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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第5章 闇魔法と不死者な少女

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第61話 ガチ恋な0歳児


 眠たい目をこすり、今日最後の、そして最も重要なことをする。

 それは、母様の治療。

 今の自分の持てる力をすべて出し切る。


「不安はいらない」


 失敗した時のことは考えない。

 どうでもいい。治すことは確定している。

 あの日アステラが言っていたことを本当の意味で理解した気がする。


「『聖女御座す(フルルーチェ・)安息の地(レストリア)』」

「…………」


 僕の心に応えるように、彼女は堂々と舞い降りる。

 背中の羽はいつの間にか4枚にもなっている。


「レストリア、やろう。僕は絶対に……母様を害する存在は許さない」

「…………」


 僕を見つめ、そして撫でるレストリア。

 そして彼女の体が激しく光り、母様を、この部屋を包み込む。


「絶対に助けるから……母様」


 しかし。

 その決意虚しく光が弾かれたように雲山霧消してしまう。


「なっ!? 今のは……?」


 しかし失敗したら、また挑めばいい。

 原因を調べ、それを否定して実現するだけだ。


「レストリア、もう1度。今度はゆっくり頼む!」

「…………」


 逡巡。

 そんな表情を浮かべたレストリアだったが、もう1度母様に向けて光を放つ。

 しかし、今度も光は弾けてしまった。

 いや、今度は弾かれるタイミングが早かった。光が母様に届く直前だったような。


「……もう1度」

「…………」

「……レストリア?」


 どうしたのだろうか、レストリアが斜め上、虚空を見つめている。

 確かに母様はたまにポケ~っとしているところがあるが、何もこんな時にならなくても。

 そもそも母様とレストリアは別だし。


「…………」

「……レストリア、痛い」


 なぜか両手で頬を挟まれる。

 本当にどうしたのだろう。

 というか今更だけど自我でもあるんじゃないのか?


「レストリア、もう1度治療を――」

「…………」


 しかしレストリアが首を振る。


「それは許されない。母様は治る。治すために、失敗でもなんでも積み重ねる」

「…………(ふるふる)」

「やって! もう1回やるの!」

「…………(ふるふる)」

「なんでよ! 諦めろって!? 絶対嫌だ!」

「…………(ふるふる)」

「――え?」


 諦めろ、ではない?

 ではなんだ?

 レストリアは何か知ったのか?

 さっき虚空を見つめていたのが何かあったから?


「……まさか」

「…………」

「まさか……本当に? あのかわいい子大好きで適当なことばっか言う主が……?」


 それしか考えられない。

 僕自身そいつと会話したことはないが、きっと先ほどレストリアは主――神から言葉を授かったのだろう。

 あれ? レストリアってあくまで僕の魔法でしかないはずなのだが?


「ふむ……ん?」

「…………」


 レストリアが優しく優しく僕の頭を撫でる。

 その手つきは、温かさはかつての母様と全く同じ。

 安心したのだろうか、それだけで僕は……眠ってしまった……。




 ◇◇◇◇◇◇


「む……ここは……はっ!?」


 母様と会える夢のような夢の空間。

 嬉しい。また会える。

 しかしずいぶん久しぶりだ。

 今日は何を話そうか。

 アステラのことか、他の聖女様のことか、ミレイのこと、それとさっきのこと。

 たくさんありすぎる。


「はぁい、イクラちゃん……」

「母様! ……母様?」


 どうしたことだろうか。

 なぜか母様が顔だけ真横に向いている。


「いかがしました? もしや……現実で寝違えて!?」

「え? いやぁ……寝違えては、ない、かなぁ~……」

「そうですか……しかし、一体……まあ今はいいですか」


 母様が横を向いているのなら、僕がその視線の先に向かえばいい。

 そう思って回り込もうとするが、母様もそのまま首をさらにねじろうとする。


「おやめください! そのままでは頭が回転してしまいます!」

「だ、だいじょ……いたたたたぁ~!」

「母様!?」


 痛みに耐えかねた母様が、ようやく正面を向く。

 ようやく顔を合わせることが出来た。


「……もしかして、僕の顔が見たくない、のでしょうか……?」

「そ、そんなことは……あるかも?」

「…………」


 自分の魂が、体から飛び出すのがわかった。

 主よ、今御許(みもと)に向かいます。

 母様、例え嫌われようと僕は愛し続けます。


「……私たち、親子、だよ?」

「…………」

「おかしなことだよ? 教会でも禁止されてるし!」

「…………」

「イクラちゃん?」

「…………」

「イクラちゃんってば!」

「――はっ!?」


 いかんいかん、言葉を発することを忘れていた。

 ショックは受けてしまうものである、それは仕方がない。

 例え、自分の中に確たる決意があったとしても。

 僕はまだまだ未熟、子どもだから。


「しかし、それでも僕は母様を愛するでしょう」

「だから!」

「例えこの思いが届かなくても、構いません。母様が受け入れられないのなら、それもまた母様の御心」

「……そんな、こと」

「しかし誰に言われようと、誰に否定されようと、そこだけは譲れない。僕の大切な想いなのです」


 気持ち悪くてごめん。

 母様大好きすぎて申し訳ない。

 しかししょうがない。

 自分に嘘をつく訳にはいかない。

 だが……母様が目覚めたとき、もしも僕の存在が母様を傷つけてしまうのなら。

 僕は静かに消えるとしよう。

 それでいい。それがいい。


「……母様、今日は失礼します。お会いできて嬉しかったです!」

「――あっ! 待って!」

「では……」

「待ってって! 言ってるでしょ!」

「ぐぇっ!?」


 夢から覚めるように体を浮上させる僕、その服が引っ張られて首が締まる。

 まるで現実のような感触。

 今更だがこの空間、どういう原理なのだろうか。


「……受け入れないなんて、言ってない……」

「――え?」

「受け入れないなんて! 言ってないって言ってるのぉ!」

「…………」


 再び、主の元へと旅立つのがわかった。

 今度は喜びで。人は喜びでも死ねるらしい。


「私ね、こういう感覚初めてで……でも教会的には今言った通りだから、私もどうしたらいいかなって……」

「…………」


 それはつまり、母様も初めての恋にドギマギしていたと!?

 それとも息子との禁断の恋に戸惑い!?

 どちらにせよ嬉しい! だがっ!


「母様、やはり今日は失礼します」

「えっ? 何で!?」

「このままいたら、恐らく僕は爆発します」

「ばくはつ」

「はい」


 人は喜びで爆発できる。

 目が覚めたら死んでないといいな。


「では、今度こそ……」

「待って! 忘れてたんだけど……『まだその時ではない』って! 神様が!」


 あ、レストリアが聞いてたやつかな。

 母様も聞いていたんだ。

 主の言葉を伝え忘れる母様、やっぱり……かわいい。

目を閉じてください。

一番かわいいと思う女性を思い浮かべてください。




その人が、あなたの本当のお母さんです。


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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