↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/93

第十二話 三方向への旅立ち

ご覧頂きありがとうございます。

第一幕 出撃の刻

「ねえ皆! 一緒にギャラクシーフルーツを食べに行こうよ!」

 地球に戻ってくるなり、ミルキィは開口一番にそう叫んだ。


「……もしかして、新しいヴォイド空間ですか?」

 アストラが、静かに問い返す。


「そうだよ! 早く行こうよ!」

 ミルキィが目を輝かせる一方、クルーンは困ったように眉尻を下げた。


「また、突拍子もない事を……」

 その様子を眺めていた三角銀河の三人が、顔を見合わせて呟く。


「美しくないな」


「ああ、銀河団に穴が空くなど……」


「美しく並べ直すか」


「い、いや、そういう問題では……」

 クルーンが小さく突っ込みを入れるも、三人はどこ吹く風だった。


「ほ、本当に行くんですか……?」

 不安げに呟くクルーンに、ミルキィはにっこりと笑いかける。


「それじゃ決まり! 皆で、しゅっぱーつ!」

 こうして、ギャラクシーフルーツを目指す旅が、あっさりと幕を開けた。


第二幕 三方向への旅立ち

 目的地であるヴォイド宇宙までは、幾つもの経路がある。効率よく、そして万一の事態に備え、一行は三つのチームに分かれて出発する事になった。



「私達は、この航路から向かいましょう」

 アストラが、星図を確認しながら告げる。


「僕らは美しい隊列を保ちながら進むぞ」

 トライが、いつも通りの調子でそう宣言した。


「隊列より、まずは速度を優先すべきでは……」

 ラグルの冷静な指摘に、アイルがケラケラと笑う。


「まあまあ、賑やかな道中も悪くないだろ」

 三角銀河トリオとアストラの四人は、そんな軽口を交わしながら、一つの航路へと飛び立っていった。


「僕とホエードは、こっちの航路ですね」

 クルーンが、地図を手に確認する。


「……ああ」

 短くそう答えると、ホエードは静かに体を発光させ、飛行の準備を整えた。



 そして――



「よし! 私とウェルはこっちだね!」

 ミルキィが元気よく宣言する。


「はい。今回も、しっかりお供します」

 ウェルが、穏やかな笑みを浮かべて頷いた。銀河のナンバー1ナンバー2として共に戦い、共に学んできた二人にとって、この組み合わせは自然な流れだった。


「よろしくね、ウェル! 途中でご飯休憩、挟んでもいい?」


「もちろんです。……ちゃんと、お弁当も多めに持ってきましたから」


「さっすが!」

 三方向へ、それぞれの絆を乗せた光が、静かに宇宙へと飛び立っていった。


 目指すは同じ場所――だが、そこに何が待ち受けているのか、まだ誰も知らない。


第三幕 影に潜む脅威

 クルーンとホエードを乗せた航路は、静かな星々の合間を縫うように進んでいた。


「ホエードは、こういう長距離の移動、慣れてるんですか?」


「……まあ、それなりに」

 いつも通り抑揚のない返事をするホエードに、クルーンは苦笑いを浮かべる。


「……」

 だが、ふと、ホエードの視線が鋭くなった。


「下がって」


「え?」

 言われた直後、前方の暗闇から、強烈な一撃が飛来した。


「ぐ……!」

 とっさに前に出たホエードが、その一撃をまともに受け、大きくよろめく。


「ホエード!?」

 クルーンが驚いて叫ぶ。


 暗闇の奥から、これまで出会ったどの災厄生命体とも一線を画す、禍々しい気配を放つ影がゆっくりと姿を現しつつあった。


「く……! こんな所で……!」

 よろめきながらも、ホエードは体勢を立て直そうとする。だがその隙にも、影の圧力は増していく。


 クルーンは、慌てて宿り木の杖を構えた。

「ぼ、僕も戦います! 一緒に――」


「――逃げて、地球の守り神!」

 珍しく、ホエードが声を荒げた。


 その叫びには、いつもの冷静さからはかけ離れた、切実な響きが滲んでいた。


「え……」

 クルーンは、思わず動きを止める。


 目の前の敵から放たれる圧力は、これまで対峙してきたどんな相手とも桁違いだった。


(この威圧感……もしかして、僕の手に負える相手じゃ……)

「ホエード……!?」

 困惑したまま、クルーンはその名を呟いた。


 一方、ホエードの胸の内には、暗闇の向こうに揺れる敵影と、遠い記憶の中の光景が、重なって映っていた。


(もう……悲劇は、起こさせない……!)

 その決意を胸に、ホエードは再び前へと進み出た。

(つづく)


それぞれのヴォイド宇宙への旅路です。

次回は、ホエード、クルーンコンビの戦いとホエードを掘り下げる回になります。

【ポイント評価(☆☆☆☆☆)】や【ブックマーク追加】をしていただけると、執筆の大きな励みになります!よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。