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それからのクリスタニア〜静かな海に灯はともる  作者: おーがすてぃーぬ


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27/57

ひまわりか金色かー14ドルの境界線

結局、リヒトはヤキモチ妬き。

そしてクリストファーは、本気の恋をしていたようですが…

宮廷舞踊をファーストダンスに決めたリヒトとレイコは、合間を縫ってエディや領事夫妻のもとで特訓を重ねていた。


思いのほか筋が良かったのか、二人は短期間で形にしてしまっていた。


「ハワード閣下のご令嬢と、大将閣下のご令息による宮廷舞踊だなんて……まるで御伽話のようですわ」


領事夫人はうっとりと微笑んだ。


その言葉に、リヒトは軽く肩をすくめる。


「夫人のお陰です。これで、妻に恥をかかせずに済みそうです」


レイコはくすりと笑い、視線を逸らした。



だが、問題は別のところにあった。


「だから、ひまわりよ!」


レイコがきっぱりと言う。


「日向キャプテンの名前から取るなら、それが一番自然だわ。主席としての面目も立つでしょう?」


「夫は俺だ!なんで日向キャプテンのメンツを君が考えなければいけないんだ!」


リヒトは即座に返した。


「船長夫人のドレスなら、金色だろう」


互いに一歩も引かない。


「だから、なんで金色なのよ!」

「俺の髪の色だからだ!」


しばらく沈黙が続いた後、見かねた領事夫人が口を開いた。


「……同じ金でも、この黄色はどうかしら?」


柔らかな声だった。


「ひまわりのような黄色に見えますけれど……よく見ると、キャプテンの髪の色に見えませんこと?」


差し出されたドレスは、やわらかなシルクの黄色。


光を受けると、まるで金のように輝く。


立体的にあしらわれた薔薇には、繊細な金の刺繍が施されていた。


レイコは目を細める。


リヒトも、無言でそれを見つめた。


——答えは、もう出ていた。



その頃。


シンガポールでは、Alluringが静かに入港していた。


タラップを降りたクリストファーは、そのまま迎えの車へと乗り込む。


ドアが閉まり、外界の音が遮断される。


車が走り出す。


ふと、窓の外に視線を向けた。


——見覚えのある、プラチナブロンドの長い髪。


ほんの一瞬、時間が止まる。


「……まさかな」


低く呟く。


「エヴェリーナがいるはずがない。似ている女など、いくらでもいる」


自分に言い聞かせるように、視線を切る。


だが——


完全には、切れていなかった。


瞳の奥に、わずかな違和感だけが残る。


ゆっくりと目を細めた。


「今回の目的は、クリスタニアの弱体化……」


低く、抑えた声。


「これまでどおり——いや、それ以上に恐怖を味合わせてやる…。今度こそ…」


その声には、確かな執着が滲んでいた。



その間にも。


DMCの株価は、静かに、しかし確実に下落を続けていた。


誰にも止められない速度で。


デッドラインとされる——十四ドル。


その水準が、目前に迫っていた。



下落か。

破壊か。


それとも——崩壊か。


まだ、誰もその答えを知らない。

リヒトとレイコの意味が分からないケンカはさておき、クリストファーが歪みに歪んだ理由が明らかになっていきます。


引き続きお楽しみください。

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