↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/99

第六十八話 誰も知らない涙

第一幕 誰もいない場所で

 皆が、静かに眠りについた夜。


 ミルフィーは、一人、白鳥座銀河の外れに佇んでいた。


 もう、誰の目もない。ここでなら、ようやく、肩の力を抜く事ができた。


「……」

 ミルフィーは、静かに空を見上げる。


 そこには、もう、赤い星の姿はなかった。ただ、穏やかな星々の輝きだけが、静かに広がっていた。


第二幕 独白

「ラクリマ……」

 その名を呟いた瞬間、堪えていたものが、静かに溢れ出した。


 ぽろぽろと、涙が零れ落ちていく。


「あなたも……。本当は、辛かったよね……」

 誰にも聞かせるつもりのない、小さな声だった。


「私は……。強くなければならない……」

 拳を握りしめながら、ミルフィーは、震える声で続けた。


「あの英雄の為にも……。あの悲劇を、私達が繰り返さない為にも……」

 その言葉には、これまで誰にも見せた事のない、深い孤独が滲んでいた。


(――もし、この重さを、私一人で抱えきれなくなったら)


(その時、ミルキィは……。あの子も、いつか、こんな風に……)


そこまで考えて、ミルフィーは、はっと自分の思考を振り払うように、小さく首を振った。

「……ううん。そんな事、考えちゃダメね」


 規格外の力を持ち、皆から頼られる姉として。だが、その重責を、誰かに分かち合ってもらう事は、彼女自身、これまで許してこなかったのかもしれない。


第三幕 目撃者

 その光景を、少し離れた場所から、クルーンが静かに見つめていた。


 偶然、目が覚めて、外の空気を吸いに出てきたところだった。


「……」


 クルーンは、声をかけようとして、そっと、その手を止めた。


(今は……。そっとしておいた方が、いいのかもしれない)


 ミルフィーの背中には、誰かに慰められる事を、まだ望んでいないような、そんな静かな強さと、脆さが同居しているように見えた。


 クルーンは、静かに、その場を後にした。


 その胸の中にだけ、そっと、今夜見た光景をしまい込んで。


第四幕 静かな朝

 翌朝、いつも通りの、明るいミルフィーが、皆の前に姿を現した。


「さあ、今日は、地球に戻りましょうか」


「うん! お姉ちゃん、お疲れ様!」

 ミルキィが、明るくそう答える。


「ふふ、あなたにお疲れ様なんて言われる筋合いは――」

 いつも通りの、軽口が飛び交う朝だった。


 クルーンは、そんなミルフィーの姿を見つめながら、静かに、そっと微笑んだ。


(大丈夫。あなたは、一人じゃないですよ)

 その想いは、言葉にはならないまま、静かに、クルーンの中だけに留められた。


 悲しみを乗り越えた仲間達は、また新たな一歩を踏み出していく。


 銀河の静けさの中、超戦士スターナイツの物語は、確かな絆と共に、これからも続いていく。

(第十部・完)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。