第三十話 目覚めと、それぞれの想い
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第一幕 目覚めと謝罪
「……ここ、は」
キャンが、ゆっくりと目を開けた。
「気がつきましたか」
アストラが、静かにそう声をかける。
「俺、は……」
周囲を見渡し、レグルスとヴェガも、同じように呆然とした表情で身を起こしていた。
「俺達、一体何を……」
ヴェガが、震える声で呟く。記憶は朧げながらも、自分達がした事の輪郭だけは、確かに残っているようだった。
「ウェル……。俺は、お前に、何を……」
キャンが、顔を上げられないまま、ウェルへと視線を向ける事すらできずにいた。
「キャン」
ウェルが、静かに歩み寄る。
「僕は、大丈夫です。それより――あなた達の方が、辛かったはずです」
「な、なんでだよ。俺達は、お前を傷つけようとしたんだぞ」
「悔しさも、劣等感も……。僕にも、覚えがあります。だから、あなた達の気持ちが、少しはわかる気がするんです」
その言葉に、キャンは、しばし言葉を失った。
「俺は……。ずっと、お前に嫉妬してた。同期なのに、置いていかれたみたいで」
「悔しいと思う気持ちは、悪い事じゃないと思います。ただ――その気持ちに、飲まれてしまったのが、良くなかっただけで」
ウェルが、穏やかにそう告げると、キャンは、ようやく顔を上げた。
「……悪かったな、ウェル」
「僕も、あなた達の悔しさに、もっと早く気づいてあげられていたら」
「それは、お前のせいじゃねえよ」
レグルスが、苦笑いを浮かべながら口を挟む。
「俺達が、勝手にひねくれてただけだ」
「これからは、また、同期として、対等な立場で頑張りましょう」
ウェルの言葉に、三人は、それぞれ照れくさそうに頷いた。
第二幕 ウェルの想い
少し離れた場所で、ウェルは、アストラに深く頭を下げていた。
「アストラさん。今回は、本当に、ありがとうございました」
「いえ。私は、当然の事をしただけです」
「僕は、まだまだ未熟です。でも――あなたの言葉で、目が覚めました。資格なんて、誰にも奪えない、って」
「ええ。それは、本当の事です」
アストラは、静かに微笑んだ。
「これからも、隣で戦わせてください。あなたと一緒なら、僕はきっと、もっと強くなれます」
「はい。私も、同じ気持ちです」
二人の間に、これまでとは少し違う、より深い信頼の空気が流れていた。
第三幕 ミルフィーの喝
「――全く。とんでもない事になっていたようね」
どこからともなく、涼やかな声が響いた。
「お姉ちゃん!?」
ミルキィが、驚いて振り返る。
「一通り、事情は聞いたわ。ウェルが闇に落ちかけた事も、含めて」
ミルフィーの表情は、これまでになく厳しかった。
「正直に言うわ。あなた達、最近、少したるんでいるんじゃない?」
「た、たるんでる?」
「大会で結束を固めたのは良かった。でも、その慢心が、今回のような隙を生んだとも言えるわ」
ミルフィーの言葉に、一同は、思わず居住まいを正した。
「決めたわ。近々、私が皆を鍛え直します」
「え、鍛え直すって……」
「精神も、力も。もっと磨きなさい。次に、こういう事が起きた時、確実に守り抜けるように」
その宣言に、ミルキィ達は、揃って苦笑いを浮かべた。
「うぅ……お姉ちゃんの修行、絶対厳しいやつだ……」
「覚悟しておきなさい」
ミルフィーは、そう言い残すと、静かにその場を後にした。
一同は、しばし顔を見合わせた後、それぞれに小さく笑みをこぼす。
「まあ、なんにせよ……。皆、無事で良かったです」
アストラの言葉に、皆が頷いた。
新たな絆と、新たな課題を胸に――超戦士スターナイツの物語は、次なる章へと歩みを進めていく。
(第三部・完)
ここまでご覧頂きありがとうございます。
「スターナイツの役割は恐怖と力で従わせる事ではない」というミルキィのセリフを、物語の方向性にしているので、3章で心をテーマとする物語へ着地させ、ここまで積み重ねてきたキャラや世界感から、ヒューマンドラマよりにしてみました。
もともと、このスターナイツという物語は漫画で描く予定で、毎話敵が出てくるドタバタギャグから、ミルキィが空腹からの満腹でダウンし、その間をクルーンや他のスターナイツが前座として戦い、目覚めたミルキィが解決というパターンのバトルコメディで考えていましたが、視覚効果のない文章にすると、そういったワンパターン展開ではメリハリも面白みもなくなる為、3章のような人間らしい心の話へと振り切ってます。
初期の話に出てきた、ミルキィが目をグルグル回してる、アストラが敵を遠ざけてから必殺技で挟み撃ちにする、ホエードがケーキに変身する、こういった視覚的なネタが多いのも元はギャグ漫画で考えていた為です。
ここからの超戦士スターナイツはギャグも勿論入りますが、心の物語中心になり、雰囲気も変わっていきますが、まだまだ物語は続きますので是非これからもご覧下さい。
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