第二部 第十一話 姉の秘密
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今回からスターナイツ達が宇宙を旅する第2部が始まります。
第一幕 地球の宴
銀河の辺境にある小さな星、地球。
その空の下で、ミルキィは満面の笑みを浮かべていた。
「んんー! 美味しい! 幸せぇー!」
目の前に並ぶのは、クルーンが腕によりをかけて用意したご馳走の数々。銀河を守護する超戦士スターナイツの中でも最強と謳われる少女は、今日もそれを幸せそうに頬張っていた。
「ささ、皆さんも食べて下さい!」
小さなリスの姿をした地球の神、クルーンが、地球に遊びに来たスターナイツ達へ次々と料理を振る舞う。
「なかなか美しい味だ」
「ああ、だが配膳にもう少し美しさがほしい」
「食器の形、色、細部にこだわれば百点だったな」
ご馳走してもらっておいて、なんとも失礼な講評を並べているのは、三角銀河を守護するスターナイツ三人、トライ、ラグル、アイルである。
「美味しいです。この料理、お弁当にしてアンドロメダの皆にも分けてあげたいですね」
真面目で、どこか庶民的な感想を漏らすのは、伝令役にしてアンドロメダ所属のスターナイツ、アストラ。
「……」
何も言わずただ黙々と食べ続け、美味しいのか否か表情からは一切窺えないのは、くじら座不規則星雲のスターナイツ、ホエードだった。
賑やかな食卓――その裏側で、ある人物がひっそりと動いていた。
第二幕 月の裏側の秘密
地球の月、その裏側。
一人の少女が、雑誌をパラパラとめくっていた。
「地球のご馳走か……興味はあるけど、それじゃあ姉の威厳が……」
長い黒髪をたなびかせ、星空がそのまま溶け込んだような、青い星模様の黒いノースリーブワンピースに身を包んだ、見た目十八歳ほどの少女。
ミルキィの姉、ミルフィーである。
「この星、随分と食文化が発達してるのね。普通は、文明の発達の方が優先じゃないかしら」
雑誌のページをめくりながら、フレンチ、イタリアン、懐石料理と、地球の料理の数々を一瞥していく。
その時、ふと目に留まったのは、新たに誕生したヴォイド宇宙に存在する、伝説の果実の特集記事だった。
「新しいヴォイド宇宙……。確か、重傷を負って運ばれてきたスターナイツがいたわね……。なんでも、別次元の究極生命体が現れたとか」
感情の読めない声で、ミルフィーは続ける。
「光溢れる銀河団だった場所を、まるごとヴォイド空間にするなんて。やるじゃない。まあ――私やミルキィが出れば」
そう独りごちた、次の瞬間。
「私が、なんだって?」
「!」
振り返ると、そこには屈託のない笑顔で立つ妹の姿があった。
ミルフィーは、瞬時に指先から光弾を放ち、雑誌をまとめて消し飛ばす。
「あ、お姉ちゃん、今何か隠したでしょ! それ、一部のスターナイツだけが読める雑誌だよね!? 何が載ってたの!?」
ミルキィが、勢いよく詰め寄る。
「別に、何も」
しらばっくれるミルフィー。ミルキィは、その様子に眉をひそめた。
「……絶対、なんかあるよね?」
「気のせいよ」
二人が見つめ合ったまま、しばし沈黙が流れる。
――と、その時。
ヒラヒラと、燃えながら一枚の紙切れが宙を舞い落ちてきた。
なんと、ギャラクシーフルーツの紹介ページだけが、消し忘れられたように燃え残っていたのだ。
(しまった……。あまりに美味しそうだったから、無意識のうちにバックアップを取ってしまっていたなんて)
ミルフィーは、表情ひとつ変えないまま、内心で静かに動揺していた。
「あ」
ミルキィが、落ちてきた紙切れをキャッチする。そこには、輝くギャラクシーフルーツの写真と、その途方もない美味しさを称える記事が印刷されていた。
「……お姉ちゃん、ズルい」
「え」
「こんな美味しそうなお宝を、独り占めしようとしてたんだ! 信じらんない!」
「ち、違うのよ、これは――」
だが、言い訳を最後まで聞く前に、ミルキィはくるりと踵を返し、地球へと飛んでいってしまった。
第三幕 旅立ち
「まずいわね……。あの子、きっと地球に集まった戦士達を連れて、食べに行くとか言い出す気だわ」
ミルフィーは、小さくため息をついた。
「私も、出発しないと。それに――先に、あの生命体に食べられちゃう」
決意を固めるように呟くと、ミルフィーは瞬時に姿勢を低くし、物凄い速度で宇宙空間へと飛び出した。
その道中、惑星を荒らそうとしていた一体の災厄生命体と、偶然すれ違う。
「グ、グヒヒ……何者だ、お前は――」
「邪魔」
ミルフィーが、軽く手をはたく。
それだけで、災厄生命体は悲鳴を上げる間もなく、跡形もなく消滅した。
ミルフィーは、振り返る事もなく、真っ直ぐにヴォイド宇宙を目指して飛び続けた。
銀河の彼方で眠る、伝説の果実。そして――かつて幾つもの銀河を飲み込んだという、正体不明の脅威。
それらが待つ場所へと、姉妹はそれぞれの思惑を抱えたまま、動き出していた。
(つづく)
今回から、スターナイツ達が宇宙を旅する第2部が始まりました。独り占めしようとする姉ミルフィーから、ミルキィはフルーツを手に入れる事はできるのか。
ミルフィーにミルキィとの血の繋がりを感じて頂けたら
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