表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超戦士スターナイツ  作者: 海原ナギサ
銀河闘争編
PR
3/36

第三話 三角銀河のスターナイツ

第3話ご覧頂きありがとうございます

第一幕 美しき陣形(自称)

 地球の空に、またしても唐突な光が降り注いだ。

 今度は一人ではない。三つの人影が、示し合わせたようにビシッと着地を決める。

 いずれも戦隊ヒーローを思わせる流線形のヒーロースーツを纏っているが、体格はまるで違った。

ひときわ背が高く堂々とした一人、トライ。

中肉中背でどこか神経質な一人、ラグル。

そして、頭一つ小さい、けれど妙に目つきの鋭い一人、アイル。

「見よ! これぞ我ら三角銀河スターナイツ、伝説の陣形――『トライアングル・グローリー』!」

 リーダー格のトライが高らかに叫び、ビシッとポーズを決める。

 だが、その隣でラグルが腕を組んだまま眉をひそめた。

「……いや、待て。お前、また少し右にズレてる。この陣形は正三角形が美しさの命だと、何度言えばわかるんだ」

「はあ? ズレてるのはお前だろ、まとめ役気取りが」

「な……! 僕はいつだって完璧な位置取りを――」

 言い争いが始まったその横で、アイルがつまらなそうにそっぽを向いていた。

「……どうでもいいけど、俺様が一番強いんですけど。陣形とか正直興味ないんだけど」

「お前は黙ってろ子供! まだ実戦経験も浅いくせに!」

「はぁ!? 誰が子供だ、この前の戦闘で一番活躍したの俺だろ!」

 美しい陣形を見せに来たはずが、三人はあっという間に、まるで美しくない大喧嘩を始めていた。

 その様子を、丘の上でのんびり寝転がっていたミルキィが、むくりと起き上がって眺めている。

「あはは、賑やかだねー。まあまあ、みんな落ち着きなよ」

 いつもの調子でひらひらと手を振るミルキィ。

 だが、そこに漂う不穏な戦闘力の気配を、遠く離れたところで感じ取った者がいた。

「――この気配、まさか」

 瞬時に星の道を駆け、アストラが駆けつける。

「ミルキィ! 大丈夫ですか、何が――」

「あ、アストラちゃん、平気平気。ちょっとした痴話喧嘩みたいなもんだから」

「痴話喧嘩というレベルの戦闘力じゃないんですが……」

 そこへ、クルーンまでもが泣きそうな顔で飛んできた。

「ちょ、ちょっと待ってください! そんな力がぶつかり合ったら、この星が壊れちゃいますよ! お願いですからここで争わないで下さい!」


第二幕 消えたご馳走

「まあまあ、みんなちょっと落ち着いてさ。お腹すいてカリカリしてるんじゃない? ほら、これ食べなよ」

 ミルキィはにっこり笑いながら、地球自慢のご馳走をずらりと差し出した。

 ――だが。

「下らない」(トライ)

「な――」

「美しくない」(ラグル)

「ちょ、ちょっと」

「引っ込んでろ」(アイル)

 三人はそれぞれ容赦のない光弾を放ち、ご馳走の山を一瞬で消し飛ばしてしまった。もうもうと立ち上る煙だけが、そこにあった幸せの痕跡だった。

「……」

 辺りの空気が、すっと冷えた。

 ミルキィの笑顔から、表情がすとんと抜け落ちる。

「――いくら三角銀河のスターナイツの皆でも。仲間でも。地球のご馳走をこんなにしたら、許さないよ……?」

 その声は、決して大きくはなかった。だが、そこに込められた圧に、三人はぴたりと言い争いを止めた。

「お、お前が強いのは知ってるが……俺達だって三角銀河最強の三人だぞ。お前がいくら最強でも、実力なら負けてない!」

 トライが、震える声で虚勢を張る。

「なら――試してみる? 君達が強いのは私もよく知ってるから、手加減はしないよ」

 ミルキィは静かにそう言うと、拳を構えた。


第三幕 束の間の交戦

 三人が同時に飛びかかる。

 放たれる光弾、突き出される拳――だがミルキィはそのすべてを紙一重で躱し、反撃の一撃を放った。

 咄嗟に受け止めたのは、アイルだった。

「ぐ……!」

 両腕をクロスして防御した体勢のまま、ズザザッと地面を削りながら後退し、そのまま片膝をつく。見た目に反して、彼が誰よりも耐えていたことは明らかだった。

「あ、ごめんね、ちょっとお腹空いてて、あんまり力出なかったよ……」

 ミルキィが、悪びれもせずぽつりと呟く。

 その一言を聞いたラグルの顔から、すっと血の気が引いた。

(今の一撃……本気じゃなかった、だと……!?)

「な……」

 声にならない声を漏らし、ラグルはガタガタと震え始めた。


第四幕 仲裁、そして決着は食レポで

「――待って下さい」

 張り詰めた空気を割って、アストラが二人の間に静かに割り込んだ。

「私達は、守護戦士スターナイツですよ。こんな事で争って銀河を消滅させて――それが、スターナイツのやる事なんですか?」

 凛としたその声に、ミルキィもハッとした顔になる。

「……アストラちゃんの言う通りだよ。私達はスターナイツ。争うのは、やめようよ」

 ふっと肩の力を抜き、いつもの笑顔に戻るミルキィ。

 その変化に、三角銀河の三人は誰よりもホッとした顔を見せた。

「ま……まあ、ミルキィがそう言うんなら仕方ねぇな。み、見逃してやるよ」

 トライが、まだ震える声で強がる。

「お、俺達最強の三人ならミルキィぐらい――!」

 片膝をついたまま威勢よく言いかけるアイルの横で、ラグルが慌てて口を挟んだ。

「あ、ああ……! アイツも腹減ってるみたいだし、多分いけそうだけど……ま、まあ、今日はおあいこにしてやるか。ハハハ……」

(――怖くてちょっと漏らしちゃったよ……)

 誰にも聞こえない小さな呟きが、ラグルの内心に虚しく響いていた。

 空気が和らいだのを見て、ミルキィはにっこりと満面の笑みを浮かべる。

「それじゃ仲直りの証に――地球のご馳走、食べて感想言ってよ! それであなた達も、同じくらい美味しい料理作ってみてね!」

「ええええ!?」

 三人の絶叫が、綺麗にハモった。

「ま、まあ……俺達は最強の三人だ。食レポと料理くらい、してやるよ!」(トライ)

「そ、そうだそうだ! それで黙らせてやるぜ!」(ラグル)

「……(小さくため息)俺様は最初から興味ないんだけど……」(アイル)

 ぶつぶつ言いながらも、結局は三人揃って腕まくりを始める。

 そんな彼らを眺めながら、クルーンは呆れ半分安堵半分の表情でぼそりと呟いた。

「争いを止めたと思ったら……次は料理対決ですか……」

 星空の下、地球の台所は、にわかに騒がしくなるのだった。

(つづく)


次回はシリアス回になります。

ここまでポンコツ揃いのスターナイツ達は、シリアスな敵に立ち向かえるのか。


【ポイント評価(☆☆☆☆☆)】や【ブックマーク追加】をしていただけると、執筆の大きな励みになります!よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ