表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それからのクリスタニア〜静かな海に灯はともる  作者: おーがすてぃーぬ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/57

天使は抗議するーパパと行くの!

ルイとエリコ常務のベビー。

ブログでビジュアル公開しています。

とても可愛いので、ぜひご覧ください

フランス、マルセイユ。

岸壁には、白い船体に薔薇の花びらが散る艶やかな大型船「ロゼリア」が静かに佇んでいた。


「ブランシュ〜♪見てごら〜ん♪パパの船だよ〜♪」

ルイは赤ん坊の小さな手をそっと持ち上げた。

「とっても綺麗だろう?」


「まだ分からないわよ」


エリコは笑う。


「この子、寝るのが仕事よ。」


「そんなことないさ!この子はクリスタニアと旅したんだから!」


ルイは少し誇らしげに続ける。

「海は、覚えてる」


「ふふ。あなた、ずるい言い方ねー。」


エリコは視線をロゼリアに戻した。


「でも、本当。クリスタニアがいなかったら、こんなに素敵な景色は見れなかったわね。」


「クリスタニアに初めて会った時、マイアミで君に初めて会ったときと同じくらい、衝撃だった」

ルイは肩をすくめる。

「いや、もっとかもしれない」


「大げさよ。」

「本気だよ!」


少しの沈黙。波の音だけが寄せて返す。


「ねえ、ロゼリア。マイアミに行くかしら」


エリコはふと呟く。


「君が望むなら、どこへでも。」


即答だった。


エリコは笑って、何も言わなかった。

腕の中のブランシュは、スヤスヤと眠っていた。



同じ頃、サウサンプトン。


「いやよ!絶対に行くわ!」


レイコの声が先に飛んだ。


「レイコ!クリスタニアにはいつだって乗れるだろ!」


リヒトは両手を広げる。


「いやよ。今なの!」


一歩も引かない。


「あなたのキャプテンらしいところ、見せてあげたいの。汽笛も、エンジンの音も、全部!——これは胎教よ!」


「都合のいい言葉を使うな!」


リヒトは即座に切り返す。


「ソブリンと違って、クリスタニアにはヘリポートがないんだ!何かあったら——」


「この子はお利口さんだから大丈夫よ!」


「俺が大丈夫じゃない!!」



後ろで見ていたヘンリー船長が、こめかみを押さえた。

「……出港一週間前に、これか…。船長としては乗船許可できるが…」


「キャプテン!甘やかさないでください!」


リヒトが振り返る。


「ハァ…レジェンディアの頃から散々甘やかしてきたお前が言うな…。」


ヘンリーは溜息をつきながら続けた。


「社内規程では禁止されていない。条件つきだが。」


「主席は自分です!」


「ヘンリー船長が許してくれたのに!なんであなたがダメなのよ!」


火花が散る。だがどちらも目を逸らさない。


レイコはふっと笑って、お腹に手を当てた。

「ねえ〜♪お父様と行きたいわよね〜♪」


その瞬間だった。


「……!!」


レイコは固まった。


「どうした!


リヒトの声が低くなる。


「今…」

レイコは息を呑む。


「返事したのよ!」


「は?」


「動いたの!!」


リヒトは反射的に手を伸ばす。

触れた瞬間——内側から、はっきりと押し返された。


「……おい」


もう一度。今度ははっきりと、蹴る。


沈黙が落ちた。


「……頼む。いい子だからママと留守番してくれ」


返事の代わりに、また動く。

まるで『やだ!!』と抗議するように。


ヘンリーが堪えきれず笑った。

「はは……これは降参だ。天使が“乗る”と言ってる」


「キャプテン!」


「決まりだ」


ヘンリーは即断する。

「特別室を整えろ。医療連絡線も確保。——白薔薇の天使が乗船するぞ!!」


クルーが一斉に動き出す。


リヒトは額に手を当て、ため息をつく。

それでも手は離さない。


「……お前は、本当に——」


小さく呟く。


「ママそっくりだな…」


レイコが勝ち誇ったように笑う。


岸壁の向こうで、クリスタニアが社旗をはためかせていた。

船長室の天使は、いたずらっ子のように無邪気に笑っていた。

案の定、リヒトが心配症過ぎました。


リヒトパパと白薔薇の天使は、早くも仲良しのようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ