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第六十二話 変身対決、開幕

第一幕 お題変身

「『一番、知的に見えるもの』――このお題、僕に任せてください!」

 クルーンが、意気込んで杖を構える。


「えいっ!」

 クルーンが変身したのは、分厚い眼鏡をかけた、賢そうな学者風の姿だった。


「ど、どうですか!?」


「んー……。なんか、違う気がする」

 ミルキィが、首を傾げる。


 幼いアストラも、じっとその姿を見つめながら、小さく呟いた。

「めがね……だけじゃ、りろんは、うまれない、もん」


「あ、アストラさん、そういう指摘は、地味に効きますね……」

 クルーンが、しゅんとうな垂れた。


「次は、僕の番だ」

 ホエードが、静かにそう告げると、体を変形させ、分厚い書物が山のように積まれた、図書館のような姿へと変わった。


「これは……! ちしきの、しゅうごうたい、というイメージですね」

 アストラ(幼児)が、思わず、こくりと頷いた。


「ふむ……。悪くない、けど……。まだ、なにか、たりない、きがする」

 その口ぶりは、幼いながらも、確かに理論派らしさを取り戻しつつあった。


第二幕 仲間の模倣

「よし、次は、誰かに変身してみよう!」

 ミルキィが、楽しそうに提案する。


「僕が、やってみます」

 ホエードが、静かに宣言すると、見る間に、ミルキィそっくりの姿へと変化した。


「んー! 美味しい! 幸せぇ!」

 ホエードが、無表情のまま、ミルキィの口調を完璧に再現してみせる。


「あはは! 似すぎ!」

 ミルキィが、大笑いした。


「わたしも……にてる、と、おもう」

 幼いアストラも、思わず、くすくすと笑い声を漏らした。


「よーし、じゃあ次は、私も挑戦!」

 ミルキィが、今度はクルーンの真似をしてみせる。


「ぼ、僕、こんなキャラですかね……!?」

 クルーンが、苦笑いを浮かべながら、恥ずかしそうにそう突っ込んだ。


第三幕 変身アート審査

「――さて。最後は、この星雲ならではの種目です」

 ホエードが、静かに告げる。


「変身アート。彫刻や絵画の姿に変わり、芸術点を競います」


 程なくして、星雲の住民達が、審査員として集まってきた。


「僕から、行きます」

 ホエードが、優雅な曲線を描く、抽象的な彫刻の姿へと変わる。


「おお……! 美しい……!」

 住民達から、感嘆の声が上がった。


「僕も、負けません!」

 クルーンも、負けじと、太陽をかたどった、輝かしい彫像の姿に変身してみせる。


「ふふ……。りょうほうとも、なかなか、やるじゃない」

 幼いアストラが、腕を組みながら、審査員のような口調で、そう呟いた。


 その姿は、いつの間にか、随分と"らしく"なりつつあった。


第四幕 蘇る記憶

「アストラちゃん、今の喋り方、すっごく大人っぽかったよ!」

 ミルキィが、嬉しそうに指摘する。


「え……。わたし、いま……」

 幼いアストラが、はっとした様子で、自分の口元を押さえた。


「なんだか、色んな事を、思い出してきた気がする……」


「その調子だよ! もう少しだ!」

 クルーンが、応援するようにそう告げる。


 賑やかな変身対決は、いよいよ、佳境を迎えようとしていた。

(つづく)


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