、証明したい」
「僕達は、悪意でこちら側についたわけではありません。ただ、純粋に、彼の理念に、説得力を感じたんです」
アトラスが、静かに続ける。
「面白そうな戦いになりそうですしね!」
ルマイアだけは、いつも通りの朗らかさで、そう笑った。
「そんな……!」
ミルキィの表情に、深い動揺が広がった。
第三幕 揺れる仲間達
「ミルキィさん……! これは、一体……」
クルーンが、混乱した様子で駆け寄る。
「私にも、わからないよ……。でも、止めなきゃ……!」
「私は……。ミルキィさんの側に立ちます」
アストラが、静かに、しかし確固たる意志を持って告げた。
「僕も、同じです」
ウェルも、迷わずそう続ける。
「――俺は」
キャンが、複雑な表情を浮かべながら、呟いた。
「正直、クレドの言い分も、わからなくはねえ。俺だって、力の差ってやつを、嫌ってほど思い知らされてきたからな」
「キャン……」
「でも――俺は、心で救われた側の人間だ。だから、ミルキィの側に立つ」
その言葉に、ミルキィは、僅かに安堵の表情を浮かべた。
「僕達も、迷わない」
トライが、ラグルとアイルと共に、静かに前へ出る。
「だが――美しくない争いだ、これは」
第四幕 収拾不能な混乱
「皆、やめなさい!」
ミルフィーの声が、響き渡る。
だが、既に、その声すらも、混沌の中にかき消されていった。
「くっ……。まさか、こんな事に……」
ホエードが、険しい表情で、辺りを見渡す。
「クルーン、危ない!」
ミルキィが、とっさに、クルーンを庇うように前へ出た。
会場は、もはや、誰にも収拾のつかない、大規模な内乱の様相を呈していた。
心を信じる者と、力を信じる者――かつて共に戦った仲間達が、今、互いに刃を向け合っている。
その光景を、静かに見つめるクレドの瞳には、複雑な感情が、渦巻いていた。
(俺は……。間違ってない……。間違って、ないはずだ……)
その独白は、誰にも届かないまま、激化する争いの喧騒に、静かに飲み込まれていった。
(つづく)




