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超戦士スターナイツ  作者: 海原ナギサ
銀河闘争編
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第七話 マゼラン星雲、参戦

ご覧頂きありがとうございます。

第一幕 激突、マゼラン星雲

 轟音の響く会場中央で、四人の戦士が対峙していた。

「マゼラン星雲の二人、噂以上の強さだ……!」

 ウェルが額に汗を滲ませながら呟く。

「まだ私達だって、全力を出していません。勝つ方法は、きっとあります」

 アストラが、静かにそう続けた。

「久しぶりにここまで強え相手と戦えて嬉しいぜ! やべーな、これ勝てんかな。まあ、ちょっと本気だしてみっか、ロラン!」

 ゼラが、嬉しそうに拳を鳴らす。

「いちいち喋りすぎなんだよ。少し黙れ」

 ロランが苛立たしげに返した、その直後。

 彼の拳から無数の光弾が放たれる。アストラはとっさにスターボードを呼び出し、ウェルを乗せて機動力でその全てを回避した。

 ――だが。

「!」

 目にもとまらぬ速さで距離を詰めたロランが、二人の眼前に迫っていた。

 とっさにウェルがアストラを庇い、反撃を試みる。

「おせーよ。だからお前は、ミルキィに勝てねーんだ」

 強烈な一撃が炸裂した。地面に激しく叩きつけられたウェルは、仰向けに倒れ込み、苦しげに声を漏らす。

「が、はっ……!」

「貰ったー!」

 ハイテンションのままゼラが飛びかかる。アストラがとっさにアストラルクランプを発動するが、ゼラは軽やかにそれをかわした。

 だが――そこに、起き上がったウェルが割り込んでいた。

「まだ……!」

 鋭い回し蹴りを叩き込み、続けざまに拳の連撃を叩き込む。

「急所に二十連打ああああ!?」

 悲鳴じみた叫びを上げながら、ゼラが吹き飛んでいった。


第二幕 合体、ロゼラン

「調子に乗りすぎだ」

 ロランがウェルの目の前に降り立ち、至近距離から光弾を叩き込む。

 とっさに受け身を取り、大ダメージこそ回避したものの、ウェルの表情には焦りが滲んでいた。

「これは……まずいな……」

 その不安を裏付けるように、ロランが低く告げる。

「ゼラ。こいつらは、本気を出さないと倒せない。不本意だが――やるぞ」

「お? あれをやんのか? 待ってましたー!」

 ゼラが、ノリノリで応じる。

 次の瞬間、二人を包み込むように大きな光が現れ、その姿がゆっくりと吸い込まれていった。

「聞いた事があります……。マゼラン星雲のスターナイツは、もともと一人の戦士だったって」

 アストラが不安そうに呟く。

「これ以上、強くなるのか……!」

 ウェルが覚悟を決めたように拳を握りしめた。

 合体が完了する。

「待たせたな。俺はロゼラン。もう、幕引きにしよう」

 背丈の増した、青いライトメイルを纏う聖騎士のような姿がそこにあった。

 その刹那、瞬間移動したかのようにロゼランが二人の背後に回り込む。

「み、見えなかっ……!」

 ウェルが言い終えるより早く、二人の体は吹き飛ばされていた。

「攻撃が……見えない……!?」

 何をされたのかすら把握できず、アストラが呆然と呟く。

「この戦闘力……! スピード、パワー、全てにおいて、今までとは桁違いだ……!」

 再びロゼランが背後に回り込み、今度は正反対の方向へ二人を吹き飛ばす。

 審査員席で、その光景を眺めていたミルフィーが、僅かに笑みを浮かべた。

「あれは少しやりすぎかしら。でも、止める程ではないわね……だって、アレは――」

 その言葉は、静かに飲み込まれた。

 三度、四度と吹き飛ばされる二人。もはや反応する事すら困難な速さの中、ロゼランは強烈無比な一撃を叩き込む。

 吹き飛ぶ二人を、間一髪でスターボードが受け止め、高速で離脱した。

「た、助かった……ありがとう、アストラ」

 息を切らしながら、ウェルが呟く。

「いえ、それより……少し、わかりました。ロゼランの事が」

 アストラも肩で息をしながら、静かに語り始めた。

「マゼランのスターナイツが、どうして二人に分かれていたのか。どうやら、あの本来の姿では――力の消費が激しいようです」

「単騎決戦の構え、って事か!」

 ウェルが目を見開く。

「はい。ですが恐らく、次の一撃で――私達を確実に仕留めるつもりです」

 視線の先で、ロゼランが真っ白に輝くオーラを全身に纏い、渾身の力を練り上げていた。あまりの威力に、周囲の空間が僅かに歪み始める。

「これで、終わりだ。楽しかったよ、アストラ、ウェル」

 ロゼランが、静かに構えを取った。


第三幕 絆の一撃

「二人が一人になるのが、なんだ!」

 ウェルが叫ぶ。

「連携を見せる時です。いきますよ、ウェル!」

 アストラが構えを取り、遥か彼方から大小様々の小惑星達を呼び寄せる。

「信じてるぞ、アストラ!」

 ウェルが吠えながらロゼランへと突っ込んだ。

「このエネルギーを受けたら、お前とてただでは済まないぞ」

 ロゼランが、不思議そうに呟く。

 だが――ロゼランが最後の一撃を放とうとした、まさにその瞬間。

 アストラの呼び寄せた小惑星達が、正面から直撃した。

「ぐっ……!」

 ロゼランの体が、僅かに揺らぐ。

「溜めで強力な技を使うのは、私も同じです」

 アストラは、口元にほんの少し笑みを浮かべながら、それでも目には強い光を宿していた。

 その隙を、ウェルは見逃さなかった。

「今の僕は――一人じゃない!」

 渾身の正拳突きが、ロゼランに突き刺さる。

「ぐうぅっ!!」

 絞り出すような声が、ロゼランの口から漏れた。

「これは、僕ら二人の一撃だ!」

 ウェルはそう叫ぶと、糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。

 会場に、再び分裂したゼラとロランの体が倒れ込む。そのすぐ手前で、ウェルがうつ伏せに倒れ、後方では、力を出し尽くしたアストラが膝をつき、ゆっくりとうつ伏せに沈んでいった。

「なあ、ロラン……お前から、二人に戻ろうって言ってくれたの……嬉しかったぜ……」

 そう呟きながら、ゼラは意識を手放す。

「ふん……」

 ロランは不満げな素振りを見せながらも、どこかやり切った表情のまま、静かに目を閉じた。

「そこまで! この試合、引き分けとする!」

 審判の声が、会場に響き渡った。

 積み上げてきた絆が、格上の敵を相手に、確かな結果として実を結んだ瞬間だった。


第四幕 三角銀河、参上

 同じ頃、別会場では、もう一つの熱戦が繰り広げられていた。

 対するは、りょうけん座銀河から現れた、鋭い牙を持つ狼のごとき戦士キャンと、しし座銀河が誇る、たてがみを思わせる燃えるような髪を持つ猛者レグルス、そしてその影のように寡黙な剣士ヴェガの三人組――今大会最大のダークホースと目される新顔チームだった。

「三角銀河ごときが、俺達に勝てると思うなよ」

 キャンが不敵に笑う。

「舐めるな。俺達には……あの日、掴んだ絆がある!」

 トライが叫び、ラグルとアイルへ視線を送る。

「言われなくても、わかってるさ」

 ラグルが静かに頷き、アイルもニヤリと笑った。

「今度は、まぐれじゃねえって所、見せてやるよ」

 三人が同時に動き出す。ダークホース陣の猛攻を掻い潜り、幾度となく体勢を崩されながらも、三人の呼吸は、あの日の記憶をなぞるように、次第に噛み合っていった。

「トライ、右!」

「ラグル、上!」

「アイル、真ん中!」

 声が重なった瞬間、三人の体が綺麗な三角形を描く。

「――『トライアングル・グローリー』!」

 完璧に揃った一撃が、ダークホース陣を纏めて吹き飛ばした。

「ぐああああああ!」

 三人が同時に膝をつく。

「そこまで! 勝者、三角銀河スターナイツ!」

 審判の声が響き渡った。

 勝利の余韻の中、トライが仰々しく胸を張る。

「君達、かなりの強さだったよ。だが――完璧な陣形を手に入れた我ら三角銀河スターナイツは、無敵だ!」

「トライ、勝った後にドヤるの、ちょっと格好悪いですよ」

 ラグルが呆れたように呟くと、アイルがケラケラと笑った。

「まあいいじゃん、今日くらい。……にしても、疲れたぁ」

 三人はそのまま折り重なるように地面に倒れ込み、控え席からは、その様子を見守っていたクルーンとミルキィの笑い声が響いていた。

 大会は、いよいよ佳境へと差し掛かっていた。

(つづく)


次回は、変則対決の回です。

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