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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第7章 ダンジョンと悪魔の子

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第95話 連れていかれる0歳児


 馬車に無理やり乗せられ、恐らく神殿に連れてかれている。

 幸いなことにロロップとは同じ馬車に乗せられている。

 『薄汚い獣人め』とか言われていたから、下に見られているからだろうか。

 ゴレイヌはさすがに別の馬車だ。無事を祈るしかない。


「ああ、忘れるところだった。“遺物”は?」

「……?」


 僕の目の前に座っている勇者が、思い出したように口を開く。


「ダンジョンで手に入れた“遺物”はどこだ?」

「ああ」


 お腹の中です。

 ちなみに溶けてます。

 とは言えないな。


「ゴレイヌが――僕の護衛が持っている」

「そうか」


 さして大したことのないように返事をする勇者。

 どうやら元から大して期待していなかったようだ。

 最初からダンジョンは僕を油断させる口実だったのかも。

 とりあえず、こいつらの目的が不明な以上、強硬突破は得策ではない。


「ユダンシタ……コロス……ユルサナイ……コロス……シンジラレナイ……コロス……」

「…………」


 さっきからロロップが昏い目でブツブツ呟いているのが怖い。

 僕のことじゃないといいなぁ。

 転ばせちゃったしなぁ。


「おい、ウサギ。獣臭いからその口を閉じてろ」

「…………」


 少なくともお前の口臭よりはマシだと全人類が答えるだろう。

 何ならロロップの口の香りを嗅ぎたい人もいるだろう。僕もだ。

 しかしロロップ、ここは抑えてくれ。

 

「…………」

「ククク……」


 祈りは通じたか、ロロップは反抗せずに押し黙った。

 それに気をよくしたのか、勇者が続けて口を開く。臭い。


「さて、あと半刻ほど暇だし、間抜けなガキに説明してやろう。なんでこんな状況になっているかな!」

「…………」

「ククク……怖くて何も言えないか?」


 しめた、知りたかった状況を教えてくれるとは。

 やはりこいつは馬鹿だ。


 震えるように見せかけて、何度も頷く。


「簡単だ。大教皇がお前を『悪魔の子』と認定した」

「何だって……?」

「人類のもう1つの希望である勇者、つまり俺様への暴行及び名誉棄損。加えて聖剣の破壊。更に聖女に寄生して今も害し続けている。『悪魔の子』とするに十分な理由だな。本当は今すぐぶち殺してやりたいところだ」


 腹立つ。 

 腹は立つが、そう言われればぐぅの音もでない。

 しかし1つだけ受け入れられないものがある。


「僕が母様を害することはあり得ない」

「ククク、そんなことはどうでもいいんだよ。お前が『悪魔の拒絶』で聖女を隔離し続けている事実にかわりあるまい?」

「何を――」

「大教皇が言えばそうなるってことさ。世間知らずのお坊ちゃん!」


 なるほど。

 こいつらは僕が母様から教わった『聖女の守り』すら貶めるというのか。

 どうやって殺そう。大教皇も殺そう。


「そして! この策を提案したのは他でもないこの俺だ! どうだ勇者の実力思い知ったか! これで聖女は俺の物!」

「…………」


 勇者の実力?

 今のところ小狡い知恵で教会をそそのかしているようにしか見えないが。

 だが、母様を害するような奴だ。万死に値する。


「ククク……それと1つ、決定的な証拠があるんだよ。お前を『悪魔の子』とする証拠がな」

「……?」

「貴様が聖魔法以外の……それも闇の魔法を使ったと言う事実だ!」

「……何のことだ?」


 まさかクゥのことがバレた……?

 それは絶対に助けなければ。


「お前、騎士の治療を行うとき、闇魔法の『強制睡眠(スリプレスト)』を使ったそうだな」

「…………」

「事前に闇魔法を防ぐ遺物で対策していたらしいぞ。実際に眠らないように」

「……そうか」


 間抜けは僕だったか。

 確かに、ギャバンも最初は眠らなかったが……あれはそういうことだったか。


「ククク……さらにお前を叩き落とす情報があるが、聞きたいか?」

「……何だ」

「闇魔法のことを伝えてくれたのはな、教皇ゲオルディクスだそうだぞ」

「……そうか」


 ありえない。


 心のどこかでは予想していた。


 ありえない、闇魔法はあいつにも秘密にしていたことだ。


 あいつなら、知っていてもおかしくはない。目ざといやつだ。


 ありえない。あいつは……。


「ククク、悪魔の子も涙を流すんだな」

「……え?」


 気が付けば、涙がこぼれていた。

 あいつのことなど、1度も信用したことがないと言うのに。

 そのハズなのに。


「どうだ? 今まで“反聖子派”の奴らからお前をひたすら守ってきた者からすら見捨てられた気分は」

「…………」


 そうだったのか。

 忙しい教皇のくせに頻繁に顔を合わせていたのは、そうだったんだ。守ってくれていたんだ。

 それなのに僕は……。

 ゲオルディクス、ごめん。

 ひどいことを言ってしまった……。


「……教皇様に、伝えて欲しい……」

「ん? 恨み言か?」

「迷惑かけてごめん。今までありがとうと……」

「……ククク、覚えてたらな」


 僕の涙で、ついには確信したんだろう。

 勇者が勝ち誇った顔をしてさらに続ける。


「周りを見たか? こんなに大勢の神官がお前を『悪魔の子』だと思っている! さらにグランデシャインに並ぶ大国、オフィ-リアス帝国も我々の味方だ! この勇者様のなぁっ!!!」

「オフィ-リアス……?」


 聞いたことがないが、グランデシャインに並ぶ大国とは……。

 馬車の外を見ると、たくさんの神官に加えて、真っ黒い鎧を身に着けた兵隊が大勢いた。

 もしかして勇者を匿っていた軍勢か?


「ククク、諦めるんだな。全ては大教皇――俺様の導き通り! 聖女を妻に迎え! この俺様が世界を導くぅぅぅぅ!」

「…………」


 やがて、話すことも無くなったらしい勇者が黙ると、馬車の動く音だけが響く。

 これからどうするか。


 どうしたらいいのでしょう、主よ。


「母様……」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は18時20分頃と21時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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