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第五十六話 遺された名前

第一幕 機械の迎撃

「来るよ!」

 ミルキィの声と同時に、無機質な惑星の表面から、無数の砲台が姿を現した。


「散開!」

 アストラの指示で、四人は素早く距離を取る。


 放たれた光線が、次々と地表を穿っていく。


「これは、惑星コンピュータ……!」

 クルーンが、驚きながらも杖を構えた。


「生命反応は、感じません。純粋な機械のようです」

 アストラが、冷静に分析する。


「なら、遠慮はいらないな」

 ホエードが、鋭く指を伸ばし、砲台の一つを正確に打ち抜いた。


「これくらいなら、僕達だけでも十分対処できそうです!」

 クルーンが、力強くそう叫んだ。


第二幕 恒星からの砲撃

「今度は、あっちだ!」


 遠く離れた恒星の表面に、巨大な砲台のような構造が浮かび上がる。


「恒星、そのものから撃ってきてる……!?」

 ミルキィが、目を見開いた。


 放たれた光の奔流を、ミルキィが正面から受け止め、力任せに弾き返す。

「くっ……! でも、これくらいなら!」


「油断しないで下さい。この規模の攻撃を、平然と放ってくる時点で――」

 アストラが、険しい表情で呟いた。

「この銀河そのものが、既に、一つの巨大な兵器と化している、という事です」


第三幕 遺された記録

 激戦の合間、一行は、かつて存在したという文明の遺跡へと辿り着いた。


「ここ、かつては、高度な文明があったみたいですね……」

 クルーンが、崩れかけた建造物を見上げながら呟く。


「何か、記録が残っていないでしょうか」

 アストラが、瓦礫の中から、かろうじて損傷を免れた記録媒体を見つけ出した。


「これは……」

 映し出された古い映像には、かつての住人達の、穏やかな暮らしの様子が記録されていた。


「私達の文明を、ずっと支えてくれた存在がいます。彼の名は――」

 途切れがちな音声の中、辛うじて、その名が聞き取れた。


「――エールバード」


「エール、バード……?」

 ミルキィが、その名を、静かに繰り返した。


「Yell(エール)は、励ましや後押しを意味する言葉。そして、Bird(バード)は――」

 アストラが、静かに続ける。

「送り届ける事、そして――自由の象徴、とも言われています」


「知見や、希望を、届け続けてくれる存在……。そう、呼ばれていたようです」

 映像は、そこで途切れていた。


第四幕 名もなき脅威との対峙

「その、エールバードも……。この世界の人々も今は……」

 クルーンが、痛ましげに呟く。


「何が、あったんでしょうか」


「それは、この銀河を調べるしかなさそうだね」

 ミルキィが、静かに、前方の暗闇を見据えた。


 遠く、銀河の中心から、これまでとは比較にならない、圧倒的な気配が漂ってくる。


「行こう。皆で」

 ミルキィの言葉に、三人は、静かに頷いた。


 かつて希望を届けていたはずの存在の行方、そして、この銀河を支配する何かが――いよいよ、目前に迫っていた。

(つづく)


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