第十五話 ナンバー1と2の近道
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第一幕 「ここが近道!」
「ねえウェル、こっちの航路の方が早そうだよ!」
ミルキィが、星図をひょいと覗き込みながら、明るい声で言った。
「え、そのルートは……」
ウェルが確認すると、そこには目立つ警告マークが並んでいた。
「災厄生命体多発地帯、って書いてありますけど……」
「大丈夫大丈夫! ここが一番近道になるって!」
「い、いや、それはそうかもしれませんが……」
ウェルが言い終える前に、ミルキィはすでにその航路へと舵を切っていた。
「お腹減っても、知りませんよ……?」
ウェルが、心配そうに小さく呟く。
「その時はその時だよ!」
ミルキィは、屈託のない笑顔でそう答えた。
第二幕 撃退、また撃退
航路に入った途端、周囲の暗闇から、次々と災厄生命体の気配が湧き上がってきた。
「グヒヒヒヒ! 侵入者だ!」
「まとめて喰らってやる!」
四方八方から、無数の敵が殺到する。
「来た!」
ミルキィが軽く跳躍し、拳を一閃。
「ぐわっ!」
一撃で吹き飛ぶ災厄生命体。それと同時に、ウェルも鋭い蹴りで別の敵を薙ぎ払っていた。
「ミルキィ、右!」
「了解!」
息の合った連携で、二人は次々と押し寄せる敵を捌いていく。
ミルフィーの「邪魔」の一言で消し飛ばすような圧倒的な力ではないが、危なげなく、着実に、確実に道を切り開いていく。その様は、まさに銀河でも一、二を争う実力者同士の連携だった。
「はは、思ったより楽勝じゃん!」
「油断しないで下さい。数が多いだけで、一体一体はそれなりの強さです」
ウェルが冷静に指摘しながらも、その表情にはどこか誇らしさも滲んでいた。ミルキィと肩を並べて戦えている事実そのものが、彼にとって特別な意味を持っていた。
「グ、グオオオオ!」
一際大きな災厄生命体が、巨大な拳を振り下ろす。
「危ない!」
ウェルがとっさに割り込み、ミルキィを庇うように受け止めた。
「ウェル!」
「大丈夫です。この程度――なら!」
力任せに拳を弾き返し、そのまま渾身の正拳突きを叩き込む。巨体の敵は、あっけなく地に伏した。
「おお、かっこいい!」
「そ、そうですか? ……えへへ」
照れくさそうに笑うウェルに、ミルキィも嬉しそうに笑い返す。
第三幕 小さな不安
しばらく順調に進んでいたが、やがてミルキィの足取りに、僅かな翳りが見え始めた。
「ん……お腹、ちょっとすいてきたかも」
「ほら、言わんこっちゃない……」
ウェルが、苦笑いを浮かべながら鞄からお弁当を取り出す。
「はい。移動しながらでも食べられるように、一口サイズにしてきました」
「さっすがウェル、頼りになる!」
ミルキィは、機嫌よく頬張りながら、それでも歩みを止めなかった。
「でも……今回の敵地帯、思ったより広いですね」
ウェルが、周囲を警戒しながら呟く。
「これだけの数の災厄生命体が集まってるのって、珍しいと思います」
「そうなの?」
「はい。もしかしたら――」
ウェルが、何かを言いかけたその時。
遠くの暗闇の奥、彼方から、これまで感じた事のない、重く冷たい気配が微かに漂ってきた。
「……今の、何?」
ミルキィが、ふと立ち止まる。
「……わかりません。でも」
ウェルの表情が、僅かに引き締まった。
「あまり、良い予感はしません」
二人は、その気配の方向――ヴォイド宇宙が広がる、遥か先を見つめた。
旅の終着点は、まだ遠い。だが、そこに何かが待ち構えている事だけは、確かなようだった。
(つづく)
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