第三十七話 惑星の守り神、一人で立つ
第一幕 単独での対峙
「――さて、それじゃあ、俺の相手は」
レギオンが、周囲を見渡す。
「僕です!」
真っ先に前へ出たのは、クルーンだった。
「クルーンさん、無理はしないで下さい。危険なら、すぐに――」
アストラが、心配そうに声をかける。
「大丈夫です。今の僕なら、一人でも戦えます」
クルーンの声には、確かな自信が滲んでいた。
「お前が、俺の相手か? まあ、いいだろう」
レギオンが、気だるげに、しかし油断なく構えた。
これまでのように、誰かの力を借りるのではない。クルーンは、自分自身の力だけで、目の前の相手と向き合おうとしていた。
第二幕 磨き上げた実力
「行きます!」
クルーンが、宿り木の杖を構え、鋭く踏み込んだ。
「ほう」
レギオンが、僅かに目を見開く。
放たれた光弾の連撃、そして踏み込みの速さは、これまでの旅と修行を経て、確かに研ぎ澄まされていた。
「悪くない動きだ。だが――」
レギオンの拳が、軽々とクルーンの攻撃を弾き返す。
「くっ……!」
力の差は、依然として大きい。だが、クルーンは怯まなかった。
「これで、終わりですか? まだまだ、いけます!」
三角銀河トリオに鍛えられた洗練された動き、ホエードに教わった持続力、そして何より、これまでの旅で培われた、折れない心。
それら全てを注ぎ込み、クルーンは何度も、何度も立ち上がっては、攻撃を繰り返した。
「惑星サイズの光弾とは部長を思いだすな、だが部長はもっと怖い……」
レギオンが、次第に、その表情から気だるさを消していく。
第三幕 互角の一撃
「そろそろ、本気でいくぜ」
レギオンの拳に、これまでとは比較にならない力が込められる。
「僕も、負けません!」
クルーンは、いつもの飴玉のようなオーラを、静かに、しかし確かに纏った。
だが、それはホエードやウェルから力を借りたものではない。これまでの修練の果てに、クルーン自身が完全に使いこなせるようになった、彼自身の力だった。
「――キャンディクルーン!」
「!」
クルーンの青く輝く惑星サイズの光弾が、レギオンの放つ拳に正面から激突する。
轟音と共に、辺りに激しい衝撃波が広がった。
「な、なんだこの力は……! 異次元には伝説の超戦士スターナイツがいると聞いたがお前がそうなのか!?」
レギオンが、驚愕の声を上げる。
「いや――」
クルーンは、息を切らしながらも、誇らしげに答えた。
「惑星の守り神だ!」
第四幕 認められた誇り
「……惑星の、守り神?」
レギオンが、目を丸くする。
「はい。僕は、スターナイツじゃありません。でも、地球を守る神として、皆と一緒に戦ってきました」
クルーンの言葉に、レギオンは、しばし呆然としていた。
「スターナイツでもねえのに、これだけやるのか……」
「僕にとっては、皆が誇りなんです。だから、皆に恥じない自分でいたくて」
クルーンの、真っ直ぐな瞳に、レギオンは、思わず口元を緩めた。
「……いいもん、見せてもらったよ」
レギオンは、構えを解き、静かにそう告げた。
「俺は、正直、こんな気持ちで戦った事、あんまりねえかもしれねえ」
「レギオンさんは、レギオンさんの戦い方があると思います」
クルーンが、そう返すと、レギオンは、小さく笑った。
「ふっ……。お前、いい奴だな」
激しい戦いの果てに、二人の間には、不思議な、けれど確かな敬意が芽生えていた。
辺りには、クルーンが一人で戦い抜いたという事実だけが、静かに、そして確かに残されていた。




