第六十話 不規則星雲への旅
暫くシリアスな話が続いた為、今回の第9部はギャグの話になってます。
第一幕 故郷への招待
「――皆さんを、僕の故郷に、招待したいんです」
ホエードが、珍しく、少しだけ照れくさそうにそう切り出した。
「ホエードの故郷!?」
ミルキィが、目を輝かせる。
「くじら座不規則星雲、でしたよね」
アストラが、興味深そうに頷いた。
「はい。少し、変わった場所ですけど……。皆に、見てほしくて」
こうして、一行は、久しぶりに賑やかな旅路に出る事になった。
第二幕 不規則な星雲
辿り着いた星雲は、これまで訪れたどんな場所とも違う、不思議な雰囲気に満ちていた。
「わあ……! 空の色が、コロコロ変わってる!」
ミルキィが、驚きの声を上げる。
「この星雲は、物理法則が、少し独特なんです」
ホエードが、淡々と説明する。
「時間の流れ方が、場所によって違ったり……。あと、これは、あまり知られてないんですが」
「あまり知られてない?」
「この先にある惑星は――触れた者を、一時的に、子供の姿に変えてしまうんです」
「え!?」
一同が、驚きの声を上げた。
第三幕 好奇心の代償
「そ、それって、危険なんじゃ……」
クルーンが、不安げに尋ねる。
「一時的なもので、害はありません。ただ、ちょっとした、騒動の元にはなりますけど」
ホエードが、いつも通りの調子でそう答えた。
「面白そうじゃん! ちょっと見てみようよ!」
ミルキィが、好奇心一杯に、その惑星の方へと駆け出していく。
「ミルキィさん、気をつけて――」
クルーンが呼び止める間もなく、ミルキィは、興味津々に惑星の光る霧に触れようとしていた。
「あ、危ない!」
アストラが、慌てて手を伸ばし、ミルキィを引き止めようとする。
だが、その拍子に、アストラ自身が、淡く輝く霧に触れてしまった。
「アストラちゃん!?」
「――え?」
その光が、アストラの体を、優しく包み込んでいく。
第四幕 小さくなった理論派
光が収まった後、そこに立っていたのは――幼い姿になった、小さなアストラだった。
「あ……。あれ……?」
舌足らずな声で、幼いアストラが、きょとんと辺りを見渡す。
「わあ! アストラちゃん、ちっちゃくなっちゃった!」
ミルキィが、驚きと感動の入り混じった声を上げる。
「これは……! 完全に、幼児化してますね」
クルーンも、目を丸くしていた。
「これも、この星雲の、日常茶飯事です」
ホエードだけが、いつも通りの落ち着いた様子で、そう告げた。
「うぅ……。わたし、なんで、こんな……」
小さなアストラが、涙目になりながら、たどたどしく呟く。
「大丈夫だよ、アストラちゃん! すぐ元に戻るからね!」
ミルキィが、慌てて小さなアストラを抱き上げた。
賑やかで、少し騒がしい休暇の始まりだった。
(つづく)




