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超戦士スターナイツ  作者: 海原ナギサ
旅立ち!ヴォイド宇宙編
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第十四話 美しき回り道

ご覧頂きありがとうございます

第一幕 最適ルート

「この航路なら、最短時間でヴォイド宇宙の入口まで辿り着けます」

 アストラが、手元の端末に星図を投影しながら、淡々と説明する。

「燃費も良く、危険な星域も避けられる、合理的なルートです」

「なるほど、さすがアストラだな」

 トライが、感心したように頷く。ラグルとアイルも、満足げに星図を眺めていた。

 ――しばらくの間は。

「……いや、待て」

 トライが、ふと星図の一点を指差す。

「あの星と、あの星の並び。少し歪だと思わないか?」

「た、確かに……。もう少し、間隔を均等にした方が美しいですね」

 ラグルが、真剣な顔で頷く。

「よし、あそこを縫うように華麗に移動しようぜ」

 アイルまでもが、乗り気な様子で提案してきた。

「……はい?」

 アストラは、思わず聞き返した。


第二幕 美しくない航路

「あの、今提案した航路が、最も効率的なはずですが……」

「効率も大事だが、美しさも大事だ」

 トライが、真面目な顔でそう断言する。

「星々の並びが不揃いなまま通過するのは、我々三角銀河スターナイツの美学に反する」

「そうです。せっかくの旅路、美しくない道を進むなど、あってはなりません」

 ラグルも、負けじと同調した。

「アストラも、もう少し肩の力を抜いてさ。旅なんだから、景色も楽しもうぜ」

 アイルが、のんびりとそう言う。

(この人達……。旅の目的、忘れていませんか……)

 アストラは、内心でそう呟きながらも、渋々ルートの再計算を始めた。

 こうして、一行は「美しい星の並び」を縫うように、大きく迂回する航路を進む事になった。

「あちらの二重星、実に美しい配置ですね」

「うむ、あの並びを見ると心が洗われる」

「もう少し寄って見ようぜ」

 三人は、道中の景色に目を輝かせながら、ゆったりと星々を巡っていく。

「……当初の予定より、大幅に時間がかかっています」

 アストラが、額を押さえながら、静かにそう呟いた。

「まあまあ、そう焦るな。急いては事を仕損じる、って言うだろ」

「それは、こういう状況で使う言葉ではないと思いますが……」

 アストラの冷静なツッコミも、三人の呑気な足取りを止める事はできなかった。

「あ、あそこの星団! あの配置、まさに黄金比だ!」

「本当ですね! ぜひ間近で見てみましょう!」

「よし、突撃だ!」

 三人が意気揚々と方向転換する。アストラは、もはや抵抗するのを諦めたように、小さくため息をついた。

「……まあ、急いだところで、目的地はギャラクシーフルーツですし。少しくらいの回り道は……」

 そう呟きながらも、アストラの表情には、どこか呆れながらも和やかな空気が滲んでいた。


第三幕 遠くの気配

 美しい星団を存分に堪能した三人が、ようやく満足そうに航路へと戻った、その時。

「――ん?」

 トライが、ふと真剣な表情を浮かべた。

「どうしました?」

「いや……。今、一瞬だけ、嫌な気配がした気がして」

「気配、ですか」

 アストラも、静かに周囲へ意識を巡らせる。だが、それらしい反応は、どこにも見当たらなかった。

「……気のせいかもしれない。すまん、忘れてくれ」

 トライは、そう言って肩をすくめた。

「なんにせよ、まずはヴォイド宇宙を目指しましょう。道中、寄り道はほどほどにお願いしますね」

「わかってるって。次からは真面目に進むさ」

 トライがそう答えた、その傍らで、ラグルとアイルは、既に次なる美しい星の並びを見つけて目を輝かせていた。

「あ、見て下さい、あちらの星雲」

「本当だ、なんて優雅な渦だ」

「……本当に、わかっているんでしょうか」

 アストラの小さな呟きは、賑やかな三人の声にかき消され、誰の耳にも届かなかった。

 のどかな旅の裏で、遥か彼方――ヴォイド宇宙の縁では、静かに、しかし確実に、何かが蠢き始めていた。

(つづく)


今回は息抜き回でした。

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