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それからのクリスタニア〜静かな海に灯はともる  作者: おーがすてぃーぬ


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聖女を救え-リュスピールの直感

リュスピール

光の矢という意味。

光を受け取れずにいるようで、クリストファーは無意識に受け取っていました。

リュスピールは、雪道を駆け続けていた。


吹雪き始めた夜の中を、白いシェパードはただひたすら走る。


やがて主人の姿を見つけると、懸命に吠えた。


早く!!

早く連れて行かなければ!


そう訴えるように、何度も何度も吠え続ける。


クリストファーは、駆け寄ってくるリュスピールを見て眉を顰めた。


「リュスピール!何があった!エヴェリーナはどこだ!!」


リュスピールは、早くしろと言わんばかりに再び吠えた。


その様子に、クリストファーの表情が変わる。

すぐに携帯を取り出し、短く命じた。


「車を出せ。毛布を積んでこい。」


電話を切ると同時に、クリストファーは走り出した。


リュスピールは雪の中を先導するように駆けていく。


時折振り返っては立ち止まり、吠え、また走る。


まるで“急げ”と叫んでいるようだった。


雪を踏みしめながら、クリストファーは自分が焦っていることに気づいた。


(焦る…?何故だ…)


やがて、教会の灯りが見えた。

子どもたちが作ったのか、雪だるまと不格好な犬のような雪像があった。


教会へ辿り着いたクリストファーは、息を整える間もなく扉を開けた。


静かな祭壇の蝋燭と暖炉の火だけが揺れていた。

一瞬鼻をヒクヒクとさせたリュスピールは、迷わず部屋に飛び込んだ。


クリストファーが後を追って奥へ進むと、

キリストが見下ろす先にエヴェリーナが倒れていた。


「エヴェリーナ!」


クリストファーは駆け寄り、彼女を抱き起こす。

頬に触れるが、とても冷たい。


「おい、しっかりしろ……!」


呼びかけても反応はない。


抱き上げた瞬間、生温かい感触が指先に広がった。


クリストファーはゆっくりと左手を見た。

それが何であるか、一目で分かる。


しかし、何が起きているのか、まったく理解できていなかった。


その時、奥から教会の牧師が慌てて駆け寄ってきた。


「これは……!何ということだ!早く病院へ!」


「何が起きている…」


クリストファーは、低い声で問い詰めた。


「言え!」


牧師は一度目を閉じ、静かに口を開く。


「エヴェリーナ様は……あなたのお子を身籠もっておられます。」


世界が止まった。


暖炉の音だけが、やけに大きく響く。


「それを告げれば、あなたが苦しむだろうと……誰にもお話になりませんでした。」


「何だと…?」


クリストファーの声は、震えていた。


牧師は険しい表情で叫ぶ。


「そんなことより、早く病院へ!一刻を争いますぞ!」


その頃になって、執事たちが教会へ駆け込んできた。


「ヘリを呼べ!オスロに急げ!」


「医師へ連絡を!」


慌ただしい声が飛び交う。


だがクリストファーには、全ての音が遠く感じられた。


牧師は今、何と言った?


子供だと?


自分の——?


駆け付けた救急隊が、エヴェリーナを担架に乗せて連れ出すと、牧師は強い口調で言った。


「クリストファー様!あなたも行くのです!お子の父君はあなたですぞ!」


「父だと…」


「まだ自分には、光を受け取る資格がないとお思いか!早くしなければ取り返しがつかなくなりますぞ!エヴェリーナ様も、お子も!」


星空はいつの間にか隠れ、雪が降り出していた。

遠くで船の汽笛が鳴った。

やっとエヴェリーナを見つけたものの、危険な状態な上に妊娠まで判明。

クリストファーは果たして…

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