あの子は俺の娘だー日向夫婦の試練
夢の中で晴海ママに言われ目が覚めた日向キャプテン。
ついに確信を持ち始めます。
富士崎社長が三井会長と会っていることも、二階堂たちが月乃にデレデレしていることも知らず、日向キャプテンは今だに高熱にうなされ続けていた。
夢の中で、あの女が、かつての愛船アストラディアと共に、晴海埠頭に立っていた。
『いつまでも私の名を呼ばないで。私はもう行かないといけないの。
晴海埠頭のあの木の下に行きなさい。ただし、あなたの奥さんを1番に考えて。あなたたちの幸せをどうにかする気はないから。忘れないで、あなたは海の男。私が愛した人よ。』
女はアストラディアと遠ざかっていった。
何度もその名を叫んでも、アストラディアは静かに遠ざかっていく。
「待て!!」
気がつくと、見慣れた部屋の天井だった。
控えめなシャンデリア、柔らかいフレグランスの香り。
ふと見ると、妻が部屋に入ってきた。
「あなた、お気づきになったの?」
妻はいつもどおり、優しい絵顔だ。
「ひどい汗ね。体を拭いて差し上げるわ。起きれるかしら。」
「どれくらい寝ていたんだ。」
「2日ほどよ。ちょうど三井会長がいらしていてね、先程お帰りになったところなの。」
妻は濡れたタオルで背中を拭きながら言った。
「お土産をいただいたわ…会長ったら病人なのに…」
日向キャプテンは、妻の言葉を遮って口を開いた。
「桜。話があるんだ。」
「何かしら?仕事のことは心配いらないわ。」
「月乃のことだ。」
「可愛い子よね。スターフラワーの船たちが手放したくなかった気持ち分かるわ。」
「…月乃は…俺の娘だ…」
妻は、背中を拭いていた手を止めた。
「すまない…俺も知らなかった…。」
「…確信がありますの?」
妻は手を止めたまま言った。
「確信と言えるほどのものではない。
だが、揃いすぎている…。」
「それなら、ご自身でその証を見つけてみてはどう?あなた、エビデンスがないことに、いちいち騒ぐなと部下たちに仰るでしょう?…今お着替えをお待ちしますわ。」
妻はそのまま立ち上がり、部屋を出た。
海運グループの社長でありながら、感情を露わにするのはよくない。
そう思いながらも、妻は三井会長の言葉を思い出していた。
『君の思いを受け止められぬほど、器の小さな男ではないよ。
君も、日向の思いを受け止められぬ小さな船ではあるまい。
一度、じっくり見極めてはどうだ。』
晴海埠頭に虹がかかった。
ソブリンの隣に佇むルナディアは、虹色に輝いていた。
三井会長のお土産が気になると思いますが…
まずは、日向キャプテン夫婦の問題を解決しましょう。
引き続きお楽しみに!




