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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第6章 魔道具作りと第3王子

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第74話 成長させる0歳児


 アステラの訓練の様子を見ていた僕は、感動するとともにごく当たり前の質問をした。


「アステラ、本当にすごかったよ! けど……剣術は最近始めたんだよね?」

「はい! イクラウス様に足りない部分を補うため、アステラは剣を取ることを決意しました!」

「それは……うん、ありがたい。ありがたいよアステラ」


 しかし僕に足りない物があるとはどういうことだろうか。

 パーフェクトプリティ聖女様から生まれたこの完璧超人である僕に。

 足りないとは、なんだろうか。


「ふぅ……アステラは本物の天才です。100年、いや1000年に1人の逸材だと兵士間でも言われております。もちろん、あなたのためにと血の(にじ)む努力も欠かしておりませんが……」


 そこに息を整えたグラリオンさんが補足してくれる。

 笑顔ではあるが、どこか悔しそう。

 もしかしたら本気で戦ったのかもしれない。

 それなのに剣を取って1か月の少女に敗北。そりゃ悔しいでしょ。


「グラリオン兄様のご指導のおかげです! 私が剣を振るのに最適な方法を考えてくれました――」

「よしてくれ。僕が考えたのは、どう動けば負担が少ないかを突き詰めただけだ」


 謙遜(けんそん)するグラリオン。

 彼もまた妹大好き兄さんらしい。普通は剣術指南役がそういうことをすると思う。


「それに……僕なんか15年以上剣を振ってもこの程度。そんな人間が考えた訓練内容で強くなれる訳がないよ。ひとえに君の努力、才能さ」

「そんな……」


 アステラも困り顔。

 そしてグラリオンの顔にはさらなる影が。

 ここは聖子としてどうにかフォローしなければ。


「15年も剣を振っていた。それはすごいですね」

「聖子様?」

「私など主の教えが書かれた聖典、未だに半分しか読み終えていません」

「それは……」


 もちろん、嘘である。

 本当は半分も読んでいない。

 なぜなら数ページ読んだだけで眠たくなるからだ。


「僕は常々思うのです。人の才能で1番貴ぶべきものはなにか。それは努力し続ける才能だと」

「…………」

「下手でも失敗しても、諦めないで目標に向かうことができれば、いつかはたどり着ける。私自身もそう信じて行動しています」


 まさに自分のことだ。

 最弱だとか言われても、母様を諦めずに進み続けるだけ。


「それに、今回のように努力が別の道で報われることもありますしね。それこそ、主のお導きかのようです。グラリオン様、私はあなたを尊敬しますよ」

「……ありがとう、ございます。聖子様」


 少しでも彼の影を払うことはできればと思ったが、それでも彼の顔は依然として暗さが残っていた。

 ううむ、難しいな。


「余計なことを言いましたね」

「いえそんな! 私などに慈悲深き言葉、感謝申し上げます!」


 『ではこれにて』と言い去っていく彼の背中を見送る。

 帰ったら聖典でも読んでみるか。

 でもなぁ、書かれてることの大半は主がいかに素敵か書かれてるだけの退屈な本だからなぁ。

 書いた人が熱狂的なファンだったとして、それ以外の人には興味ない文章が多い。


「イクラウス様、ありがとうございます!」

「いいや、力になれなかったみたい」

「そんなことないですよ! それに、今のイクラウス様の努力も別の形で報われるかもってことですし!」

「……ふふ、その通りだね」


 アステラの前向きさ、僕も見習おう。

 そもそも僕が諦めないと強く誓ったのも、彼女がきっかけだったし。


「アステラ、君と巡り合わせてくれた主に感謝を捧げます」

「ぷっ! 聖典読んでないのにぃ~?」

「……いじわる言わないで。少しずつ読んでるとこ」

「うふふ! あ、そうだ!」


 いじわるな顔でニヤニヤしている彼女が、僕のほっぺをツンツンしながら思い出したように声を上げる。


「イクラウス様にお願いがあったんです!」

「ん? 何だろう」

「あの時貰ったお薬、追加でいただけませんか?」

「薬……?」


 薬を出すどころか取り扱った記憶はない。

 彼女に提供したのは……ああ、あれか。『超濃密圧縮聖子印聖子』。

 確かに、帰った後のことを心配して3か月分くらいの『聖子印聖子』を渡していた。


「どうして? アステラにはもう必要なさそうな……非常に健康的――健康的すぎるくらいだし」


 まさか1か月で10センチ以上伸びるとは。

 それどころか剣を振れるとは。


「あれを飲むと調子がいいんです! ち~っちゃなイクラウス様が『がんばれ~!』って応援してくれてるみたいな!」

「どういうこと」


 しかし、確かに彼女の中に未だ残る僕の細胞が囁きかけてくるような。

 『僕よ、僕を足して! 僕を食べさせて、僕が大きくしてあげるから!』


「…………」


 把握した。

 彼女の成長と驚異的な回復の原因は、僕だ。

 完全栄養食である僕のせいだ。

 さすが偉大にしてかわいい母様からいただいた僕の肉体。

 これで合点がいった。


「わかったよ、後で持っていく。代わりと言ってはなんだけど、今日のお夕食はたくさん食べたい」

「はい! うふふ、イクラウス様もたくさん食べて大きくなるんですよ~!」




 しかし、この時の僕は気が付かなかった。

 背後で怪しく光る瞳に。


「……ぴょん」


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は21時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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