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超戦士スターナイツ  作者: 海原ナギサ
心の影編
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第二十七話 目覚めた守護者

ご覧頂きありがとうございます

第一幕 軋む正義

「聞いた事があります。正義の心を失ったスターナイツの破壊力は、何倍にもなってしまうと……」

 アストラが、闇に染まった三人を見据えながら、静かに呟いた。

「いい子ぶってんじゃねえよ」

 キャンが、昏い笑みを浮かべる。

「正義なんて、とっとと捨てちまえ。それが嫌なら――俺達に倒されな!」

 言葉と共に放たれる攻撃は、これまでの彼らからは想像もつかない威力を伴っていた。

「くっ……!」

 アストラは、遠隔操作で応戦しながらも、必死に言葉を継ぐ。

「あなた達は、まだ引き返せます! こんな力に、頼らなくても――」

「うるせえ! お前に、何がわかる!」

 ヴェガの一撃が、アストラの防御をこじ開ける。

「ぐっ……!」


第二幕 崩れゆくウェル

 ウェルは、その光景を、ただ立ち尽くしたまま見つめていた。

「僕が……目指すのは、皆を守る力……」

 その呟きは、次第に力を失っていく。

「ウェルさん、しっかり――!」

 クルーンが叫ぶも、その声すら、ウェルの耳には遠く霞んでいた。

 闇に染まった三人の言葉が、じわじわと彼の心を蝕んでいく。

「お前も、結局は俺達と同じだったんだよ」

「ナンバー2なんて、所詮まがい物だ」

「本当は、お前だって――怖いんだろう。ミルキィに、追いつけない自分が」

 その言葉の一つ一つが、ウェルの中に眠っていた不安を、容赦なく揺さぶった。

「僕、は……」

 彼の拳から、力が抜けていく。

 次の瞬間、レグルスの強烈な一撃が、無防備なウェルの体を捉えた。

「ぐああっ!」

 ウェルは、大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「ウェルさん!」

 クルーンが悲鳴を上げるが、彼自身もキャンディクルーンの力が既に尽きかけ、防戦一方だった。

 朦朧とする意識の中、ウェルの瞳には、じわりと昏い影が差し始めていた。


第三幕 目覚めた守護者

「――もう、大丈夫」

 静かな声と共に、眠っていたはずのミルキィが、ゆっくりと体を起こした。

「ミルキィさん!」

「クルーン、ウェル、アストラちゃん、待たせてごめん」

 ミルキィの瞳には、もう先程までの迷いはなかった。

「相手はきっと、無事では済まないかもしれない。それでも……今、私がやらないと」

(このままじゃ、キャン達は、本当の災厄生命体になっちゃう)

 ミルキィは、静かにそう心に決めると、闇に染まった三人へと歩みを進めた。

「グヒ……! 寝ぼけ眼で、来やがったか!」

 レグルスとヴェガが、同時に飛びかかる。

 左右から放たれる、渾身の上段蹴り。

 ミルキィは、それぞれを片腕ずつで、正面から受け止めた。

「な……! 片腕で、受け止めやがっただと!?」

 レグルスが、驚愕の声を上げる。

 その時、ミルキィの目に、じわりと涙が滲んだ。

「お、おい、あいつ……! ミルキィの奴、痛くて泣いてるぞ!」

 ヴェガが、そう指摘する。

「……あくびが出ただけだよ」

 ミルキィは、涙の滲んだ目のまま、二人を静かに睨みつけた。

「や、やせ我慢だ!」

「馬鹿にしやがって……!」

 憤る二人をよそに、両腕の塞がったミルキィめがけ、キャンが目にもとまらぬ速さで突っ込んでくる。

「もらったぁぁ!!」

(私が痛いのは、心。でも……皆はきっと、もっと痛い。心も、これから私が放つ一撃も)

 至近距離まで迫ったキャンが、腕を大きく振りかぶる。

「俺の全力のエルボーも、銀河を消滅させちゃうかもなあ!?」

「かもね」

 ミルキィは、淡々とそう答えると、両腕に受け止めていた二人を勢いよく跳ね飛ばし、素早く構え直した。

「でも――私の渾身のストレートはね。時空を引き裂いて、銀河をも消滅させちゃうよ……!」

 放たれた右ストレートが、キャンのエルボーを真正面から迎え撃つ。

「……たとえそれが、六割の力でもね」

 光すら飲み込むほどの激しい爆発が巻き起こる中、ミルキィの静かな声だけが響いた。

 爆発が収まると、ミルキィは片手で涙を拭い、残る二人へと視線を戻す。

 その足元には、キャンが、静かに崩れ落ちていた。


第四幕 残された影

「て、てめえ……! よくも――」

 レグルスとヴェガが、憤怒の形相で身構える。

「まだ、続ける気? できれば……もう、やめてほしいんだけどな」

 ミルキィの声には、怒りではなく、深い悲しみが滲んでいた。

「うるせえ! 俺達は――」

「わかった。なら、二人まとめて、眠ってもらうね」

 ミルキィは、静かに、しかし迷いのない足取りで、二人へと向き直った。

 その激闘のさなか――地に伏したウェルの体を、闇色の光が、ゆっくりと包み込み始めていた。

 誰も、まだそれに気づいていなかった。

(つづく)


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