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ダンジョン配信課の裏方エンジニアが実は最強だった件 〜配信で規格外の実力がバレたので、探索者になってS級美女ヒロインとダンジョンで無双する〜  作者: 卯月 幾哉
2章 歩く非常識

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#19 A級探索者ライセンス【鋼侍視点】

 引き続き、銀座A級ダンジョンにて。

 俺――破瀬(はせ)鋼侍(こうじ)は、S級探索者のカスミと共にダンジョンの探索を続けていた。


 隣を歩くカスミが俺に言う。


「――さっきの件、あれはあれで鋼侍(こうじ)の配信の特徴としては面白いような気もするけど……」


 「あれ(・・)」というのは俺の悪癖――カメラの死角に回り込んでしまうことだ。

 数年間の配信施工員としての習慣から、俺の体はつい、カメラの映らない場所へと吸い寄せられてしまうのだ。


「――今回は、管理局に活動実績として認めてもらわないといけないからね。次こそはちゃんと頼むよ」

「わ、わかった。次はちゃんとカメラの前で倒すよ」


 カスミの言葉によって、俺は当初の目的を再認識した。


 ……しかし、俺の配信の特徴か。

 確かに、探索者としてダンジョン配信をやるなら、他者との差別化も大事だよな。


《……なるほど〜。「姿なき探索者」って響きカッコイイね》

《カスミン、センスあるやんけ!》

《カスミって脳筋キャラだと思ってたけど、ちゃんと配信のアドバイスもできるんだね》

《配信施工員は暗殺者だった…………?》


 視聴者の反応も上々だ。

 ――――え? カスミって脳筋なの? ……すごく的を得た意見だと思ったんだが……


 ……ま、まあ、それはさておき、ひとまず〝暗殺者〟モードは封印せねば。


 さっきカスミが言ったように、今回の探索の主目的は俺の探索者としての活動実績を示すことだ。

 それには、俺に交付された探索者ライセンスが関わっている。


 ルーミエの取材配信という異例の形で実力を示した俺に対し、管理局が与えたライセンスは「暫定(ざんてい)A級」という特例的なもの。

 その意味をわかりやすく言い換えると、「A級並の強さは持ってそうだけど、探索者登録してから改めて実力を証明してね」ということだ。


 ……なので、ちゃんとカメラの前でモンスターを倒す必要がある。


《――ところでハセコー、武器はどうしたの?》


 ふと、そんな視聴者のコメントが流れ、カスミがピクリと反応した。

 ――そういえば言ってなかった気がするが、俺とカスミはいまDフォンのアプリで動画を共同配信している状態だ。


 武器、か……

 その話は、もういいだろ?


《武器はお亡くなりになりました》

《カスミン、大激怒》


 からかうような視聴者のコメントに、カスミの体がワナワナと震えた。

 カスミは腰に差した主武器である太刀の他に、背中にもう1本の刀を背負っている。

 ……が、そこに収まっている予備の刀は、現在ぽっきりと折れている。


 たまらず、俺はカスミに声を掛ける。


「さっきはゴメンな。刀、折っちゃって……」


 そう。刀を折った犯人は俺だ。


「……さっきも謝ってもらったから、もう大丈夫」


 カスミは力なく返事をした。


 ――いや、だってさ。

 刀なんか持ったの、生まれて初めてだったんだよ。

 あんなに簡単に折れるなんて思わなかったよ。


 カスミが武器を用意してくれるって言うから、従っただけなんだけど……。


『――いっそ、また素手で戦ってみる……?』


 モンスターとの初戦で刀を折った直後、そう言ったカスミに俺は恐怖を感じた。

 折れた刀を見る彼女の瞳からはハイライトが消えていた。


《――あの刀、たぶん億は下らないぞ》

《……さすがS級探索者の装備……》

《ハセコー、早速借金生活か》

《ざまあ》


 配信上で不吉なコメントが流れていた気がするが、俺は努めてそれらを無視した。


 そんな流れで、俺はこの身ひとつでモンスターと戦うことになった。そして今のところ、それは非常に順調だった。


 ……気のせいか、素手でモンスターを倒すたびにカスミが複雑な表情を浮かべているような……

 ひょっとして、素手で戦うのってふつうじゃないのかな……?


 ――そんなこんなはありつつ、この探索の後、俺は正式にA級探索者の資格を得ることができた。




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