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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第6章 魔道具作りと第3王子

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第70話 思い出した0歳児


 グランデシャイン王国謁見の間。

 そこには玉座に座ったグランディ王がいた。

 王だけではない、宰相を始め臣下と思われる方々がたくさん。ついでにグラウゼルや王妃様も。アステラの姿は見えない。


 そして、僕は気が付いてしまった。重大な問題に。


「よくぞ参られた聖子殿! そして聖イルミナス教会御一行方! そなたらをこの国に迎えられたこと、余は心より嬉しく思う!」


 威厳に満ちながらも丁寧な言葉。

 更に王自らが案内してくれる。それまではいい。

 慣習として大教皇と聖女は各国の王と同じ待遇を受けることになっているらしいから。

 玉座の横にふかふかのクッションの置かれた豪華な椅子が用意されているのが見える。

 きっと僕の椅子だろう。歓迎されているのはわかる。


 では何が問題なのか。


「…………」


 思い出してしまったのだ。あの日自分がしでかしてしまったことを。

 あの護衛の男を見てしまったから。今日は近衛兵としての正装を着ているが、間違いない。あの口元と筋肉はあの時の男。

 記憶の奥底に封じていた忌まわしい記憶が蘇った。

 恥ずかしい勘違いをした上に、王様に対して魔法をぶっ放すという大暴挙の記憶。


「くっくっく、聖子殿、もしや緊張なされておるのか? 聞けば、このような正式な場での国家元首との会談は初めてだとか。余としては、至上の喜びとはまさにこのことである!」

「…………」


 だめだ、この人が何を言っているのかわからない。

 この人は近所のおっちゃんではないんだぞ。世界最高位に偉い人なんだぞ。

 しかも過去盛大にやらかした相手だ。

 何を言えばいい? 何と答えるのが正解?

 そうだ、確か言わなきゃいけないことがあったんだ。

 それだけは忘れちゃいけない。

 それだけ言ったら、あとは黙ってよう。


「グっ!!!」

「む?」

「グ、グラシェルノ、さんを……おこらないであげてぇ~……」

「…………」


 場を静寂が包む。

 主よ、僕を助けろ……!


「くくく……くっくっくっ……がーっはっはっはっ!」

「ひっ!?」

「す、すまぬ……! わーっはっはっはっは……ひぃーっひっひぃ!」


 王様が大笑いをしている。

 何がツボに入ったのかわからないが、腹を抱えて引き笑いまで起こしている。

 周囲の人たちは何事かと騒めいているが、あの筋肉とグラウゼルだけは涙目で必死に声を押し殺して笑っている。

 泣きたいのはこっちの方だが?


「……ま、まさか聖子殿から初めて賜った言葉が息子を怒るな、とは……くっくっくっ……」

「…………」


 その言葉に、周囲の人々も何だか微笑ましいものを見るような目で笑い始めた。

 しかしそんなはずは、と思いながら以前のことを考える。

 そうだ、確かに僕はあの日……この王と会話していない。

 『ぐぅ!』としか言っていない。


「では先にそちらの方からすますとしよう。第3王子、グラシェルノよ! 聖子殿より慈悲深いお言葉を賜った故、所在不明の件不問といたす。が、今後は周りの者に心配をかけぬように」

「は、はは、はいっ……!」

「……はい?」

「ぎょっ、御意にっ!」


 グラシェルノ、よく頑張ったね。僕も頑張ったよ。

 後でおいしいものを食べさせておくれ。


「さて、では改めて……聖子イクラウス殿、歓迎しよう。よくぞ参られた!」


 まだだった。

 むしろここからが本番か。

 しかし最初にして最大の関門は突破したぞ。もう、何も怖くない。


 確かこういう時は――。


「へ、陛下のご厚意に感謝を! 実に良き日となりました! 主もお喜びになっておられるでしょう!」

「くっくっくっ。主と、そなたの母上殿に感謝を。今日この場のことも、彼の地で見守っておられよう」

「…………」


 どうやらバレているらしい。

 僕が母様大好きっ子ってことが。

 しかしその通り。母様が見守っているのだ、恥ずかしい真似はできない。


「私個人としても、王女殿下との縁を結ぶ者として、この国を訪れることができたこと喜ばしく思います」

「そうであったな! みなのもの、聞くがよい! ここにいる聖子殿は、我が国第2王女を蝕む病を、その慈悲深き心と奇跡のような御業(みわざ)でお救いなされた!」


 おお、という歓声がそこかしこで上がる。

 事前に知らされていそうではあるが、盛り上げてくれているのだろうか。


「第2王女アステラよ、ここに!」

「はっ!」


 グランディ王のその言葉とともに、奥の部屋からきれいなドレスを着たアステラが歩いてきた。

 その足取りは確かなもので、かつての病弱さなど全く感じさせない。

 加えて背も伸びている。伸びすぎなくらい……10センチ以上伸びてるのでは?


「その感謝の証として、聖子イクラウス殿に王女アステラとの婚約を提案したところ、快く受け入れてもらった! 聖イルミナス教会と我が国の輝かしい未来が約束されたのだ! ここに宣言しよう! 両者が共に手を取り合い、同じ道を歩むことを!」


 その後は大臣や貴族の方たちに祝福を授けたりと聖子っぽいことをして会談はお開きとなった。


 僕はやり遂げたのだ。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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