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それからのクリスタニア〜静かな海に灯はともる  作者: chamoまる


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5/7

触れてはならない港 — 静かな警告

海では、嵐よりも厄介なものがある。


名前も記録も残らず、

ただ静かに人を消していく存在。


見えているものだけを信じていいのか、

その判断が試される航海が始まります。

クリスタニア、船内。


嵐の気配とは裏腹に、空気は穏やかだった。だが、その穏やかさはどこか薄い。何かが、噛み合っていない。



フォックスの端末に、メッセージが入った。送り主はローズ。短い一文だった。


『DMCには気をつけなさい』


フォックスの表情がわずかに強張る。


「……レイコお姉様」


「どうしたの?」


フォックスは一拍置く。


「DMCの副社長は先日のパーティーには参加しておりませんでしたが……非常に頭の切れる方で、とても恐ろしい方だとローズお姉様が」


レイコは首を傾げる。

「それとポートサイドに、何の関係があるの?」


「その副社長が寵愛している船長が、現在ポートサイドにいます。Alluringです。このままだと接触する可能性があります」


一瞬、空気が変わる。


「……噂があるんです。Alluringと接触した船のクルーや船長が、そのままDMCに移ったと。あちらの株主たたちの間でも、パンデミックから短期間で復活出来たのは、その剛腕さがあるからだと。」


沈黙。


「レイコお姉様は提督のご息女です。狙われる可能性があります。……もちろん、クリスタニアもです。」


レイコは小さく息を吐いた。

「……そう」


それ以上は言わない。ただ、説明のつかない不穏さが、船内に静かに広がっていった。



ポートサイド入港前日。


「レイコ」


リヒトの声は、いつもより低かった。


「……何?」


リヒトは迷いなく言う。


「あの船には近づくな。Alluringには、絶対に近寄るな」


強い言葉だった。


「……どうして?」


リヒトは答えない。


「……知っているの?あの船の噂を。」


リヒトはレイコの肩を掴んで言い聞かせるように言った。


「頼む。決して顔を出さないでくれ。」


それだけだった。


レイコは頷かなかった。ただ、静かに彼を見返す。


ポートサイドは、すぐそこまで迫っていた。



近づいてはいけないと分かっているものほど、

なぜか、そこに向かってしまう。


理由はまだ明かされていません。


それでも、

もう引き返せないところまで来ています。

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