第三十一話 燃える特訓
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第一幕 修行開始宣言
「という事で、今日から、皆の特訓を始めるわ」
ミルフィーが、涼やかな声でそう告げた。
「え、いきなりですか!?」
ミルキィが、驚いた声を上げる。
「善は急げよ。それぞれに、相応しい指導役を用意してあるわ」
ミルフィーが指を鳴らすと、見覚えのある顔ぶれが、次々と姿を現した。
「よお! 待ってたぜぇ!」
真っ先に声を上げたのは、マゼラン星雲のゼラだった。その後ろには、いつも通り無愛想なロランの姿もある。
「まずは、ウェル。お前の特訓は、俺達が担当だ」
「え、僕をですか?」
ウェルが、戸惑ったように問い返す。
「ああ。お前、大会以来ずっと気になってたんだよな。強えのに、どこか自信なさげでよ」
ゼラが、にやりと笑う。
「今日から、俺達がその根性、鍛え直してやるぜ!」
第二幕 燃える特訓
「まずは、ひたすら実戦形式のスパーリングだ! 遠慮すんな、来い!」
ゼラが、拳を構えて吠える。
「い、いいんですか、本気で……」
「本気じゃなきゃ、意味ねえだろうが!」
ウェルは戸惑いながらも、次第に本気の応戦へと切り替えていく。
「その動き、まだ硬い。もっと肩の力を抜け」
ロランが、冷静に指摘を挟む。
「お前、いつも『自分はミルキィほどじゃない』って、勝手に線引きしてるだろ」
「!」
「だがよ、俺達だって、ミルキィには到底敵わねえ。それでも、俺達には俺達の戦い方がある」
ゼラの言葉に、ウェルは、はっとした表情を浮かべた。
「燃えて来たか? ウェル!」
「――はい!」
ウェルの動きが、みるみる鋭さを増していく。
拳と拳がぶつかり合う音が、幾度となく響き渡った。
第三幕 空腹との闘い
少し離れた場所では、ミルキィが、一人で特訓に励んでいた。
「よし、まずは、お腹が空いても平然としていられるように……!」
クルーンが見守る中、ミルキィは静かに座禅を組み、精神統一を試みる。
「んん……。まだ、大丈夫……」
だが、数分もしないうちに、ミルキィの腹から、聞き慣れた音が鳴り響いた。
「ぐぅ……。あ、あれ、なんか力が……!」
「が、頑張って、ミルキィさん!」
クルーンが、ハラハラしながら見守る。
「んんんん……! やっぱり――」
ミルキィの瞳が、じわりと涙で滲んでいく。
「無理いいい!」
「え!?」
「無理なもんは、無理いいい!!」
半泣きで叫びながら、ミルキィはその場にへたり込んでしまった。
「あ、あはは……。ま、まあ、一歩ずつ、頑張りましょう」
クルーンが、苦笑いを浮かべながら、そっと肩を叩いた。
第四幕 芽生えた自信
夕暮れ時、特訓を終えたウェルは、満身創痍ながらも、これまでにない充実した表情を浮かべていた。
「はぁ……。ありがとうございました、ゼラさん、ロランさん」
「おう、筋はいいぜ、ウェル」
ゼラが、満足げに笑う。
「お前は、もっと胸を張っていい。俺達が保証する」
ロランも、珍しく素直にそう告げた。
「……はい。ありがとうございます」
ウェルの表情には、以前よりも、明らかな自信が宿っていた。
その様子を見ていたミルフィーが、ふと視線を、ぐったりと座り込んだままのミルキィへと向ける。
「……ミルキィは、あまり変わらなかったみたいね」
「えへへ……」
気まずそうに笑うミルキィに、傍らのウェルが、思わず苦笑いを浮かべた。
「まあ、ミルキィさんは、何もしなくても、勝手にナンバー1を走り続けますから」
「それ、フォローになってるの?」
ミルキィが、ジト目でそう突っ込む。
その光景に、一同から、思わず笑いが零れた。
厳しくも、どこか温かい特訓の日々は、まだ始まったばかりだった。
(つづく)
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