第五十一話 美しき本気
第一幕 開戦
「行くぞ」
トライの合図と共に、両陣営が、同時に地を蹴った。
アルキンの拳が、トライの顔面へと迫る。
「――速い」
トライは、それを紙一重で躱し、鋭いカウンターを返した。
「ぐっ……!」
アルキンが、僅かに体勢を崩す。
同時に、アトラスとラグルが、光弾と光弾をぶつけ合っていた。
「精密な射撃ですね」
「そちらこそ、無駄がない」
互いに、僅かな笑みすら見せず、真剣な眼差しを交わす。
ルマイアとアイルもまた、拳と拳で激しく渡り合っていた。
「これが、経験を積んだスターナイツの戦い方……!」
「悪くない筋だ、新人!」
第二幕 互角の攻防
戦況は、拮抗していた。
新人達の持つ、荒削りながらも規格外の潜在能力。それに対し、三角銀河トリオは、これまでの数多の死闘で培った経験と技術で応じていく。
「くっ……! 力だけなら、こちらが上かもしれんが……」
トライが、荒い息のまま呟く。
「経験の差、というものを、教えてやろう!」
三人は、目配せ一つで、瞬時に連携を組み替えた。
「アトラス、上から!」
「了解!」
新人達もまた、即座に対応する。彼らの潜在能力は、初見の連携すら、瞬時に順応してみせるほどのものだった。
「な……! この対応力……!」
ラグルが、驚愕の声を漏らす。
両者、互角。それ以上でも、それ以下でもない、真の意味での実力伯仲の戦いが、そこにあった。
第三幕 トライアングル・グローリー、真骨頂
「――ラグル、アイル。あれを、見せる時が来たようだ」
トライの声に、二人は、静かに頷いた。
「トライ、右! ラグル、そこ! アイル、真ん中!」
合図と共に、三人の体が、寸分の狂いもなく、完璧な三角形を描く。
「これが……!」
アルキン達が、思わず息を呑んだ。
「――『トライアングル・グローリー』」
完璧に噛み合った一撃が、真正面から新人三人へと放たれる。
「くっ……!」
アルキン、アトラス、ルマイアは、咄嗟に防御を固めるが、その威力は、彼らの想像を遥かに超えていた。
「ぐああああっ!」
三人は、揃って大きく吹き飛ばされ、地に膝をついた。
第四幕 決着、そして敬意
「まいり、ました……」
アルキンが、悔しげに、それでも清々しい表情で呟いた。
「これが、本物の連携という奴か……」
「まだまだ、僕達には学ぶ事が多いようですね」
アトラスも、静かにそう認めた。
「勉強になりました。ありがとうございます!」
ルマイアが、朗らかに、そして心からの敬意を込めてそう告げた。
「――お前達も、良い動きだった」
トライが、静かに手を差し伸べる。
「経験を積めば、いずれ、俺達を超えるかもしれんな」
「光栄です」
三人は、それぞれ、その手を握り返した。
笑いも、飾りもない、純粋な力と力のぶつかり合いの果てに、確かな敬意が芽生えていた。
だが――この直後、彼らの口から語られる、もう一つの通達の存在を、まだ誰も知らなかった。




