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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第3章 ヤンデレうさ耳獣人と魔王

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第22話 押し倒される0歳児


 場所を僕らの馬車へと移す。

 女性が2人増えたことで心なしか室内がいい匂いに包まれた気がする。

 否、気のせいではないだろう。


「お、お見苦しい物をおみせしました……ぴょん」


 馬に踏まれ、飛び出した内臓。

 言葉通り見苦しくはあった。即座にレストリアで治療したが。


「いえ、急なことで驚かれたでしょうし。こちらこそ申し訳ございません」

「そんな……ぴょん」

「しかし単純な疑問なんですが、なぜ馬車の外に? 戦いの前にお疲れになるのでは?」

「そ、それは……」


 差別の対象だからと言っても、こうして従軍を許されているのだ。

 自ら戦力を削ぐ行動は愚かとしか言いようがない。


「ボクからいいかな? 実はね……彼女が獣人であることは伏せてこの依頼に参加したんだ。もちろん、臨時パーティを組んでいたさっきの彼らにもね」

「そうなんですか」

「うん。それでね、ちょっとした不幸があって彼らにロロップのことがバレてしまってね。見た目ではわからないと思うけど」

「そう、ですね」


 改めてウサギさん――ロロップさんを見る。


 帽子を脱いだ彼女、ピンクと黒が混ざった眺めの巻き毛が印象的だが、いたって普通の人間に見える。

 体も、特に太ももがムチっとしてて素敵なこと以外は普通だ。たれ目と長いまつ毛がかわいい。

 ももがちらっと見える以外は露出を抑えるような格好で、上は黒いローブのようなものを羽織り、下は黒い短パンをはいて黒いストッキングを膝上まで伸ばしている。


 短パン――ショートパンツとストッキングの間で露出した太ももがむしろえちえちな印象になってしまうということが彼女らにはわからないらしい。


「ふうむ……」


 そして最も驚くべきことに、レストリアが僕の頬を引っ張っているのだ。意図していないにもほどがある行動に驚きを隠せない。


「失礼かもしれませんが、人間に見えますね」

「でしょう? 苦労して人間のように振舞っていたのだけどね……ロロップ」

「何? ぴょん」

「どうして獣人だってバレたんだっけ?」

「……ぴょん」


 把握した。

 口癖、というか語尾?

 そこはもっと頑張った方がよかったと思う。死活問題でなかろうか。


「そ、それはそれは……大変でしたね。ちなみに、お姉さんも獣人さんですか?」

「ふふ、ボクはナナリスっていうんだ。ボクは違うよ、ただの人間だ」

「そうですか」


 違いが判らん。

 もっとこう、獣人だということを示す何かがあってほしい。


「キミは不思議だね。本当にロロップのことを差別しないんだ」

「え? まあ。申し訳ないのですが世俗に疎く……獣人の方の存在すら先ほど知ったばかりでして」

「……そうなんだ。この世界はね、獣人にとても厳しい」


 そう言ってナナリスさんは、ロロップさんの頭頂部を指さす。


「ロロップ、見せてあげなよ」

「……ぴょん」


 彼女が髪をかきあげると、髪の付け根のところに何かが見える。

 髪の毛とは異なり、真っ白な毛が付いているような。


「彼女はね、耳を切り落としたんだよ」

「――なっ!?」

「人間の世界で生活するためにね。それが必要なほどなんだよ、獣人差別は」


 思わず、呆気にとられる。

 獣人を示す特徴がないんじゃない。

 それを持っていたら迫害されるから、自ら無くしたんだ。


「…………キミは、どうする?」


 最初と同じような問い。

 これは……聖子としてこの問題にどう向き合うか問うているものだろう。

 人類の希望の象徴である聖女及び聖子。人類が迫害する獣人。下手したら大問題になる。


「……申し訳ないのですが――」

「……そう」

「僕には母様を治療するという大きな目的があります。なので今すぐ獣人差別の問題に取り掛かる時間はありません」

「…………」

「ですが、母様ならこういうでしょう。『目の前で困っている人がいたら助けてあげるんだよぉ~』と」

「……それは――」

「さらに、主も言っています。『かわいい子は多ければ多いほどいい』と」

「はい?」


 疑問符を浮かべるナナリスさんとゴレイヌを無視し、ロロップさんに向き直る。

 彼女は未だ緊張しているのかプルプル震えてローブの端を握っている。


「つまり、ロロップさん。あなたが望むなら、聖子としての庇護を、安心できる環境を提供します」

「ぴょん?」

「いえ、ロロップさん。僕にはあなたが必要です。ぜひあなたのお力を僕に貸していただけませんか?」

「ぴょん!?」

「今日こうして出会えたことは主の導き! まさに運命! ロロップさん、僕とともに来てください!」

「ぴっ!!!」


 彼女が必要だ。

 下心では全くない。その証拠に、レストリアも静かに微笑んでくれている。


 しかし僕の考えは甘かった。獣人というものを正しく理解していなかったんだ。


「ふふ、だってさロロッ――」

「はいぴょん……はいぴょん! こんな私でよければずっと一緒にいさせてくださいぴょん!」

「おお、それはよかった! では――」


 安心したのも束の間。

 僕はあっさりロロップさんに押し倒されてしまった。


「好きぴょん♡ ずっと一緒ぴょん♡ 早速子作りするぴょん♡」

「ぐぇっ――苦し――」

「イクラウス様ぁぁぁ!!!」


 ゴレイヌの絶叫が、遠くに聞こえた。

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よろしくお願いします!

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