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第四十六話 言葉の刃

ご覧頂きありがとうございます

第一幕 駆けつけたクルーン

「ゼラさん!」

 クルーンが、息を切らしながら駆けつけた。


「クルーン……! 来るな、コイツは、ヤバい……!」


「いえ、一人にはさせません!」

 クルーンは、迷わず杖を構えた。


「――キャンディクルーンだ!」

 輝く飴玉のようなオーラを纏い、クルーンはフェクトの前に立ちはだかる。


「ほう。地球の守り神、か」

 フェクトが、興味深そうにクルーンを見やった。


第二幕 善戦

「はあああっ!」

 クルーンの繰り出す一撃は、これまでの旅と修行で培われた、確かな実力を伴っていた。


「くっ……!」

 フェクトが、僅かに体勢を崩す。


「やるじゃないか。噂には聞いていたが……」


「まだまだ、これからです!」

 クルーンは、休む事なく攻め続けた。ゼラを守る為、そして、取り込まれたロランを救う為に。


「このまま、押し切ります!」

 その気迫に、フェクトは、ほんの一瞬、僅かに押され始めていた。


第三幕 言葉の刃

「――なあ、地球の守り神」

 劣勢の中、フェクトが、ふと静かに語り始めた。


「僕だって、望んでこんな存在に生まれてきた訳じゃない」


「!」

 クルーンの拳が、僅かに止まる。


「マゼラン星雲の、あらゆる負の感情が集まって生まれた。誰にも望まれず、誰にも見守られず……。気づいたら、こうなっていたんだ」


「そんな……」


「僕だって、ロゼランのようになりたかったよ。体は二つでも、心は一つだと言い合える、そんな存在に」

 その言葉は、まるで傷ついた心そのもののように、静かにクルーンの中へと入り込んでいった。


(この人も……。本当は、苦しんでいたのかもしれない……)

 地球の守り神として、幾多の命を見守り続けてきたクルーンの優しさが、その一瞬、完全に足を止めさせてしまった。


「――今だ」

 フェクトの声が、冷たく変わる。


第四幕 敗北、そして残るロランの声

「な――」

 油断した隙を、フェクトは見逃さなかった。強烈な一撃が、無防備なクルーンを打ち抜く。


「がはっ……!」

 クルーンは、大きく吹き飛ばされ、地に伏した。


「クルーン!」

 ゼラが、悲痛な声を上げる。


「心の綺麗な神様だ」

 フェクトが、倒れたクルーンを見下ろしながら、静かに告げた。


「だがお前が、マゼラン星雲にいなくてよかったぜ」


「……どういう、意味だ」


「俺が、生まれなかっただろうからな」

 その言葉を最後に、フェクトは、勝ち誇るように背を向けた。


 だが――その時。


「――言ったはずだ」


 フェクトの内側から、くぐもった声が響いた。


「俺達は、体は分かれても、心は一つだ。それは……お前に取り込まれても、同じだ!」

 ロランの声だった。


「なっ……! お前、まだ――」

 フェクトの体が、僅かに、内側から軋むように揺らいだ。


「クルーン、まだ……!」

 地に伏したまま、ゼラが、必死に声を振り絞る。


 倒れたクルーンの意識は朦朧としながらも――その優しさは、決して折れてはいなかった。

ここまでご覧頂きありがとうございます。

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