第二十六話 繋がれる想い、そして眠り
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第一幕 戦闘開始、ウェル奮戦
「ウェル。俺達の、本当の実力を見せてやるよ」
キャンが、昏い笑みを浮かべながら、一気に間合いを詰めてきた。
「くっ……!」
ウェルは、とっさに防御の構えを取る。だが、受け止めた拳の重さは、以前の彼が知るキャンとは、まるで別人のようだった。
「速い……! それに、力も桁違いだ……!」
続けて、レグルスとヴェガも、左右から挟むように攻撃を仕掛けてくる。
「三人がかりとは、正々堂々とは言えませんね」
「正義なんて、もうどうでもいいんだよ」
ヴェガが、感情の抜け落ちた声でそう告げた。
ウェルは、鍛え抜かれた技で幾度も攻撃を捌くが、防戦一方の状況が続いていく。
「はぁ……はぁ……。このままじゃ……!」
第二幕 キャンディクルーン、参戦
「ウェルさん、僕も加勢します!」
クルーンが、杖を構えながら駆け寄る。
「クルーンさん、下がって! 相手は――」
「ここは、僕に力も貸してください!」
ウェルは一瞬迷ったが、すぐに頷いた。
「わかりました。――闘気付与!」
ウェルの体から発せられた光が、クルーンの中へと流れ込む。それに応えるように、ホエードから継いだ、あの飴玉のような輝きが、クルーンの全身を包み込んだ。
「いくよ! キャンディクルーンだ!」
「小僧、生意気な力を……!」
キャンが、忌々しげに舌打ちする。
クルーンの加勢を得て、ウェルはようやく反撃の糸口を掴み始めた。だが、闇落ちした三人の力は、それでもなお、これまでのどんな敵よりも底知れなかった。
第三幕 空腹の女神、そして脱落
「もう見てられない!」
ミルキィが、ついに前へと躍り出た。
「ミルキィさん!」
「皆、待たせてごめん! ここは私が――」
拳を振り上げるミルキィだったが、その瞳に、一瞬の迷いが浮かぶ。
(相手は……同じスターナイツの仲間。全力で殴るなんて――)
その僅かな躊躇いのまま放たれた一撃は、本来の威力には遠く及ばなかった。
「ぐっ……!」
キャンが怯みながらも、すぐに体勢を立て直す。
「舐めるなよ……! 手加減、しやがって……!」
「そんな……」
ミルキィの拳は、確かに通用してはいた。だが、決定打には至らない。想像以上に強大化した三人を前に、ミルキィの体力も、着実に削られていく。
「ぐ……お腹、空いてきちゃった……」
「ミルキィさん、これを!」
クルーンが、戦いながらも懐から取り出した小さな包みを差し出す。
「ありがと、クルーン……!」
戦線を保ちながら、ミルキィは急いでそれを頬張った。
だが――
「んん……ふぅ、生き返っ……あ」
満たされた腹に、抗いがたい眠気が押し寄せてくる。
「ま、まずい……。やっぱり、眠くなってきちゃった……」
「ええっ!? 今!?」
クルーンの悲鳴も虚しく、ミルキィはその場に崩れ落ちるように眠りに落ちてしまった。
「こ、こんな時に……!」
「大丈夫、まだ、僕らがいます!」
ウェルとクルーンは、眠るミルキィを庇いながら、なおも三人の猛攻を凌ぎ続けた。
第四幕 異変を察知した者
「くっ……! 一体、いつまで持つか……!」
ウェルが、荒い息のまま、追い詰められていく。
その時――
「――この気配、まさか」
瞬時に星の道を駆け抜け、一人の人物が舞い降りた。
「アストラさん!」
ウェルが、驚きと安堵の混じった声を上げる。
「異常な戦闘力の反応があったので、急いで来ました。……この状況は」
アストラは、闇に染まった三人の姿を見て、静かに息を呑んだ。
「彼らは、大会で戦ったスターナイツ……。何が、あったんですか」
「わかりません。ですが……様子が、明らかにおかしいんです」
ウェルが、悔しげにそう答えた。
「キャン、レグルス、ヴェガ……あなた達に、一体何が」
アストラの静かな問いかけに、キャンは、昏い笑みを浮かべたまま応じた。
「――お前らには、関係ない話だ。だが、ちょうどいい。理論派のスターナイツも、一緒に叩き潰してやるよ」
「……そういうつもりなら、私も」
アストラは、静かに、しかし確かな決意を持って、構えを取った。
眠るミルキィを背に、ウェル、クルーン、そしてアストラ――三人の想いが、静かに繋がっていく。
闇に染まった同期達との戦いは、ここからが、本当の始まりだった。
(つづく)
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