クルーズ部門は悩ましいーサプライズ大作戦
日向兄弟の差がおもしろいことに。
二階堂たちが気合いを120%装填し、夏葵と影千夜が女子会しようと和気藹々している頃。
日向キャプテンは、弟の陽司やクルーズ部門の社員、そして担当部門のクルーたちと難しい顔をしていた。
運航に問題がある訳ではない。
船内パーティーのプログラムを変更し、かつハリス社長のサプライズも組み込まなくてはならない。
時間がないため、出来ることといえば、ダンスの組と内容を変更することぐらいしかなかった。
ニューヨーク支社が必死で準備を進めた結果、花やデコレーションは何とかなりそうではあるが…
「そもそもパーティーでサプライズ自体、無理がある。」
口を開いたのは、海運統括本部副部長でもある陽司だった。
「でも、他にやりようがなくて…」
クルーズ部門の社員は、肩を落とす。
しばらく沈黙が続いたあと、日向キャプテンは口を開いた。
「ニューヨークでゲストが乗るのは、交流会後だったな。」
「そうです。交流会は午後2時終了なので、乗船開始は4時予定です。」
「ハリス社長のことだ。どうせ影千夜さんを見つけたら、こちらの意図などおかまいなしに飛んでいくだろう。それなら、さっさと済ませてしまえばいい。」
ロマンチックさの欠片もない兄の合理的な提案に、陽司はため息をついた。
「あのさぁ、プロポーズってちゃんとしなきゃダメなんだよ。」
社員たちは、うんうんと頷いた。
「もっとBMMらしく場を整えてやるの。」
社員たちは、そーだそーだと頷いた。
「考えがあるのか?」
兄に尋ねられた陽司は、言った。
これでも、一応元クルーズ部門である。
少なくとも兄よりはマシだ、そう陽司は思っていた。
「船の中にチャペルあるだろ。
そこに、花を山ほど飾っとくんだよ。ゲストたちが乗船する前に、影千夜さんは帰ってくる。
その時だろ、チャンスは。」
「そこまでの行程も考えたのか?」
「もちろん。」
陽司の計画を聞いた日向キャプテンは、しばらく考えた後に言った。
「…よし。承認する。そのプロポーズが成功したら、フラワーシャワーでも浴びせてやれ。滝のように。」
日向キャプテンは、立ち上がると制帽を被り直した。
「すぐ段取りしろ。ニューヨーク支社経由でハリス社長にも伝えておけ。サプライズを承認すると。」
仕事に関しては鬼のような日向キャプテンではあるが、思ったより女心が分かるらしい、と社員たちは密かに尊敬した。
だが、もちろん、そんなことはない。
妻、富士崎社長に対してはとてもロマンチストですが、女心がわかりそうで分からないのが日向キャプテン。
こんな時頼もしいのが弟。
ま、あるあるですね。




