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それからのクリスタニア〜静かな海に灯はともる  作者: おーがすてぃーぬ


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53/57

賑やかな再会ークリスタニアはバルセロナへ

レジェンディアより愛をこめて

で、三人娘のワチャワチャをお楽しみいただけます。

こうして一週間後。エディとフォックスを伴い、レイコは再びクリスタニアに乗り込んだ。


タラップを上がった瞬間——


「レイコさぁーん♪」

「わぁ!ホントにママじゃん!」

「やったじゃん!キャプテン!」


懐かしい声が一斉に押し寄せる。


「ミカエラ!リサ!アレックス!クリスタニアに来てくれたのね!」


レイコは思わず声を上げた。


その横で、リヒトは額を押さえる。


「……静かに出来ないのか」


「むりー」

「無理無理!」

「だってめでたいじゃん!」


三人娘はまったく意に介さない。


「はぁ……」


その時、ヒールの音が規則正しく響いた。


「ほんと、あんたたちっていつになっても喧しいわね。ここはクリスタニアよ」


リヒトが顔を上げる。


「……エレクトラ」


「ヴァルナー、あんたもやっとパパになったのね」


軽く肩をすくめて笑う。


「日向キャプテンのご命令よ。しばらくの間、私たちが交代でロゼリアとクリスタニアに入ることになったの。長距離ではないけど、万全を期すようにって。」


「それは助かる。見ての通り、色々心配ごとがあるんだ」


「世話の焼けるキャプテンだこと。でも大丈夫よ」


エレクトラはにやりと笑った。


「中のことは私に任せて、あんたは船に集中してなさい」


その言葉に、リヒトは一瞬だけ表情を緩める。


「エレクトラ、君には感謝しかない」


「えぇ、ちゃんと感謝してちょうだい」


パンパンと手を叩く。


「さ、ゲストが乗船する時間よ!スタンバイして!」


三人娘が一斉に動き出す。


レイコはその様子を見つめ、目を輝かせた。


「あれがエレクトラさんなのね。素敵だわ……」


無駄のない所作、整えられた制服、流れるような歩き方。通路を進む姿は、まるでモデルのようだった。


「相変わらずだな」


リヒトは肩をすくめる。


「レイコ、部屋に行こう。俺はブリッジに入る」


振り返ると、フォックスがぼうっとしていた。


「ロバート、どうした?」


「は、はいっ!」


慌てて鞄を持ち直す。


「お姉様、行きましょう!」


エディは顎に手を当て、くすりと笑った。


「なるほど……これは面白い航海になりそうですねぇ」



部屋に入ると、空気が一変する。


毛足の長いカーペット。安定感のあるソファ。白薔薇の刺繍が施されたクッション。


「まるでレジェンディアのようだわ!」


「ヘンリー船長が指示したそうだ。君がいつでも思い出せるように」


レイコは嬉しそうに部屋を見渡した。


「それなら、船長夫人としてしっかり仕事しなくちゃね」


くるりと振り返る。


「お兄様、エンパイア出してくれない?ネイビーのあれよ」


「レイコ、今回はタンゴはダメですよ」


「ワルツにするわ。ノクターンよ」


リヒトがわずかに笑う。


「カナダで踊ったな。本当に大丈夫なのか?」


レイコは腰に手を当て、ふふんと笑った。


「久しぶりに、レジェンディア気分を楽しみたいの」



出迎えはリヒトに任せ、レイコはパーティーまでティータイムを過ごすことにした。


やがて出港時間が迫り、リヒトはブリッジへ向かう。


部屋には、エディとフォックス、レイコの三人だけが残された。


フォックスはカップを持ったまま、ぼうっとしている。


「ねぇ、ロバート。どうしちゃったの?なんだか変よ」


エディがすぐに口を挟む。


「フォックス、お兄様が聞いてあげますよ」


「ちょっと!お姉様もいるわよっ!」


フォックスは顔を真っ赤にして立ち上がった。


「な、なんでもありませんっ!」


そのまま部屋を飛び出していく。


「変なロバート」


「ま、そのうち分かりますよ」


エディは意味ありげに笑った。



低く長い汽笛が鳴る。


クリスタニアは社旗をはためかせながら、静かにサウサンプトンを離れていった。


いつかのレジェンディアのように。

フォックスは誰に恋したんでしょうねぇ。

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