第五十三話 姉妹、激突
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今回はミルキィと、姉ミルフィーの戦いです。
第一幕 譲れない想い
「お姉ちゃん、もう一度だけ、聞かせて」
ミルキィが、静かに、しかし強い意志を持って、ミルフィーの前に立ちはだかった。
「通達を、撤回してほしい」
「何度言われても、答えは変わらないわ」
ミルフィーは、冷静な表情を崩さなかった。
「大人になりなさい。スターナイツは、仲良しごっこじゃないのよ」
「!」
「あの子が、これまで何度、危険な思いをしてきたか。あなたが、一番よくわかっているはずでしょう」
その言葉は、正論だからこそ、ミルキィの胸に、深く突き刺さった。
「それでも……! 私は、クルーンと一緒にいたい!」
「まだ、わからないの?」
ミルフィーが、静かに拳を構える。
「なら――力ずくで、教えるしかないようね」
第二幕 空間を歪ませる激闘
放たれた一撃が、辺りの空間を激しく歪ませる。
「くっ……!」
ミルキィは、それを真正面から受け止め、すぐさま反撃に転じた。
拳と拳が、幾度もぶつかり合う。銀河が震えるほどの衝撃が、辺りに轟いていく。
「まだやるのね」
ミルフィーが、僅かに驚きを滲ませながら呟く。
「いつもなら、お腹が減って倒れるくせにね」
そう言うと、渾身の一撃を叩き込んだ。
だが、ミルキィは、それを両腕で正面から受け止める。
その顔からは、大粒の涙が、止めどなく零れ落ちていた。
「お姉ちゃんの、バカ! 私は、クルーンと一緒にいたいの!」
「それは、あなたのエゴよ」
ミルフィーが、再び一撃を放つ。
「スターナイツは、情で動くものではないの。生命の安全を、第一に考えるべきよ!」
その一撃もまた、ミルキィは受け止めた。
「さっさとお腹でも鳴らして、倒れなさい」
第三幕 譲れない答え
「もう、私は空腹だよ」
ミルキィが、震える声で、それでも真っ直ぐに答えた。
「でも――私は、お姉ちゃんを納得させて。この後も、これからも、クルーンと一緒に美味しいご飯を食べたいの……!」
「なら、あなたはもう、スターナイツを辞めなさい」
ミルフィーの声が、これまでになく冷たく響いた。
「あの子と、いつまでも、食って寝て楽しんでればいいわ」
「私は、スターナイツとして、命を助け続けるよ」
ミルキィが、涙を拭いながら、はっきりとそう告げる。
「――でも、クルーンがいなくなったら、私の心には、穴が空くの」
「!」
「それは、お腹が空くのより、ずっとずっと辛いんだから……!」
振り絞った最後の力で、ミルキィは、渾身の一撃をミルフィーへと放った。
その一撃が直撃し――二人は、同時に、その場へ膝をついた。
第四幕 崩れた仮面
「まだ、だよ……。お姉ちゃん……!」
ミルキィが、よろよろと、それでも立ち上がる。
「ほんと、しつこいわね……」
ミルフィーも、スッと立ち上がってみせた。
だが、本当は、彼女もまた、立つのがやっとの状態だった。それでも、姉としての、そしてスターナイツとしての威厳を、決して崩す訳にはいかなかった。
長い沈黙が、二人の間に流れる。
「――今回の通達の件は」
やがて、ミルフィーが、静かに口を開いた。
「仲間の意見も取り入れて、取り下げます」
「!」
「べ、別に、情が湧いたからではないわよ」
ミルフィーが、僅かに視線を逸らしながら、そう付け加える。
「スターナイツのチームとしての意見を、尊重し合う事にした。それだけよ」
「お、お姉ちゃん……!」
ミルキィは、涙ながらに、ミルフィーへと近づいていく。
「やっぱり、バカァ! 素直じゃない!」
力の入らない、それでも精一杯のパンチが、ミルフィーへと放たれた。
「痛いわね! バカは、どっちよ……」
二人は、そのまま、揃ってその場に崩れ落ちた。
空間を歪ませるほどの激闘の果てに残ったのは、勝敗ではなく、拗れたままの、けれど確かな、姉妹の絆だった。
今回は、スターナイツは力より心のテーマを改めて描いた回です。正論とエゴ、譲れない心の戦い。
これは、純粋な心と社会で強く在らねばならない心、また姉妹としての違いを描いてます。




