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超戦士スターナイツ  作者: 海原ナギサ
銀河闘争編
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第五話 ミルキィの葛藤

ご覧頂きありがとうございます

第一幕 密集する星々の悲鳴

 銀河の中でも、ひときわ星々が密集する一帯がある。無数の生命体がひしめき合い、文明を育む、賑やかな星域だった。

 その空気が、にわかに張り詰めていた。

「――新しい災厄生命体の反応。しかも、かなり強い……」

 アストラからの報せを受け、ミルキィはすぐさま身支度を整えた。

「他のスターナイツはみんな出払ってるから、私が行くよ。クルーン、一緒に来てくれる?」

「はい、もちろん――って、また僕はお弁当持ちですか……」

 クルーンは笑顔のまま、目にじんわりと涙を浮かべていた。

「僕……惑星の守り神なのになー……なんか悲しい……」

「あはは、頼りにしてるよ、クルーン!」

「その言葉、お弁当担当としての信頼ですよね!? わかってます、わかってますとも!」

 半泣きになりながらも、クルーンは大きな重箱をしっかりと背負い直した。

 二人が星域にたどり着いた時、まさに一つの星が消し去られようとしていた。

「――消え失せろ、ちっぽけな星が」

 禍々しい災厄生命体が放った、これまでにない密度の一撃。

「させないよ!」

 ミルキィは片手でそれを受け止め、跳ね返した。

 だが――

(重い……! 地球で戦った奴なんかとは、比べ物にならない……!)

 手のひらに残る痺れに、ミルキィは思わず息を呑んだ。

「な、なかなかやるじゃないか」

 災厄生命体がニヤリと笑う。だが、その言葉が終わるより早く。

「ギュルルルルルル……」

 辺りに響き渡る、聞き覚えのある音。

「あ……」

「うそでしょ……この状況で……!?」

 クルーンが顔面蒼白になる中、ミルキィは目をぐるぐると回しながら崩れ落ちた。

「お腹……空いた……」

「こ、こんな時に!? わかりました、はい、これ!」

 クルーンが大量のお弁当を差し出すと、ミルキィは半ば無意識のうちに凄まじい勢いで平らげていく。

「んー……幸せぇ……」

 そして満腹になった瞬間、いつも通り、ことりと眠りに落ちてしまった。

「そんな、こんな強敵を前にして……!」


第二幕 僕がやるしかない

「仕方ない……今回ばかりは、僕一人じゃ無理かもしれない……」

 震える声で呟きながらも、クルーンは杖を強く握りしめた。

「けど……僕が、繋ぐしかない……!」

「来い、災厄生命体!」

 鋭い目つきで構えるクルーン。その覚悟に応えるように、周囲に光が集まった。

「――待たせたな、地球の守り神」

「僕らも助太刀するぞ」

 現れたのは、この星域を守護する三体の守り神だった。

 鋭い目をしたキツネの姿の守り神、ライコ。

 穏やかな佇まいのイルカの姿の守り神、マリン。

 鋭い眼光を持つ鷲の姿の守り神、ガルーダ。

「僕らが束になっても、コイツを倒せるかは怪しい」

 ライコが冷静に分析する。

「それより、一人でもやられれば、そのまま総崩れになりかねません」

 マリンが静かに続いた。

「見た所、この中で最も戦闘経験が豊富なのは、地球の守り神クルーン殿とお見受けする」

 ガルーダが、真っ直ぐにクルーンを見据えて言った。

「ならば――我々の力を、すべてクルーン殿に託そう」

「皆様の力で、僕を強化してくれるという事ですね……」

 クルーンは、一瞬だけ息を呑んだ。

 正直、怖かった。今まで幾度となく噛ませ犬にされてきた自分に、それほどの重責を背負う資格があるのか。

 だが――迷っている時間はなかった。

「期待に応えましょう。地球の守り神として――そして、この星域の期待を背負って!」

 三体の光が、クルーンの小さな体に注ぎ込まれていく。


第三幕 覚醒、地球の守り神

「グオオオオ! なんだこの力は!」

 災厄生命体に向け、クルーンは力強く跳躍した。

「はああああっ!」

 小さな体から放たれるとは思えない、鋭い回し蹴り。

「ぐわっ!?」

 災厄生命体が大きく吹き飛び、驚愕に目を見開く。

「や、やれる……! よし!」

 自信を得たクルーンは、続けざまに宿り木の杖から光弾を撃ち込む。

「ぐわあああああああ!」

 悲鳴と共に、災厄生命体の動きが止まった。

「やれ、地球の守り神! 押せー!」

 ライコ、マリン、ガルーダの声援を受け、クルーンにさらなる力が流れ込む。

「これで――決めます!」

 宿り木の杖の先に、惑星サイズの光の塊が形成された。

「うおおおおおおおおおおおお!」

 放たれた巨大な光弾が、災厄生命体を呑み込む。

 轟音と共に、辺り一帯が激しい光に包まれた。

「やった……のか……?」

 一同が、勝利を確信した。

 ――はずだった。


第四幕 絶望の真の姿

 光が晴れたその中心で、ボロボロになった災厄生命体の体が、まるで脱皮するかのようにボロリと崩れ落ちる。

 その中から現れたのは――光すら飲み込むような、漆黒の恐竜じみた巨躯だった。

「な……」

 クルーンは、その瞬間に確信した。

(ああ……もうダメだ……今までのは、本気じゃなかったのか……)

 災厄生命体が、声にならない咆哮を上げてクルーンに飛びかかる。

「くっ……!」

 避けきれないと悟ったクルーンは、とっさに両腕を交差させて防御の構えを取った。

 だが、その一撃は防御ごとクルーンを吹き飛ばし、地面に叩きつける。

「が……はっ……」

 クルーンの体は、それきり動かなくなった。

 災厄生命体の大きな口の中に、真っ黒な球体が生成されていく。それはこの一帯どころか、遥か離れた宇宙空間すら滅ぼしかねない、圧倒的な破壊の予兆だった。


第五幕 姉妹の絆、そして本気の一撃

「クルーン――!!」

 ミルキィが、跳ねるように飛び起きた。

 倒れたまま動かないクルーンの姿に、血の気が引く。

「ミルキィ……」

 クルーンが、掠れた声で微笑んだ。

「僕、皆の力もらって、死力を尽くしたけど……通じなかったよ……。情けないよね、一撃でもう戦えないなんて……」

「ううん」

 ミルキィは、力強く首を振った。

「立派だよ、クルーン。ありがとう。――後は、任せて」

 そう言って立ち上がるミルキィだったが、その表情には、これまでにない焦りが浮かんでいた。

(あれほどの力を出されたら……私も、3割くらいの力を出さないと対抗できない。でも……)

 視線を巡らせる。密集する無数の星々。そこに息づく、数え切れない命。

(そうしたら、この一帯の星々も、無事じゃ済まない……)

 拳を握りしめ、ミルキィは唇を噛んだ。

(こうなったら……私が一度、わざと攻撃を食らって……)

「――全く。私以上の戦闘力を持っているはずなのに、相変わらず力の制御ができないのね」

「え……」

 凛とした声に振り返ると、そこには優雅に佇む一人の女性の姿があった。

「お、お姉ちゃん!?」

 ミルフィーは、静かに妹の隣に降り立った。

「ミルキィ、思いっきりやりなさい。衝撃は私が受け止めるから、周りは気にしなくても大丈夫よ」

「う、うん……! じゃあ――遠慮なく!」

 ミルキィの表情から、迷いが消えた。

 解き放たれた拳が、渾身の力で災厄生命体を貫く。

「ぐ、があああああああああ――!!」

 絶大な衝撃波が周囲を襲うが、それはミルフィーの静かに掲げた手のひらに、綺麗に吸い込まれるように収束していく。

 星々には、傷一つつかなかった。

 災厄生命体は光の塵となって消え去り、辺りに静寂が戻った。

「ミルキィ、あなたは強い。そして、優しい最強の戦士」

 ミルフィーは、妹に向けて柔らかく微笑んだ。

「そう遠くない日に――あなたは、姉の力なんていらない存在になれるわ」

 そう言い残すと、ミルフィーは静かにその場を後にした。

「お姉ちゃん……」

 小さくなっていく背中を見つめながら、ミルキィはぽつりと呟いた。

「クルーン、大丈夫? ……ありがとう、本当に」

「い、いえ……最後は結局、ミルキィとお姉さんに頼っちゃいましたけど……」

「ううん。クルーンが時間を稼いでくれなかったら、私、もっと大変な事になってたよ」

 ミルキィはそう言って、いつもの笑顔を見せた。

 ライコ、マリン、ガルーダの三体も、崩れ落ちるように安堵の息を吐く。

「まさか、これほどとは……」

「地球の守り神と、銀河最強のスターナイツ……恐るべき星ですね、地球は」

 その言葉に、クルーンは照れくさそうに頭を掻いた。

「あはは……次はもうちょっと、格好良く戦えるように頑張ります」

 密集する星々の空に、静かな平和が戻っていった。

(つづく)


今回はクルーン覚醒の全力バトルでした。

次回から、スターナイツ達が集まる大会編が始まります。

今回のクルーン格好よかったよと思って下さったら、

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