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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第5章 闇魔法と不死者な少女

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第60話 ゴレイヌと0歳児


 そして翌日の、というよりも同日の夕方。

 僕は再びミレイのところに訪れている。

 ここ最近闇魔法が上達した実感と、聖魔法の使い手としての心構えを教えられたことで、変わることがあるのではという期待を胸に。


「ミレイ、また来たぞ」

「……坊ちゃん、ですか。懲りないですね」

「ああ、お前を助けるためだ」

「……あまり大きな声でそういうことを言わない方が――」


 まただ。

 ミレイはまた、僕のことを気遣う。

 いい加減にしろ、苦しいのは自分だろう。


「構わない! 僕は声を大にして言う! ミレイを助けるためにここにいる!」

「坊ちゃん! おやめください! そんなことすればあなたが――!」

「ミレイは僕の母親同然だ! 真犯人をこの手で捕まえる! だからそれまで待ってて!」


 自分が正しいと思ったことを、もう恥じない。

 嘘をつく必要はない。

 ……たまにごまかすかもしれないけど。


「……おバカな……おバカな坊ちゃん。これじゃあ……もう、死ぬなんて言えないじゃない」

「主がそれを許そうと、僕と母様が絶対にそれは許さない」

「……では、待ちましょう。幾星霜の時がかかろうと……主が迎えに来る、その時まで……」

「そんなに待たせてたまるか。ミレイには僕と母様の結婚式に来てもらうのだからな」

「それは……絶対におとめしなければ。早く助けてくださいね」

「……うん。それじゃあ、いくよ!」


 かつてないほど、自分の力が高まるのを感じる。

 聖属性と闇属性は違うが、いや魔法の使い方は同じだ。自分の中のイメージを、確たる意志の元に行使する!


「『マインドスティール』」

 

 前にそれを使った時と同じ。

 ミレイが部屋に来る前、食事を作る前、顔なじみの商人から食材を買う前、市場に寄る前、いつの間にかその手に植物を持っていた。

 だが。


「(見せろ! この先を! 僕に見せろ! お前は誰だ! 絶対に見つけてやる! 姿を、現せ!!!)」


 聖なる魔法を、ミレイに行使する。

 悔しいだろう、ミレイ。大切な人を、自らの手で殺させようとしたそいつを見つけたいだろう。八つ裂きにしたいだろう。

 一緒に否定してやろう、そいつの魔法を。そいつの存在を。主が許そうと、僕らは許さない。


「(ミレイの頭から、出ていけ!!!)」


 突然、映像にノイズが走る。視界が暗転する。ミレイの頭の中から弾き飛ばされそうになる。

 しかし、その瞬間――確かに見た。ついにたどり着いた!


 『あらぁん♪ おいたはダメよ、ぼくちゃぁん♪』


「ぶはぁっ!? ハァー、ハァー……」

「ぐぅぅ……はぁはぁ……」


 その言葉を最後に、僕らは元の場所に戻った。

 いや移動をした訳ではないが。


「見つけた……見つけたぞ……!」

「……や、やりました……坊ちゃん……! 私にも見えましたよ……!」


 真っ黒な外套を被り、顔もほとんど見えなかった。

 しかし、胸元までの長さの派手なピンクの髪。そして口元のほくろ。

 十分だ、今までに比べたら十分すぎる成果だ。


「よし……よぉしっ! やったんだ! よくやったぞミレイ!」

「イクラウス様……! 本当に……本当に良かった……!」

「ああ、お前も本当に――本当に……ほんとうに……かわいいね、ミレイ!」

「イクラウス様! このゴレイヌ、我がことのように嬉しゅうございます!!!」


 いつの間にか横にいるゴレイヌ。大泣きしている。

 これ、ごまかせないやつだ。


「ゴゴゴゴレイヌよ、いつからそこに!?」

「イクラウス様が大声を出したので、何事かと……そんなことよりも! やりましたな!」


 ほぼ最初からじゃないか。

 つまり闇魔法を使っているところも見ている訳だ。

 よし、洗脳しよう。


「思えば長かったですな。当初即刻処刑すべしとの声を無理やり抑え、牢屋にて厳重に監禁とはほとんどの者が疑問に思いました」

「…………」

「そこから何度かミレイ殿のところに通っているうち、何やら怪しげなことをし始めたイクラウス様のことを、当時は(いぶか)しみました」

「…………」

「ですが、普段ほとんど表情を変えないあなたが、泣きそうな顔で心底悔しそうに顔を歪めるのを見て……信じようと思ったのです」

「…………」


 いつから見ていたのか。

 今日ではない。

 事の始まり、ほぼ最初っからだ。

 つまり、ずっと前からゴレイヌには闇魔法のことがバレていたんだ。


「坊ちゃん……大人顔負けのことをやるくせに、時々子どもみたいに注意力のない坊ちゃん」

「その語り口、完全にゲオルディクスだ」


 僕のこと『坊ちゃん』呼びするのもそう。


「失礼よ、とても。あいつが私の真似をしたの」

「その言い草が失礼だと思うよ」


 しかしどうするか。

 黒幕の姿が僅かだが見えたのは大きな前進。

 ゴレイヌのことは……。

 思わず彼を見つめてしまう。


「ご安心を。ミレイ殿についても、信じるに値すると判断いたしました。私もあなたの助けになるよう動きましょう」

「あら、どうしたの突然。私が嘘ついている可能性だってあるのよ?」

「イクラウス様が信じるあなたを信じる。それだけです」


 今回のことで、僕もミレイの冤罪を確信できた。

 でも、それはあくまで僕らが言っているだけで、客観的証拠ではない。

 だけどゴレイヌは信じてくれると言う。


「ゴレイヌ、お前も……主が僕の元に遣わせた人間なのだろう。ありがとう」

「イクラウス様……誠に過分なお言葉。しかし……万感の思いでございます」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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