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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第3章 ヤンデレうさ耳獣人と魔王

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第26話 弄ぶ0歳児

 未だ姿を現さない魔王はどこかにいるのか。

 簡単である。

 スケルトンを操るための魔力。か細いそれだが、辿っていけばいい。


「助かりました。案外近くにいてくれて」

「なっ!? 貴様は――」

「ああ、結構。言葉を交わすつもりはありません」


 見た目はただのスケルトン。それが黒いローブを(まと)っている。

 内包する魔力は確かに膨大である。

 四天王とやらが10倍いても足りないくらい。


「僕はその100倍ですがね」

「何――」


 何かを言おうとしたが、その声はこちらに届くことはなかった。

 昏い昏い、漆黒の(ひつぎ)が彼を閉じ込めてしまったからだ。


「『悪魔の(ディアボリック)(・コフィン)』。その棺に閉じ込めたものを、ありとあらゆる闇魔法で弱体化させる」

「…………」


 しまった、弱体化させてしまったら反応がわからないじゃないか。

 せっかくの……実験台なのに。


「骸の魔王とやら。申し訳ないですが、いろいろと試させていただきますよ。こうして魔法を思いっきり使う機会などめったにありませんから」

「…………」

「あなたも、たくさんの命を(もてあそ)んできたのでしょう? 主も言っておられますよ。『目には目を、歯には歯を、やられたら倍にしてやり返せ』と」

「…………」


 違うところの神だったかもしれない。

 なんなら僕自身はまだなにもされていないが、まあいい。

 発展には犠牲がつきものである。母様の治療の糸口を掴むため、お前には尊い犠牲となってもらおう。


「主よ、お許しにならなくても結構」

「…………」

「例えこの身が地獄に落ちようとも――」

「…………」

「――母様のためなら、何でもしましょう」




 ◇◇◇◇◇◇


「むにゃ……ぴょん」

「おはようございます、ロロップ」

「ぴょん……これが朝チュンぴょん……」


 断じて違う。


 兵士たちと別れて魔王を探しに行く途中、ロロップには見せられないからと眠らせた後。

 魔王との甘い夜を終わらせてサンディバーグの城壁内に戻ってきたところだ。

 夜もすっかり明け、雲一つない青空が広がっている。


「ふわぁ~……はっ!? 魔王は!? ぴょん!」

「倒しました」

「ぴょん!?」

「魔王は恐ろしく強大でした……! 一瞬でロロップを眠らせた後苛烈な攻撃を――」

「……情けない……旦那様が戦ってるときに……」


 あっ。


「ごめんなさい、ごめんなさい……」

「ロ、ロロップ! 違っ! 本当は――」

「ごめんなさい……私……私……!」


 やらかしてしまった。

 どうやら僕が踏みにじったのは、魔王の命だけではなかった。

 ロロップの決意、覚悟、思い……それらも……。


「ロロップ。君は悪くない。悪いのは僕だ」

「そんなこと――」

「いいや、本当は眠らせたのは僕なんだ。ロロップには見せられないことをするために、眠らせた」

「それ、は……」

「だから、ごめん。君の決意を踏みにじった。本当にごめん」


 浮かぶのは『ごめん』という言葉だけ。

 罪悪感に押しつぶされそう。


「……私が、獣人だから、ですか?」

「え?」

「私が獣人だから……信用してくれない、ですか?」

「それは違う!」


 獣人。

 こんな時まで“獣人”というラベルが邪魔をする。彼女を不安にする。


「確かに、僕を君を信じられなかった」

「やっぱり……」

「だけどそれは僕には大きな秘密があるから。決して獣人だからとか、そういうことじゃない」

「…………」


 どうすればうまく伝わるだろうか。

 彼女に、この国の救世主に。


「僕は君が君であることを誇りに思う。獣人であることを」

「そんなこと……」

「だって君が獣人じゃなかったら、走るのが得意じゃなかったら。この国の人々を救えなかったじゃないか」

「あ……」


 朝も早いというのに、町の人たちは笑顔で走り回っている。

 戦った兵士に感謝を告げ、怪我をした人を労わるために。

 そして、僕らを心配そうに見ている人たちも。

 彼らの目に、決して侮蔑の色はない。


「僕には君が必要だ。これからもそばにいて欲しい。そして僕を、助けて欲しい」

「私で……私で、いいの?」

「ロロップ、君がいいんだ」

「はい、旦那様……生涯、共に……ぴょん!」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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